「「負けない…! 負けられない…!!」」
古い遺跡の様な場所…
奥へ奥へと続く通路や広さも高さも大きな広場に、轟音が鳴り響く
ミーシャとスイの戦いは激化していた
「うっ…!」
巨大な怪物…サイク・ロプスの攻撃を避けるミーシャ
「…っ!」
同じく攻撃を避けながら反撃をするスイ
しかしやはり、2人の攻撃は致命傷とはならない
「どんな体してるのよ…こいつ!」
「……」
サイク・ロプスの手が、グアッ!!っとミーシャを掴みにかかる
「もう…っ! しつっこい!」
後方に飛び退きながら、ドドドドドッ!っとサブマシンガンを連射するミーシャ
次第に苛立ちすらも覚える
それは活路が見出だせないからだった
とにかく攻撃が効かない
ソウルで強化させた肉体により、ミーシャ達の攻撃を全く受け付け無かった
「……」
「もう…! なんなのよこいつ! どうやって倒すのよ…!」
「…ミーシャさん…」
「ちょっと強すぎでしょ!? 撃っても撃っても倒せないなんて…ちょっとあなた! 降りてきなさい! なにかヒントでも言いなさいよ!」
「…落ちついてくださいミーシャさん…」
「『ちょっと落ち着きなさい…自暴自棄になっているわよ…?』」
苛立ちのあまり、ミーシャは少し暴走しがちになる
流石にスイに止められる
あろう事か、ユゥカにも止められてしまう
「うるさいわね! あなたに言われたくないわよ!」
「…ミーシャさん…大丈夫です… 今…すこしだけですが…予測を立てました…」
「!?」
スイのその言葉に、ミーシャはある意味食い付く
「えっ…!? それって…?」
すると、スイはサイク・ロプスのある場所を剣で指差す
「…見てください…あの『魂機』を… おそらくですが…あのエニグマは…肉体をあの魂機で制御されているのだと…思います…」
「…!? どういう事
「ウオォォォッッ!!」
2人の会話を遮って、サイク・ロプスが飛び掛かって来る
「っ…! 任せて…! 『光閃眩弾丸』!!」
ミーシャは再びピストルから光の弾丸を撃ち出す
「ガアァッッ!!」
まばゆい光を放ったその弾丸を、サイク・ロプスは再び直視してしまい床に倒れ込む
その隙を突いて、2人はサイク・ロプスから距離を置く
そして小声でスイはミーシャに語る
「…ソウルを常に肉体にまとっていたとしたら…かならずすぐになくなってしまいます… しかし…先ほどから見ていても…そうはなっていません… 生物である以上…ソウルを生み出す量も…ためておける量も…限界がかならずあります… その考察から予測できるのは…『ソウルを操作しているのではないか』…と…思います…」
それを聞いて、ミーシャはスッと目線をサイク・ロプスにやる
「…確かに…アレを見たらそう言えるかも…」
「…はい… わたし達の攻撃は…あまり効いていないように見えます… ですがそれは…ほとんどの場合…どちらか一方の攻撃しかしていない時だから…だと思います… 同時に攻撃した時や…不意をついた時の攻撃は…大きくはないものの…傷をすこし付けることに成功しています…」
ミーシャはサイク・ロプスに自分達が与えた時の傷を見る
…確かにスイの言った通り、サイク・ロプスの体にはほとんど傷が無い所と少し傷付いた所があった
ミーシャは思い返す
最初サイク・ロプスに攻撃した時、火の弾丸『火連突弾丸』と連続突き『モルスニード』は少し効いていた
ちょっとした焦げ目と少しの切り傷程度だが、次にスイの放った技『ミディアスラス』は、サイク・ロプスの首に直撃したが全く効いて無かった
そしてミーシャとスイが同時に放った『水斬圧弾丸』と『ジラスラージュ』は効いていた
大した傷は付かなかったものの、それまで当てたどの攻撃よりも効いていた
その証拠としてサイク・ロプスが激昂していたのも、その威力が高かった事を証明している
「…でも…どうやってコントロールしているのかしら…?」
「…おそらくですが…上にいるユゥカさんが…操作しているのではないでしょうか…?」
2人はチラッと上の方を見る
石のマジックミラーの様な場所…ミーシャ達の居る広場の上部に、ユゥカの居る部屋があった
そこからユゥカは戦闘を見ていた
スイの予測で言うと、そこからユゥカが『サイク・ロプスの肉体に纏わすソウルを制御している』のでは無いか?…との事だった
「『…フフッ…なかなか鋭いわね…?』」
ユゥカは若干笑いながら楽しむ様に言う
しかしユゥカを気にしている暇は無かった
のそっ…っと、サイク・ロプスは起き上がる
ゆっくりと確実に立ち上がり、妙な威圧感を出しながらミーシャ達をその単眼で睨む
「…ゥゥッ……」
だが動かない
いや…動かしてもらえない…のだろうか…?
「な…なによ…? 何をする気…?」
「『スイちゃんの言った通り…そのサイク・ロプスの体に取り付けられている『魂機』…それでサイク・ロプスを制御しているの。 その制御はソウルによる肉体硬度操作も行えるわ。 だから私が視認して、各部位に纏わすソウルの増減を操作する事が出来るのよ。 勿論、サイク・ロプス本体でも、視認さえすればその部位にソウルを纏わす事が出来るわ。 但し…肉体内部からソウルを纏わす事が出来るから、外見だけじゃ防御しているかどうか分からない様に設定しているけど…ね』」
ユゥカのその言葉には『含み』があった
まだ何か秘密があるようだ
ミーシャはそれを聞き出す
「…まるで『それ以外にも制御している』…みたいな言い方じゃない…?」
「『そうね。 そういった設定が出来るのも、『有魂機生命体』の特徴の1つだから…と、貴方達なら気付くはずよね?』」
「…? なんの事かしら…?」
「『『有魂機生命体』の定義は2つ… 1つは『魂機を肉体に取り付けている』事… もう1つは、『魂機を取り付けた生命体を他者が制御出来る』事… よってサイク・ロプスは、有魂機生命体として確立しているのよ』」
ピッ
「ガヴヴ…ァァァアアアア……!!」
バリバリバリッッ…!っと、サイク・ロプス体に電撃が迸る
「な…何をする気…!?」
「…ソウルが急上昇しています…!」
サイク・ロプスからただならぬ威圧感が発せられる
スッ…とサイク・ロプスは、その大きな手のひらを前に向け、ミーシャ達に狙いを定める
「『ただし『制御』は3つの意味があるわ…』」
身構えるミーシャ達に、ユゥカは静かに語り掛ける
「『スイちゃんの予測通り、『ソウルの増減と移動』…つまり体内で生成したソウルを任意の部位に移動でき、その量を増減出来るという『制御』が行える事… 暴走や命令違反を出来ない様に、してもそれを抑圧出来る様に、『行動そのものを制限・操作』する『制御』も行える事… そしてもう1つ… それは今の様に、『生成したソウル以外のソウルや能力を、自由に発動出来る』という『制御』が行える事… 良いのかしら? そこに居て…?』」
「スイちゃんっ…!!」
ドンッ!っとミーシャはスイを横に突き飛ばす
その刹那、サイク・ロプスの広げた手のひらから強大で太いレーザーが照射された
雷を伴ったそのレーザーは、一直線にスイを貫こうとする
しかしミーシャがスイをかばって突き飛ばした為、ミーシャに直撃する
バシュァアアッッ!!
閃光と衝撃波が弾ける
「ぁあっ…!!」
ミーシャはレーザーが当たる直前、ソウルをありったけその体に纏わした
しかしそれすらも無意味と言える程、レーザーの威力は大きかった
それでも不幸中の幸いか、レーザーそのものが貫通する事は無くミーシャを吹き飛ばすだけに収まった
床に転がるミーシャ
突き飛ばされたスイはすぐさま起き上がり、ミーシャに駆け寄る
「ミーシャさん…!」
「『なかなかの威力でしょう? 威力は十分…でも再発動させるのに時間がかかるのが問題ね…』」
そう言うと、サイク・ロプスの体から電撃が引いて行く
パリッ…パリッ…っと、やがて電撃が治まった
「『…もう止めなさい… データは十分収集出来たわ。 これ以上の実験は行う必要は無いわ。 貴方達も…今なら見逃してあげるわ… 今すぐ帰りなさい…』」
ユゥカの顔はスイ達の所からは見えない
が…それでも、その声を聞くだけで、彼女が哀れみの表情を浮かべているのを感じ取ってしまう
「…!」
スイはそれを聞いても退かない
むしろユゥカはそう言えばそういう行動をスイならやると予想していたようで、冷静に告げる
「『…分かったわ…『殺し』はしないわ… でも…2人分のベッドは用意してあげるわ…』」
バチッ…バチチッ…
弱く、だが確実に、サイク・ロプスの肉体に電撃が走る
「『出力は…さっきの『倍』でいいかしら…?』」
今度は両手を前に突き出すサイク・ロプス
「…!……」
その場で押し黙ってしまうスイ
――これ以上立ち向かってしまえば、大怪我どころか最悪『死』に繋がりかねない
スッ…とスイは両腕を交差させて、両刃双剣をしまおうとする
――が、それはフェイクだった
腕を交差するフリをして、両刃双剣を真っ直ぐにサイク・ロプス目掛けて投げ飛ばした
サイク・ロプスはビュオッ!っと飛んで来た双剣を片手を動かして弾く
弾かれた剣がカラー…ン…っと、空しく音を響かせる
(剣を捨てた…? いえ…スイちゃんの身に付けているあの腕輪は…『ティールテイク』ね… 手を離して数秒後には武器が消えて納刀される… そしてある『体勢』をすれば、その武器を出現させる事が出来る… ここに来て見せた、両腕を交差させる体勢がそれね… それはつまり…)
「『…それが貴方の…いえ、『貴方達の答え』なのね…?』」
スイはコクンッ…っと頷く
「…はい…! まだ…『あきらめないで戦い』ます…! わたし達は…あきらめません…! ご主人様やシードさんのために…ここでユゥカさんを足止めしなければならないのです…!」
「そして…」
スイの横から声が聞こえた
その横には、必死に立ち上がろうとするミーシャの姿があった
「そしてレインカちゃんを…あの子を…助ける…のよ…! あの子を…これ以上…『恐怖』に…染める訳には…いかないの…よ! 助けなくちゃいけないの…!」
「…わたしと同じぐらい…小さいのに…」
「こんな大きな大陸を背負ってる…!」
「…自分が弱いと知っているからこそ…」
「誰よりも強くなりたいと思っている…!」
「…暗闇に心を閉ざしている今だからこそ…」
「私達がそばに居なきゃ…!」
「…だから助けます…!」
「だから助けるの…!」
「「だから私達は…!」」
ミーシャは立ち上がり両銃を握りしめ、スイは両腕を交差させ両刃双剣をその手に現す
「「負けない…! 負けられない…!!」」
「『……』」
2人の言葉に、文字通り言葉が出ないユゥカ
「『…そう…じゃあ…加減は必要無いわね…?』」
バチッバチッバチッ……!!
サイク・ロプスがその身に纏う雷が強くなる
まもなく先程の倍の威力のレーザーが放たれようとする
しかし2人は逃げない
サイク・ロプスを真正面に見据える
―――そして、最後の攻防が行われる
「スイちゃん!! 全力で行くわよ!!」
ミーシャはピストルの弾を込め直す為、腰に付けたリロードホルダー(瞬時に弾倉を抜き差し出来る装備)でリロードを行う
と同時にサブマシンガンの弾を込める為、右手にソウルを集める
そしてリロードが終わったピストルを、サイク・ロプスの真上に向けて撃つ
ドォンッッ!っと激しい音を出して放たれた弾は、かなり遅く、バレーボールを下手投げで上にポイッと投げたぐらいの遅さだった
しかしかなり大きかった
それこそバレーボール程の大きさだった
ピストルの口径から射出される弾丸の大きさを優に超え、どうやって出したのか不思議なぐらいである
そしてすぐさまサブマシンガンを構える
そして撃つ
ドドドドドドッッ!!っと、先程撃った弾よりも更に上方向へ連射する
「『…一体何を
ユゥカの言葉はそこで止まる
何故ならサイク・ロプスの眼前に、異常なソウルを放つ存在が居たからだ
「『…貴方も…使いこなしているのかしら…?』」
そこにはスイが、半透明の白いソウルを自らの体から放出していた
――そう、『エニグマ』の力を
過去にスイはこの力を発動させた
しかしその時は心身的状態が不安定だった為、エニグマの力に呑まれてしまった
だが今は違う
エニグマの力を使いこなし、その体と剣にソウルを纏わしていく
「…いきます…」
スイの雰囲気が変わる
それは『少女』から…エニグマの力を宿した『狩人』へ――
瞬間、スイの姿が消える
次に現れた所は、サイク・ロプスの後方だった
直後、サイク・ロプスの体に斬撃が加わる
スイが初撃を与えた右足に、ザシュッ!っと音を出して切り傷が刻まれる
(速い…!)
ユゥカは直感で理解する
『サイク・ロプスは、この速度に付いて行けない』…と
故にユゥカは、サイク・ロプスの肉体硬度のソウルと攻撃用の電撃ソウルを合算して、全てを防御用のソウルとして肉体の内部と外部に纏わせる
どの方向から攻撃されても攻撃が効かない様に、サイク・ロプスのソウルを操作した
しかしスイはそれでも攻撃の手を緩めず、めげずに何度も斬り付ける
高速で移動し、サイク・ロプスの攻撃を受けないように、かつ自身の攻撃を的確に当てて行く
エニグマのソウルを纏ったスイの移動速度は、常人ではとても目で追える速度では無い
更にその力が纏った剣の一撃は、相手がサイク・ロプスで無ければ、肉体を豆腐の様に軽く斬り刻む事が可能だろう
しかし肉体を限界まで強化させたそのサイク・ロプスの体には、あまり効果が無かった
だからこそ、スイは待っていた
ミーシャの攻撃を
サイク・ロプスの上部に繰り出された2種類の弾丸
それが合わさる
遅く出された弾丸の上から、急に軌道を変えた弾丸が真下に撃たれる
サイク・ロプスの少し上の頭上に、バレーボール程の大きさのピストルの弾が、そしてその上から、サブマシンガンの弾丸がピストルの弾に直撃する
ズグググッ……っと、不穏な音が鳴る
「『まずい…!』」
ユゥカは直感で理解する
『サイク・ロプスは、この攻撃に耐えきれない』…と
故にユゥカは、サイク・ロプスに纏わしているソウルのほとんどを腕と上半身に集める
上方向から攻撃されても攻撃が効かない様に、サイク・ロプスのソウルを操作した
更に両腕を交差させて頭の上へ持っていき、サイク・ロプスは上空からの攻撃を防ぐ防御体勢を取る
そしてその攻撃が放たれる
2つの弾丸が合わさった球は凝縮し、下方向へ数十発の弾丸を放つ
まるで弾丸の雨だった
「『断罪雨砲撃』ッ!!」
ジュドドドドドドドドドッッッ!!!
雷属性ソウルを纏った水属性ソウルの弾丸が、まるで雨の様に降り注ぐ
1発1発が『槍』の様に鋭く形を変え、それが雷属性のソウルを纏って放たれている為、威力は凄まじい
弾速も速く、正に『雨』
(…これは…! ……やられたわね…)
ユゥカはそう悟る
ユゥカの目線の先には、スイが居た
少しだけサイク・ロプスから距離を置き、ミーシャの『断罪雨砲撃』の当たらない場所で、双剣の片方を地面に刺し、両刃剣を1本だけ持ち、居合い斬りの体勢を取っていた
もうスイの体から、エニグマのソウルは出て無かった
全てのソウルが、スイの体の中に集まっていた
剣…足…腕…
余計なソウルを体外に放出せず、必要な箇所だけにソウルを集中させる
そしてその攻撃が放たれる
剣に纏わした目標を切断する為の高密度ソウル、足に集約させた高速移動の為のソウル、腕に凝縮させた剣をより速く振り抜く為のソウルを、一気に解放する
「……『斬』……!」
キィィ………ィィン……
乾いた金属音が静かに響く
腹に付いた魂機が斬れた音が木霊する
瞬きをした時には、もうスイはサイク・ロプスの後ろに既に居た
降りしきる高速の弾丸の雨を、一切触れる事無く移動しながらサイク・ロプスを斬ったのだ
その一閃は、あれほど攻撃が効かなかったサイク・ロプスの胴体を真っ二つに斬り抜いた
数秒遅れて、ズルル…っと上半身と下半身が切り口を境にズレ始め、やがてズゥンンッ…っと大きな音を立てて倒れる
「はぁ…はぁ…」
「はっ…はっ…」
2人の乱れた呼吸を落ち着かせる声以外、何も聞こえなくなった
静寂が辺りを包む…が、それは直ぐに破られる
いつの間にか、ユゥカが上の部屋から降りて来て、2人の前に立って居た
「…さすがね… 私も、まさかサイク・ロプスがやられるとは思わなかったわ。 サイク・ロプスの戦闘力が低い高い以前に…貴方達が強かったって事ね… 『力』じゃなく…『魂』が…」
ズズンッ…ズズンッ…ズズンッ…
「「……!!?」」
2人は戦慄する
この音に聞き覚えがあるからだ
しかも…複数の―――
「最後の連携技には驚いたわ。 ミーシャちゃん、貴方の技は威力もそうだけど、上空からあれほどの攻撃を繰り出すには絶妙なソウルのコントロールが必要ね。 2属性以上のソウルを組み合わせて発動する技は、一朝一夕で身に付く物では無いわ。 触れたら直ぐに弾けてしまう様な不安定な水属性ソウルの弾丸をわざと射出、そして風属性ソウルの弾丸で弾道操作した雷属性の弾丸を連射…この弾道操作は得意分野なのかしら…2属性ソウルの弾丸を同じ銃で撃つのもかなりコントロールが必要なはずだから… そして2つの弾丸がぶつかった時、不安定だった水属性ソウルは、風と雷属性ソウルの向かう下方向へと海流を作り、弾丸として形を変えて、連射した弾丸を水圧で押して高速で高威力の『弾丸の雨』を降らせる…なかなか面白い技ね。 スイちゃんも、エニグマの力をあそこまで高めた状態で、腕と足…そして剣に最高密度にソウルを纏わすなんて、少しでもソウルのバランスを崩せば体が耐えきれずにエニグマの力に呑まれてしまうというのに…凄いわね。 『魂』をしっかり保っていたからこそ出来た事なのかしら? 剣を1本だけにしたのも良い判断ね。 2本じゃなくて1本にしてソウルを限界まで高密度化、更に剣を振り抜きしやすくした事を狙ったのかしら? そして一気に解き放って『斬る』…威力は言わずもがな…サイク・ロプスを一刀両断するのに申し分無い程の威力を出した… けど、どっちか一方だけじゃ倒す事は出来なかったわね。 2人同時だからこそ意味があった…それは確実に言えるわ。 サイク・ロプスのソウルと体勢を防御用にして、ミーシャちゃんの攻撃を防ぐ形に変えて、がら空きになった胴体をスイちゃんが斬る…素晴らしい連携技だったわ。 私がその連携技に名前を付けて良いなら…『斬悔の銃字架』…なんてどうかしら?」
――ユゥカの考察を、2人はほとんど聞いていなかった
「…ぁぁ…うそ…」
「…そんな…」
サイク・ロプスは檻の後ろの薄暗い通路の奥から現れた
同じ様に、それはそこから来た
数にして『5体』…全く同じサイク・ロプスが5体、歩いて来たのだ
「…今のと全く同じのを『5回』…繰り返せるかしら? …無理ね。 満身創痍の貴方達じゃ…ね… 諦めなさい。 後は…私に任せなさい」
シードは考えていた事を途中で投げ出してしまう
アレスが自分を呼んだからだ
「どうしたアレス…!?」
シードはアレスを見る
するとアレスはもう腰から刀を抜いていた
シードは直感で前方を見る
そこに居たのは…
次回 サークルワールド HERO ~一期一会編~
「アレス…あいつは俺がやる… お前は何とかして先に行け…俺が援護する… だから…『2対1』なんて野暮なマネはしねぇから安心しな! あんたの相手は俺がやる…」
第六章 中央大陸英雄譚 ―騒乱―
「…手加減なんかしなくていいぜ…? 俺も手加減なんてしねぇからよ… なぁ…『ロウ・パサード』…!!」
白鷺シード
VS
王国騎士団特殊殲滅隊副団長 ロウ・パサード
Q.銃の口径以上の弾丸をどうやって出すの?
「銃の中に、本来出す口径の弾の『型』があるの。 その型に合わせてソウルを流し込み、それを射出する…それが銃の基本形態ね。 それは『弾倉式』も『充魂式』も一緒よ。 口径以上の弾を出すためには、その弾に込めるソウルの量を多くする…それがその方法ね」
「…? それって…銃が壊れるんじゃないかのか?」
「そもそもそんな事が出来んのか?」
「一応ね。 銃は弾の形をそのまま発射するために、『弾丸の形を整える・抑え込む力』っていうのが強めに作られているの。 そうじゃないと、弾の形がブレブレでまともに飛んだり下手したら銃そのものが壊れちゃうからよ。 その限界を超えない様に、ソウルの密度を濃くながらも形を保てる様に『自らのソウルでも形を変えない様に抑え込む』事をしているの。 そして射出した後、その抑え込む力が無くなって弾が膨張して弾丸が大きくなる…そんな原理なの。 だから銃を普通に撃つなら良いけど、そういった形を変えて撃つなら、ソウルのコントロール技術は必要不可欠なのよ」
「…それは…ミーシャさんのソウルコントロール能力が高い…ということでしょうか…?」
「ふふん♪ その通りよ! まぁそれは口径以上の弾を撃つ方法の1つって感じね。 例えば銃の外側にソウルを纏わして、発射と同時に飛ばした弾にソウルを纏わせるとか、銃の口径の前にソウルを集めて置いて、発射した弾丸に直接ソウルを纏わすとか、色んな方法があるわ」
「なるほどー… そうなのかー…」
「…アレス…絶対分かって無いだろ…」
「…それではまた次回…お会いしましょう…」




