獣 VS ケモノ
「ん…ぐうっ…!」
シードは足に刺さったナイフを抜き、腰に着けた道具袋から包帯を取り出して、傷口に巻き付ける
そして、包帯を巻いた傷口の上に手を当てると、何やらその手が光り、光りが傷口へと流れ込む様子が見てとれた
(ふぅ…俺はこれでいい… あとはあいつの…あいつらの戦いだけ…だな)
シードは少しよろめきながらも立ち上がり、建物入口前に四つん這いになっているアレスを見守った
ボアボスを建物の中へと吹っ飛ばしたアレスは、呼び掛けるように叫ぶ
「おい! そんな簡単にやられるやつじゃ無いだろ!? 早く出てこい!」
いまだに埃っぽい煙が舞い上がる室内には、ボアボスを心配する人物が2人居た
「お…親分!」
声を荒らげるギノ
その後ろで同じく心配そうな顔をするゲノ
山賊達の右腕と左腕の2人は、シードの槍を腹部に受け怪我をしていた
そこを包帯で巻いて治療していた
まだまともに戦えない2人だったが、それぞれ武器を手に取りアレスに襲い掛かろうとした
「親分が吹っ飛ばされるなんて…ただのガキじゃねぇのかお前…! 獣人みたいな格好しやがって…! ブッ殺してや
「待て…」
低く、唸り声に近い、怒りに満ちた声が奥から聞こえた
ガラガラ…と武器や道具等が崩れて散乱する
そしてゆっくりと、大きな人影が立ち上がる
「親分…」
「お前らは…手ェ出すな… このガキは…俺が殺す…」
「はい…」
怒りの感情が強くこもった言葉を聞き、2人は部屋の隅へと静かに移動する
アレスはじぃっ…とボアボスのみを見据える
2人の山賊に対して警戒こそしたものの、手負いの状態であったため、攻撃を避けることは簡単である
だからこそ、警戒してても避けきれない攻撃をしてくるボアボスを、見ている必要がある
「グッフッフ… ここまでやるとはな… 少し見くびっていたぞ」
ボアボスの体に、今まで以上にソウルを纏うのが見えた
アレスは両手両足に力とソウルを込め、直ぐに移動できる体勢をとる
「だが…だがそれでもだ… 俺に勝つ事は出来ん… 俺の『勢い』は…誰にも止められん!!」
その瞬間、足を蹴りあげるボアボス
すると、床に散乱していた壊れた道具類や納刀された武器の数々…更には食料やビンの破片等々、ありとあらゆる物質がアレス目掛けて『勢い良く』飛んできた
ボアボスのセンス『猪突猛進』による、『勢い』を付けられた物質をアレスは後方へと高速で飛び退き回避する
だが、その勢いは完全に回避出来るものでは無かった
ただの缶詰や鞘に収まった短剣が、最早弾丸のそれと同じ速度でアレスの腕や横っ腹に当たってしまう
「っっ…!」
痛みを必死にこらえ、建物の外へと飛び退き逃げる
外ではシードが、建物から後ろ向きに出てきたアレスを確認していた
「!? アレス!」
足を引きずりながらアレスへと駆け寄る
吹っ飛ばされたアレスは、地面に落ちる瞬間に上手く受け身を取り、ダメージを最小限に抑える
そして今度は2本足で立つと、直ぐに視線を建物へと向ける
そのアレスの隣へ、シードは駆け寄った
「大丈夫か!?」
「あぁ… 痛いけど、平気だ… あいつ、スッゴく怒ってたよ…」
「そうか…まぁそうだろうな… アレス、勝てそうか?」
アレスはニッと笑顔を見せる
「もちろん!」
「分かった… 任せるぜ、アレス」
「任せてくれ!」
そう言うとソウルを身体中に纏わせ、更に建物を凝視する
(しかし…本当に『獣人』みたいだな… これがアレスの『センス』なのか…?)
シードは横目にアレスを見る
センスを発現したアレスは、正に獣人と言う姿をしていた
頭頂部には、髪と同じく黒い色の毛の獣耳が生えていた
ソウルで形作られたものでは無く、本物の獣耳が生え、微かにピクピク動いている
アレスの爪は、まるで狼の様な立派な爪が生えており、長さは短いもののそこら辺の樹木であれば簡単に引き裂けるほど、鋭く見えた
だが良く見ると、本来あった爪に、付け爪の様なソウルを伸ばしているだけだった
恐らく爪を無くせる事ができ、爪を無くせば手を握ったり刀を持つ事が出来るだろう
更に目付きは、獲物を狩る狼の目と同じく、獣の目付きの中に狩人としての本能が込められていた
センスを発現する前に比べ、動体視力が向上していることは言うまでも無い
口元を見ると、犬歯が伸びて、狼のそれに勝るとも劣らない立派な牙が生えていた
しかし人間の口に合わせてか、立派でもこじんまりした牙で、迫力に欠ける
それでも、肉に食らい付いたら相当痛いであろうことは見た目で分かってしまう
『狼男』ほど力強い印象は受けない
『犬男』の方が的を得ているのかも知れない
そんなアレスは、ピクッと何かを感じ取ったかのように、建物の方を睨み付けた
シードもそちらを見ざるを得なかった
建物から、強い怒りとソウルを纏ったボアボスが出てきたからだ
すると、右手に持った斧を振り上げアレス達に対して叫ぶ
「人間だろうが獣人だろうが、所詮ガキはガキだ! 俺が…俺が負けるハズがねぇぇぇ!!!」
ボアボスは斧を降り下ろす―――
が、降り下ろされる前に、既にアレスとシードは左右にそれぞれ飛んで回避をしていた
2人が居た場所には、ドグォォォンッッ!っという音と共に、地面に大きな抉られた跡が出来ていた
攻撃を回避したアレスは、素早く地面を蹴り、ボアボスの元へと駆け寄って行く
シードは近くにある木の陰に隠れ、アレスとボアボスの戦いを傍観する
「グウゥ…避けやがって…! だが! コイツは避けきれるかぁぁぁ!!?」
ボアボスは自分の所へと向かって来るアレスに対し、ソウルを更に纏わせた斧をやたらめったら振り回す
すると、降り下ろした直線上の地面に、大きく抉られた跡が出来る
しかし、地面に当たったということは、アレスには当たって無いという事だ
アレスは俊敏な動きで、斧から出る斬撃を前後左右に移動しながら回避する
そして徐々にボアボスへと近づく
「…!? 何故当たらねぇっ!?」
…もし、この斬撃の嵐をシードが受けたとしても、アレスと同様に避けきれる事が出来ただろう
それは、ボアボスが致命的なミスを犯していたからだ
シードはそれを今までの戦闘で発見し、アレスは獣の本能で直感的にそのミスの1つを理解した
そのミスは2つある
1つは、ボアボスのセンスには『弱点』があること
そしてもう1つは、ボアボス自身がその『弱点』に気が付いていないことだ
ボアボスのセンス『猪突猛進』は、『自分の行動に勢いを付ける』ことが出来る
投げたナイフを『勢い良く』飛ばす
振った斧から斬撃を『勢い良く』飛ばす
一見弱点など無いように見えるが、1つの疑問が浮かぶ
そもそも行動に勢いを付けるのならば、『投げる』や『振る』という『行動』にも勢いが付けれるハズ
それをしない…いや、それが出来ないのだ
それが1つ目の『弱点』であり『ミス』…『ほぼ同時の2つの行動に勢いは付けられない』である
ナイフを『勢い良く投げて』『勢い良く飛ばす』事が出来ず、斧を『勢い良く振って』『勢い良く斬撃を飛ばす』事が出来ない
どちらか片方にしか『勢い』を付ける事が出来ない
更にこの『勢い』は、連続使用、もしくは同時使用で『勢い』はそのままだが『威力』が低下する
そしてその『勢い』も、ソウルとの接触で無くなってしまう
始めに山賊を飛ばした時、建物の中から外へと飛ばし気絶させたにも関わらず、次に喰らったシードとアレスは吹き飛ばされても気絶しなかった
鍛えてある2人とはいえ、人ひとり簡単に吹き飛ばす一撃を喰らって立ち上がる事は簡単ではない
更にアレスが受けた小石も、コイン1枚の時とは違ってアレスを吹き飛ばさなかった
シードの時も同様に、足に受けたナイフは目で見えない程の勢いが付いていたにも関わらず、足を貫通せずにそのまま刺さっていたままだった
センスの連続使用と同時使用によって、『勢いを付ける』性質自体は変わらないものの、『威力』が無くなってしまう
特に同時使用は、小石やナイフの様に威力がかなり低下してしまう
また、センスはそもそもソウルを使用して発現、発動する
もちろん投げる物や飛ばす物にもソウルを纏わせる
ソウルがソウルにぶつかると、質や量が同じなら相殺される
たとえ違くとも、その差の分だけソウルは弱くなる
シードが放った『刺砲』…ボアボスが放った斬撃…火力が違くとも、センスの『勢い』を無くすのには十分だった
よって、ナイフを避けきれずとも斬撃は回避する事が可能になった
更に2人は常時ソウルを纏っている
それが鎧の様な役割を果たし、小石やナイフの威力を最小限に抑える事が出来た
纏わせるセンスのソウルの量が多かったならば、こうなる事は無かったハズだったが、ボアボスはこの事を知らない
それが2つ目の『ミス』である
よって、斧を振る軌道上に居なければ攻撃は当たらない
つまり攻撃する瞬間、ボアボスの振る腕の方向を見ていれば攻撃は当たらない事になる
シードはこれらの事をこれまでの戦闘で見切る事が出来たため、もしシードがボアボスと一対一になったとしても負ける事は無い
アレスはそんな事に気付きはしなかったが、『獣心化』の動体視力向上により、ボアボスの腕の動きに着目してそれを予測し回避を行っている
「クソッ! クソッ!! 何で当たらねぇ!? この…バケモノめッッ!!」
息を切らしながら斧を振るボアボスは、怒りと疑問に満ちていた
そんなボアボスを、木の陰から見るシードは哀れに思う
(自分は動かず、手下に山賊行為をやらせてたんだ… いくらセンスがあっても、ソウルは鍛えなければ強くも成長もしない… これは、あいつの『怠慢』が招いた結果だ…)
ボアボスはそんな事を思われているとは知らず、斧をただただ振り回す
次第に飛ばされる斬撃の数も減っていった
その隙を、アレスは見逃さない
アレスは右手にソウルを溜める
そして思いっきりボアボスに向けて振り抜く
「『ウルスラスト』ッ!!」
振り抜いたアレスの爪先から、5本の爪型の細い斬撃が放出される
「ヌグゥッ!?」
突然の攻撃に、ボアボスは斧を振るのを止めてその飛んできた斬撃を斧で振り払う
ザギャァンッ!と鋭い音を周囲に響かせて、斬撃が消し飛ばされる
ボアボスはその斬撃が飛んできた方向を見るが、そこにアレスはいなかった
代わりに、そこから右に少し離れた場所から、同じ様に斬撃が飛ばされて来た
「ヌァッ!?」
いつの間に…そう思う事もさせないかの様に、アレスが再び斬撃を飛ばして来たのだ
ボアボスは勿論それを弾く
が、初手の斬撃を振り払った状態で更にもう一回斬撃を防ぐ…それで体がよろめかない訳が無い
アレスは今度はボアボスから離れた正面に立ち、両手のひらを正面に向け、両腕を胸の前で交差させ一気に降り下ろす
「『ウルストクロス』ッッ!!」
交差された網目状の爪型斬撃が、ボアボスに高速で飛んでいく
それを避けきれず、腹にマトモに喰らったしまう
「グアァァゥッ!!」
ボアボスはすんでのところで体中にソウルを纏わせ、ダメージをある程度抑える
それでも威力は強かったらしく、腹部に切り傷が付き、少し血が出てきていた
突然、アレスはスウッと体からソウルを無くしていく
獣耳は生やしたまま、爪や体に纏っていたソウルは完全に消えてしまった
そして小さく深呼吸をする
「おい… 何のつもりだぁ…!?」
斧を振り回しまくった事と、傷を受けた事によって息が乱れているボアボスが、怒り混じりに質問する
そして一息ついて、アレスが静かに答える
「来いよ…」
「…何だと…?」
「来い… お前の全力で向かって来い…! お前の『タックル』を…俺が受け止めてみせる…! お前の全力の『勢い』を俺が止めて…! 俺が勝つ!!」
アレスは腰を落とし、右手を引いて左手を添える
その右手にソウルを凝縮させていく
「来い…!」
「………良いだろう…」
ボアボスも、腰を落として突進の構えをとる
「俺の得意分野で決着をつけるとは…お前のその甘い考えと…お前の肉体… どっちも俺が…粉々に砕いてやるぞぉ!!」
左肩を前へと突き出し、その身体全体にソウルを纏っていく
特に突き出した左肩に、まるで岩の様に巨大で強固にソウルが集まり、ボアボスそのものが1つのソウルの塊となった様子だった
勝負は一瞬で決まる
獣の肉体と精神を持った山賊が勝つか…
人間の肉体と獣の魂を持った少年が勝つか…
山賊は低くした腰と突き出した左肩を前のめりにし、足に力を込める
少年も足に力を入れ、右手により一層ソウルを込めて、腰を落とした体勢で突進を待ち構える
2人の…2匹のケモノが、睨み会う
そして―――
「ウオオオォォォォッッ!!!」
ボアボスが、その巨体からは想像もつかない程の『勢い』で、アレスへと突進して行った
瞬きをする間程の一瞬に、ボアボスはアレスにぶつかる
アレスはソウルを凝縮した右腕を突き出す
そしてその腕に、ボアボスの左肩が当たる
握りしめた拳と強固な肩がぶつかった瞬間、ソウルとソウルがぶつかった瞬間、その2人を中心にソウルの大きな衝撃波が広がる
近くの木々を揺らし、細い枝を折り、葉を飛ばしていっていることから、2人のソウルの量が尋常じゃ無いことがわかる
衝撃と風が吹き荒ぶ中、その中心にいる2人が言葉を交わす
「…ッ!? お…俺…の…タックルを…受け止めや…がった…」
ボアボスは自分の才能であったタックルを止められ、ショックを通り越して恐怖すら覚えていた
自分よりもはるかに年下、小柄で、人間であるのにも関わらず、自分の渾身の一撃を喰らって耐えているのだ
アレスはその衝撃を受けて地面を滑りながら、少し後方へとずらされてしまうものの、ボアボスの一撃を耐え抜いている
「弱いんだよ…」
そんなボアボスへ、アレスは小さく告げる
「!? 俺が…弱い…だと?」
ボアボスは怒りと恐怖と疑問が入り交じった表情をする
「あぁ… でも『力』じゃない… 『魂』だ… 『魂』が弱いんだよ…! 山賊なんてバカみたいな事をやって…誰かを傷付けて奪って…自分の部下ですら平気で吹っ飛ばして…! 才能があっても…その才能を扱う才能も無いやつが…自分を強くしたいとも思わないやつが…! 『力』も『魂』も強いハズが無い!!」
アレスは突き出した右腕の拳に凝縮したソウルを震わせた
「うるせぇ…」
ボアボスは小さくボソッと呟く
「俺の魂は…お前みたいに『野獣』じゃ無い…」
拳に更にソウルを纏わせる
「うるせぇ…うるせぇ…」
ボアボスは小さく呟く
「誰かを救える英雄を目指す…気高い『狼の魂』だっ!!」
拳のソウルの震えが止まり、一瞬硬直する
「うるせぇぞぉぉぉッッッ!!」
叫ぶボアボスは、両足と肩に力を込めてアレスを押す
が、勢いを付ける暇もなく、左肩に当てられた拳から、ソウルが炸裂する
「『ハウルインパクト』!!!」
押し固められたソウルが拳から爆発し、ボアボスとアレスがぶつかった時と同じぐらい大きな衝撃波が発生する
まるで獅子の咆哮を超至近距離で喰らった様な、轟音と衝撃が前方へと拡散する
少し前にアレスが繰り出した、『絶吼剣』の3倍もの威力が感じられた
だが、それを喰らったボアボスは、派手な威力とは裏腹に想像よりも吹き飛ばされ無かった
ソウルの力を使わずに、思いっきり後方へ前向きにジャンプした様な、そんな短距離しか吹っ飛ばなかった
「ヌグゥゥン…! グッフッフ…なかなかの衝撃と痛みだが…その程度…か…?」
不意に、ボアボスの表情が歪み始めた
痛みもそうだが、それ以上に驚きと恐怖によって作られた表情だった
「なん…だ… 動か…ねぇ… 左腕が…左腕が動かねぇぇっ!!?」
「当然だ」
ボアボスはバッと顔をアレスの方へ向ける
「『ハウルインパクト』は、ソウルを爆発させて吹っ飛ばす技じゃ無い… ソウルを振動させて、殴ったやつの内部を破壊する技だ! 父さんが教えてくれたこの技は、『才能』なんかじゃなく、俺の『努力』で身に付けたんだ!」
シードは、そう胸を張って叫ぶアレスを見て一種の感動を覚える
(努力して身に付けたと言うが… 他人の体にソウルを流し込むなんてそう簡単には出来ねぇ… 『魂術』を使ったり無機物相手に使うならまだしも、自分の魂を相手の魂が入った体に入れるなんて… それにあの技は、拳を当てた瞬間に振動させたソウルを流し込んで、外からの発生させたソウルの衝撃波による振動で、内側に流し込んだソウルを振動させて刺激し、振動と振動でソウルを弾けさせて一気に爆発させる… そんな高等技術、普通の努力じゃ身に付かないぞ…!)
シードは感動により震えていたが、ボアボスは自分の身に起こった事と、アレスに対する感情に驚愕し、震えていた
「バカな…バカなバカなバカな………」
体から力が抜け、両膝を地面につけしゃがみこむ
アレスは少し息を切らしながら、ボアボスに近づき見下ろした
「お前の…負けだ…! まずは…町のみんなに謝れ! そしてもう…山賊なんて止めて…真面目に
「バカなバカなバカなッッ! お前みたいなガキにッ! ふざけるなふザケるなッ… このおォォ… クソガキがあぁぁァァァッッ!!!」
右手に握った斧を思いっきり振り上げ、アレス目掛けて思いっきり降り下ろす
だがその行動に、『勢い』はあっても『センス』は無かった
アレスはその攻撃を、ボアボスの懐へ軽々と移動し避け、両手にソウルを纏わせる
「『反省』はもうしなくていい… 『後悔』しながらッ! 『魂』ごとブッ飛べ!!!」
ソウルを纏わせた両手を使い、交互に殴っていく
「まっ…待て…止めろ…」
そんなボアボスの言葉をかき消す様に、アレスはボアボス顔や腹、あらゆる場所を殴っていく
「うおおおおぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ひたすら殴り続けていく音が周囲に響き渡る
「ッッぅ!!」
ボアボスは最早、声にすらならない声をあげる
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
そして100近い数殴り終えた時、殴るのを一瞬止め、アレスは右腕にソウルを多く纏わせる
そしてそれを振りかぶり―――
「『グラーシュウルフェリオン』ッッ!!!」
叩きつける様に降り下ろした
ボアボスはそれを腹部へと直撃される
ボアボスはもう声すらも出せず、ただ『勢い良く』後ろへ吹き飛ばされた
その方向にはサーカスのテントの様な建物があり、その上方部分にボアボスはぶつかる
そのおかげでボアボスは止まるものの、その衝撃は建物全体へと伝わり、やがてドガシャーンと大きな音を出し、建物そのものが崩壊する
ハァッ…ハァッ…とアレスの息を切らす声しか聞こえなくなった頃、アレスは右腕を大きく上にあげ、雄叫びを上げる
「俺の…俺の『勝ち』だっっ!!!」




