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山賊との戦い

アレスとシードは町を駆け回っていた

住民を困らせる『山賊』とやらの情報を少しでも多く入手するために

そして20分後…

「そこそこ情報が集まったな…」

シードは一息入れる

「え~…と… 山賊の特長をまとめると…」

アレスはメモ帳を見て確認する

2人は様々な人に話しかけていた

武器屋の店主、道具屋のおばさん、大衆食堂の女性店員、農家のおじさん…

集まった情報を整理すると

・山賊は殺人はせず、商人やこの町の住民を襲っている

・使用武器は主にこん棒等の鈍器である

・お金よりも、食料や日用品等の物資を多く盗まれている

・また、宝石等も盗まれている

・山賊は10~20人程度の人数で構成されている

「そして、やつらの居場所は…」

「この町の隣にある、ハイトス山のふもとに居る…だったな」

「よし! さっそく行

「ストップ! まてまて…まずは準備が必要だ… ほれ、これを食ってみろ」

シードは腰に着けた道具袋から、小さな豆のような物を取り出してアレスに渡した

「…? ナニこれ?」

アレスは受け取ったはいいものの、これが何なのか分からなかった

「これは『魂薬(そうやく)』。 その中でも体力・疲労回復の効果を持つ『治癒魂薬(ちゆそうやく)』ってやつだ。 あんまし旨くは無いが、そこそこ効果はあるぞ。 これから戦闘なんだ。 回復しとけ」

アレスは何の迷いもなくそれを口に入れて噛み砕いた

すると、体にスゥーーッと()()が流れ込んでくる感覚があった

魂薬に凝縮された治癒効果を持ったソウルが、体中の細胞に行き渡り、失われたソウルが満たされていくのが分かった

と同時に、疲労感も回復していった

だが、安らぎ感とは裏腹に、味は美味しさの欠片も無かった

市販の薬を2~3種類混ぜて更に水で薄めたような、味とも言えない味をしていた

「………!!?」

さすがのアレスも、これには言葉が出なかった

「おいおい… それ噛んじまったのか? 飲み込むだけでいいんだぞ? 即効性を持たすなら噛むんだが、これからあっちの山まで行くんだ。 遅効性でも別に問題なかったぜ」

「………!!??」

それを聞いて、更に言葉が出なかった


―――ハイトス山のふもと―――

「昼から飲む酒は…なかなか良いもんだねぇ~」

「何言ってんだ… 昨日もそれ言ってたじゃねぇか」

山のふもとには、10人程度の山賊達が(たむろ)していた

酒を飲んだり、武器の手入れをしたり、遊び半分で戦ったりしていた

「あぁぁ~~… しっかし…暇だなぁ~…」

()()が無いとこうも暇とは…」

「どうする…? 町にでも行くか?」

「ダメに決まってんだろ? ()()から許可が無ぇんだ… 勝手に行ったら殺されるぜ」

「でもよぉ~… あ~あぁ~…な~んか面白い事な

「すいませーーーーーん!!!」

山賊達の会話を遮って、大きな声が鳴り響いた

その声に山賊全員が手を止め、声のする方向を振り向いた

するとそこには、手で耳を塞いだ背の少し高い少年と、右手を上に挙げておそらく大声を出したと思われる少年がいた

「おいぃ… 声デケェよ…」

シードは苦い顔をしながらアレスに訴えた

「あいさつは元気良く! だろ?」

「山賊相手に、そんなのしなくていいんだよ…」

突然現れ大声を出した少年達に、山賊達はポカンとしていた

だが、山賊達の態度は、少年達の()()()()により一変する

「よぅし! あいさつも済んだし、やるかぁ!」

「時間もそんなにねぇしな」

アレスは腰の、シードは背の武器をそれぞれ持ち、抜刀したと同時に構えた

それを見て山賊達は、彼らがこれから何をしようとしているのかを理解した

「おい! このガキ共、俺達とやり合うつもりか!?」

山賊達も、直ぐに身構える

すると、1人の山賊がアレス達の前に歩み寄っていく

両手を少し挙げ、まるで降参でもするかのように戦意が無いアピールをしていた

…ただ、顔はへらへらと笑い、右手には()()()を持っていた

「まぁまぁ…2人共落ち着いて落ち着いて… お兄さんと少しお話でもしようぜ…な?」

少しずつだが、確実に男は近づいてくる

「俺はここに居るヤツらをまとめる…まぁ、リーダーみたいなもんさ… 名前はラレッタ… とりあえず、俺の話を

「なあ! お前が一番えらい人なのか!?」

ラレッタという男の話を最後まで聞かず、アレスは質問する

「んぁ? いいや…『親分』が一番強くて偉い、俺達のリーダーさ。 だが、その次に偉いのが俺さ… だからまずは俺の話を

ドゥギュアァ!!!

またもや男の話を最後まで聞かずに、大きな音がその場に響いた

その音は、アレスがラレッタに刀を当てた音だった

大きく踏み込み間合いを詰め、ラレッタの右肩から左下にかけてアレスの刀が振り下ろされ、強烈な一撃を加えたのだ

だが、刀での攻撃にしては、()()()は違和感があった

まるで、大きな鈍器の様なもので()()()()()()()()―――

「………ぎぃやああぁぁぁっっ!!?!」

ラレッタは耳を(つんざ)く叫び声をあげ、地面を転がる

「き…きら…斬られたぁぁぁ! 痛ぇぇっっ! 痛ぇよぉぉぉ…っ?」

ラレッタはふと違和感を感じる

何故かというと、刃物で斬られたにも関わらず、()()()()()()()()()()のだ

激しい痛みのする場所を手で触るが、濡れた感触は無い

「なん…でだ!? 斬られたぞ! 俺…斬られたハズなのに…!?」

痛みよりも、疑問の方が強くなる

「へぇ…上手くコントロール出来てるじゃねぇか!」

「まあね! ()()が出来るようにならないと、『ヒーロー』は目指せないからな!」

アレスとシードは、痛みと疑問で地面に座りこむラレッタをよそに、楽しげに談笑している

「ガ…ガキ共…! 何しやがった!」

ラレッタは反撃するよりも、刃物で斬られたのに()()()()()()理由を知りたがっていた

「これが俺の…()()()()()()()…」

アレスは持った刀を縦にし、前に突き出した

その刀には、ソウルを纏っているのがハッキリ見えたが、ソウルをただ刀に纏わせているのではなく、()()()()()()()()()()()()を集めている様だった

「その技の名前を『無刃剣(むじんけん)』!! ヒーローは人を簡単には殺さない… だけども、刃が無いとエニグマすら倒せない… そこで父さんに教えてもらった、ソウルで刀身を固めた…ふ…ふさ…なんだっけ?」

()()()()()()()()()()()()()()()だろ?」

シードは溜め息混じりに答えた

「ふ…ふざけやがって… ガキのくせに…やりや…がる… ガクッ」

ラレッタは気絶こそしなかったものの、仰向けに倒れて動けなくなってしまった

すると周りにいた山賊が騒ぎ立てる

「あぁ! ラレッタがやられた! リーダーのくせにいつも戦いの最前線に行って真っ先にやられるから、あだ名が『ヤラレッタ』なんて言う風に呼ばれているラレッタが!」

そんなラレッタをよそに、山賊達は武器を構えて戦闘体勢に入る

「ラレッタの事はどうでもいいが、ガキだからといって容赦はしねぇぜ!」

そして山賊達は一斉に襲ってきた

(あいつ…なんかかわいそうだな…)

シードはしみじみとそう思ったが

「来い! 相手になってやるぜ!」

アレスはそんなこと気にせずに刀を構える

「シード…見とけよ…! 俺の必殺技は2つだけじゃないんだぜ!」

アレスはソウルを体と刀に纏わせると、向かって来る山賊達に、逆に自ら突っ込んで行った

(ま…アレスのお手並み拝見といきますか…)

シードは武器を構えながらも、警戒心を緩めてアレスの戦いを見守った

アレスは突っ込みながら刀を下にして、ソウルを一層刀に集めた

そしてまだ少し距離があるが、向かって来る山賊達に対して思いっきり刀を振り上げた

「『衝波剣(しょうはけん)』!!」

すると刀からソウルが放出し、それが地面に沿うようにして伝わり、そこから()の様に上方へと吹き上げられた

その波が山賊達に当たり、仰け反らした

「があっ!」

「ぐふぉうっ!」

「ぎぇぁっ!」

山賊達は痛みにより、小さな叫び声をあげる

(ソウルの波を作り出して敵を軽く吹き飛ばす技… なかなかやるな…)

シードは関心する

技の出来もそうだが、アレスがそれを()()()()()()()事に関心する

「まだまだ行くぜっ! 『衝墜剣(しょうついけん)』!!」

先程の技を出して上にあがったままの刀に、再びソウルを一瞬で集める

刀身よりも切っ先により多くソウルを集め、そしてそれを振り下ろす

振り下ろされたそのソウルは、まるで巨大なハンマーの様に地面に向けて放たれる

地面からソウルを振り上げる衝波剣とは逆に、上空からソウルを振り下ろす技がこの衝墜剣である

「「「ぐおぉぅっ!!」」」

切り傷こそ出来ないものの、痛みは十分に感じる

その衝撃と痛みで地面にうつ伏せで倒れこむ

だが、それで終わりではない

「これでぶっ飛ばす! 『絶吼剣(ぜっこうけん)』!!」

アレスは刀を引いて真っ直ぐに構えて、ソウルを三度(みたび)集める

「く…くそぅ… このガキ…」

山賊達は起き上がり、アレスに向けて武器を振り上げる

だが、アレスはそれよりも速く刀を一気に突き出す…が、山賊達にあとほんの1歩で届く距離で止める

「な…なめてんのか…クソガキ…」

アレスは刀を止めたのは理由があった

それは、山賊達が一番()()()()

止まった刀に纏わせていたソウルが、膨張し始めた

それが分かったと同時に、小さな爆発でも起きたかの様な大きな音と共に、刀の前方に向けて衝撃波が炸裂した

まるで切っ先に風船をつけて、それが膨らんで弾けた風に…

ソウルを弾けて吹き飛ばす技…それが絶吼剣という技だった

その勢いは、2つの技で消耗していた山賊達を吹き飛ばして気絶させるのには十分な威力だった

「「「………ッッッ!!!」」」

叫び声をあげる事も出来ずに、辺りの木や地面に打ち付けられて山賊達は意識を失う

「やるじゃねぇか…」

(あんだけ勉強できなくて一般常識に疎いあいつが、()()()()()()()()ってのが関心するぜ… よほどトレスさんの教え方が上手いか、あいつが戦闘技術の覚えが良いのか… それか、『ヒーロー』に対してそれほどの情熱を持っているのか…だな)

シードはまるで、我が子の成長を喜ぶ親の様に温かい目でアレスを見ていた

「だりゃあぁぁ!!」

「ま…まてぇ! ちょっとま

「うりゃぁぁ!」

その後、あと3~4人になった山賊を、刀を振り回して薙ぎ倒して行く

…シードが温かい目になったのは一瞬だけだった

「こ…この…ガキ…」

シードは声のする方向を見た

するとラレッタが、震えながらも立ち上がろうとしていた

手にはナイフを持ち、その目にはまだ戦意が宿っていた

「おいおい…まだやるってのか?」

「このままじゃ、山賊(おれたち)の立場が無ぇからな… テメェだけでも殺してやるぜ…!」

「…」

「な…なんだぁ!? 俺は本気だぜ!?」

ラレッタはナイフを構えて、何時でも突き刺せる体勢をとった

だが逆に、シードは槍の構えを解き、ラレッタを冷たい目で見る

まるで、自分で殺した嫌いな虫を見るかの様に―――

そしてシードは突然歩き出した

ラレッタは警戒こそしたものの、動かなかった

何故なら、ラレッタに槍を向けようともせず、戦意も見せず、ただ純粋に、ラレッタの横を通り過ぎて行ったからである

「お…おい! どこ行く気だ!?」

予想外の行動に、思わず呼び止めてしまう

その声に反応したのか、シードがクルッと向きを変えてラレッタを見る

「…ここなら大丈夫だろ…」

「何?」

ズグッッ

…不意に()()()()()()()()()()()がした

ラレッタはその音の鳴る方を見る

()()は下からだった

槍だった

シードがラレッタに、槍を突き刺していた

その槍が、ラレッタの腹部を深々と刺さっていた

「……!!?」

突然の事に、ラレッタは声が出なかった

驚いているラレッタに、シードは冷たく語りだす

「俺は…アレスみたいに甘くねぇ… お前みたいな『悪』には容赦はしない」

その声は低く、小さい

アレスには絶対に聞こえない程の声量だった

「この位置だ… この位置なら、アレスと俺達が直線上にいて、俺の体が死角となり、()()()()()()()()()を見られなくて済む…」

あまりの出来事に、ラレッタの手からナイフが落ちる

「俺は、『悪』を潰す為なら殺人だろうが手段を選ばない。 それが白鷺シード(おれ)なんだよ」

「あ…うぁ………」

シードはその手に持つ槍に力を込め、更にラレッタに突き刺そうとする

そして―――

「シード! 1人逃げるぞ!」

不意にアレスが叫ぶ

シードが首だけ回してアレスの方を見ると、山賊の1人が山の中へと走って行くのが見えた

「まてぇ! 逃がさないぞ!」

「おいアレス! 捕まえるなよ!?」

走り出そうとしてたアレスが立ち止まる

「な…なんで!?」

「おそらく『親分』ってヤツの所に行くはずだ! そのままアイツについて行け!」

「わ…分かった!」

首を縦に振ると、アレスは走り出した

シードは、首を元に戻してラレッタを見る

「…運が良かったな」

シードは槍を勢いよくラレッタの腹から抜くと、槍を肩に乗せてアレスの後を追った

その場に残されたラレッタは、膝から崩れ落ちる様に地面に倒れた

(…あれは…ガキの目じゃない… 『殺人鬼』のそれと…変わらないぞ…)

そう思いながら、ラレッタは気を失った

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