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エニグマとの戦い

「ハァッ…! ハァッ…! い…いいか…アレス…! お…俺達の目的…は…ハァッ…覚えてる…な…!?」

物凄い勢いで走り去ったアレスにようやく追い付いたシードは、アレスの腕を掴み、荒れた息を整えながら喋りかけた

「ん? 目的? もちろん覚えてるぜ!」

掴まれている左腕とは逆の、右腕をガッツポーズしながら答えた

「強くなる!!」

「………だけか!?」

シードは脱帽しながら叫ぶ

「ハァ…ハァ…ふぅ… いいか? 俺達の目的をもう一度確認するぞ?」

掴んでいた手を離し、まるで子供に勉強を教えるかの様に語る

「目的は大きく分けて『2つ』… まず、お前は『英雄になる』ために強くなる… それは間違ってねぇ。 強くなるなら、世界を回ってエニグマやそこらのゴロツキ共をぶっ倒していきゃぁいくらでも強くなる。 だが、『英雄になる』なら話は別だ」

「え? なんで?」

「おいおい… 強ぇ奴が英雄になれる訳じゃねぇぞ? まあ…ザックリ言えば、『良いこと』をする…か?」

「良いこと? つまり、『人助け』とかをするってことか!」

「まあそうだな。 エニグマと犯罪者(テロリスト)が蔓延るこの世界…奴等に困っている人も少なく無いはず… 俺達はそういった人達を助けつつ、()()()()を上げて行き、英雄となる『()()』を手に入れる! …これが目的だ」

「なるほど! …ん? でもそれなら、『騎士』になった方がいいのか?」

()()()()な… そこで2つ目の目的の、トレスさん…つまり」

シードは、指をビシッ!っとアレスに向けた

「お前の父、トレスさんが『英雄と呼ばれたその理由を探す』ことだ」

アレスは目をパチパチしてちょっと不思議そうな様子だった

「…? それと騎士にならないのと、どう関係あるんだ?」

「騎士になったら、特定の街や地域を『担当地区』として警備・防衛する。 そうなると、他の地域や地区に行くことが許可が無い限り出来ない。 トレスさんの事を調べる事はおろか、どっかに行くことすらままならなくなる… だから騎士にはならない」

アレスは腕を組み、少し考える

「ってことは、ボランティアみたいなもんか! 正に『ヒーロー』!! だな!」

シードも軽くうなずく

「まあ、それに近いもんだ。 英雄は、職業じゃないからな… さ、目的を確認出来たんだ。 あの町に行くとするか」

「よっしゃー! んじゃ、あの町まで

「競争はしねぇぞ? ムダな体力は使いたくねぇ」

歩き出したアレスとシードだが、シードは1人思い詰める

(そして()()()()()… アリアを治す方法を見つけ出す… アレスには悪いが、俺は…それこそがこの旅の目的だ…)

そして2人は、森の中でも既に見えた町に向かって行った

が―――

「シード…もしかして…!」

不意にアレスは立ち止まる

「あぁ…もしかしなくても…だ!」

シードも()()()感じると、アレスと共に振り返る

するとそこには、無数の狼がアレス達を凝視していた

目の前に()()()()を置かれたまま、『待て』を何十分もさせられている犬のような()()()()()()を上げ、徐々に近づいてくる

もちろんこの狼達はただの狼では無い

「まあ、ここまでコイツらに()()()()()()()方のがおかしかったな」

シードは冷静に、アレスに語りかける

「そうだな… ちょうどいい! この()()()()達で、修業の成果を見せてやるぜ!」

アレス逆に、燃え上がっていた

この『エニグマ』という化物相手に、自分が修業をした3年間…その成果をぶつけることが出来るのだから―――

「おいおい… 準備運動程度にしとけよ?」

「もちろん! 本気を出すほどでもないぜ!」

意気込む2人―――

そしてアレスは、左腰につけた刀剣の鞘を左手で持ち、右手で柄を持つと、一気に引き抜いた

そしてその切っ先をエニグマに向けると、ソウルを体から放ち戦闘体勢に移った

アレスの持つ武器はこの世界で一般的、特に騎士が使用する『両刃剣』ではなく、刃が片方にしかついていない『(かたな)』である

微かに反りのついたその刀身は、刃は薄く銀色に光り、峰は黒く染められている

鞘も同じく黒色であり、一目見ただけでそこらの武器屋で購入出来ないであろうという、独特の雰囲気を出していた

―3年前、同じ()を放つ刀を使っていた人物を、2人は知っていた

一方シードは、背に担いだ身の丈ほどある黒色の槍を右手に持ち、自らのソウルを微量、その槍へと流し込む

すると、背に小さな箱のような機械が付いている、上着の上から巻いたベルトのようなものから小さくカチッと音がした

すると、槍をガッチリと挟んでいた小さな機械が、その拘束を少し緩めた感じがした

シードはそれを確認すると、槍を振り上げる様に機械から取り出して、自分の右下方向へと振り、戦闘体勢へと移った

「そのベルト、どうなってるんだ?」

アレスは興味本意でシードに尋ねる

「知りたいんなら、後で教えてやるよ。 それよりソイツは…」

シードは、アレスの持つ刀を知っているようだった

答え合わせをするかの様に、アレスは話す

「ああ! 3年前の()()()()()…その時に父さんが使っていた武器さ! 旅立つ時に持っていけって言われて持ってきた!」

「騎士の『殲滅隊』で使用していた武器か… 得物としては十分すぎるじゃねぇか。 …っと、おしゃべりはここまでだ」

徐々に近づいていた狼が、遂に自分の攻撃の射程内に2人を入れた

グルルゥゥゥ……っとうなり声を上げ、今にも飛びかかって来そうな様子だった

「来いよ犬ッコロ… ()()()()()()…出来てんだよなぁ?」

そう言い放ったシード()()()()、アレスが前方へと高速で移動し、ソウルを纏わした刀を低い姿勢から振り上げ、エニグマの一匹を切り裂いた

頭から胴体の半分ほどまでを切られたエニグマは、空中から地面に落ちると動かなくなった

それを期に、アレス達を取り囲んでいたエニグマが一斉に飛びかかってきた

「遅ぇな」

クルッとシードは回転したかと思うと、槍で周囲を薙ぎ払った

ブゥンッ!!と大きな音を響かせ、強い風と斬撃が吹き荒れる

数匹のエニグマがそれで吹き飛ばされ、同じく数匹が斬り裂かれる

シードは直ぐに体勢を整え、吹き飛ばしたエニグマを追撃する

宙を舞うエニグマ目掛けて一歩大きく踏み込み、槍を鋭く突き刺す

槍は、その一撃で絶命したと目に見える程、エニグマの頭部に深々と突き刺さった

「終わりじゃねぇぜ」

エニグマが刺さったままの槍を、そのまま右方向へと大きく振り回した

まるでハンマーの様になったそれを振り回し、次々とエニグマに当てていく

2周ほど回した時、その勢いで刃先からエニグマが抜け、何処かへ飛んでいく

「おいおい… これじゃ準備運動にもならねぇぜ?」

槍を肩に乗せながら、余裕を見せるシード

「…っぶないじゃないかシード! 槍を振り回すなら先に言ってくれ!」

アレスは地面にうつ伏せになり、シードの戦闘の巻き添えを何とか回避していた

「それぐらい避けれなきゃ話にならねぇからな… おら、次来るぜ?」

前方からエニグマが5匹、アレス達に向けて走ってくる

アレスは素早く立ち上がると、刀を右下へと向け、姿勢を低くし、いつでも突撃出来るような体勢をとった

「よし… 俺もやるぜ…!」

アレスの足にソウルが纏う…

と同時に、刀にもソウルが纏う

瞬間、アレスはシードの前から消えたかと思う程速く加速し、刀を振り抜いてエニグマの1匹を斬り倒していた

更に振り抜いた事で、左方向に刀身が向いた状態からそのまま2匹目のエニグマに対し、刀を振り上げて斬り倒す

今度は足に力をグッと入れ、3匹目を目掛けて飛び込み、刀を振り下ろす

その刀が頭を斬り裂いた事を確認もせず、4匹目に狙いをつけ、真っ直ぐに刀を突き刺す

4匹目の脳天を直撃したその刀を、今度は真下に振り下ろし、その勢いで地面に刀を強く叩き付ける

普通の刀なら折れたり、地面を斬った刀が抜けなくなったりするが、アレスは刀に多くのソウルを纏わせていた為にそんなことにはならず、逆に地面を叩いた衝撃で空中へと飛んだ

さらに空中でクルッと一回転し、体勢を立て直しつつ目でエニグマの位置を確認すると、残る5匹目のエニグマに向けて水平に刀を振り斬った

アレスとエニグマとの距離は刀およそ2本分離れている

通常なら届かない距離だが、かつて自分達を襲ったルベルが()()()()()()()()()、刀に纏わしたソウルを伸ばして刀身を拡張させた事で、エニグマを横真っ二つに斬ることができた

5匹のエニグマを流れる様な動きで討伐したアレスは、地面へと着地するとシードに向けて指を指した

「どうだシード!? 俺の華麗な戦いっぷりは!?」

「まあ、それぐらい普通にやってくれねぇと、この先心配だからな。 当然だろ」

「なっ…! …よーし! 見てろよ…! 俺の方が多く倒してやるぜ!」

アレスは俄然やる気を出すと、エニグマへと突撃して行った

「おい! アレス! トレスさんの言っていた事、忘れてねぇだろうな!?」

シードは、アレスの後を追いながら言う

次々とアレス達に襲いかかるエニグマを斬り倒しながら、アレスは思い出していた

この3年間、トレスと修業をし、その最中言われていた言葉を―――

『いいか? ソウルは()の力だ』

シードも、トレスと修業をしていた事もあり、彼もまた思い出していた

『魂を強く持つこと… それが強くなるために必要な事だ』

「まだまだ行くぜっ!」

アレスは更にエニグマを斬り倒していく

『「絶対勝つ」とか「負けられねぇ」とか、そういった魂の強さが、そのまま()()()()()()になる』

「そらよっ! 弱ぇなオイ!」

シードもまた、エニグマの攻撃を避けつつ槍で敵を斬り倒していく

『逆に弱気でいると、ソウルは弱くなる』

2人は残る数匹のエニグマを、まるで2人の子供が、最後に1つだけ残ったおやつを取り合うかの様にはしゃぎながら、倒していった

『もちろんソウルにも限界があるし、使い方やコントロールの良し悪しもある』

最後の1匹を、アレスとシードがほぼ同時に仕留める

「「オラァッッ!!」」

X字に斬り抜けて行き、エニグマが4分割にバラバラになる

『お前らは若いから、コントロールは悪くてもソウルの量は十分すぎる程ある』

2人は目に見える範囲のエニグマが全滅した事を確認する

『強くなりたきゃ、戦って闘って生き残れ』

そして笑顔でハイタッチをする

『それが強くなる為の近道だ』

「ま、楽勝だな」

「余裕だぜ!」

だが、2人の笑顔はすぐに消える

険しい顔をし、少し離れた木の裏に視線を向ける

「…いるな…」

「よぅし…それなら!」

『んじゃ、その近道を更に近くするために、とっておきの()()()を教えてやるよ』

アレスは、刀にソウルを集める

刀を鞘の横近くまで持っていき、集中力を高める

『必殺技は名ばかりのもんじゃなく、いわゆる必殺の型…』

「いくぜっ!」

左下から右上へと一気に振り上げる

『つまり、技として体に覚えさせておけば、どんな状況にも対応できるってわけだ』

すると、 振り上げた瞬間、刀身に纏っていたソウルが刀から飛び出した

『この技は、武器に纏わせたソウルを斬撃として飛ばす技だ』

一直線に飛んでいくその斬撃は、アレス達が見ていた木の根元へと当たる

『名前? 何でもいいんじゃねぇか?』

木が、ギギギィィ…っと音を立てて倒れる

すると、その裏に居たエニグマが、ドサッとその場で倒れる

エニグマの腹部に、深々と傷が付けられた後があったため、あの斬撃をモロに喰らった事が見てとれる

「『斬翔剣(ざんしょうけん)』… それがこの技の名前だぜ」

今度こそエニグマを全て倒した事を確認すると、アレスは刀を鞘へと納めた


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