58.座って寝ると、腰とかがつらい
前回のあらすじ
久しぶりにラリと会ったら友達がいた
おわり!
人間体な所為で湧き上がる邪念と戦いながら、妖精と少女の戯れを暫く眺めていた。
「飼い主が見つかったようですし、さっさと行きませんか?」
五月蠅い妖精を煩わしく思っていたミリアが撤退を提案する。飼い主って、おい。
「私も妖精とお友達になってみたいな」
話が通じていない。メオは小さくて可愛い妖精の虜になっているようだ。
あれ? 可愛いか……?
やっとのことでラリが落ち着き、少女がこちらを見る。
「私はメオと申します。以後お見知りおきを」
スカートとかではないので、普通な礼をしているメオ。自己紹介が無駄に早い。
「私はミリア、こっちの小さいのがロー」
メオが自己紹介したからか、不機嫌そうながらもそれに倣うミリアだった。小さいのって言い方やめーや。
唐突な自己紹介に青髪の少女は再び困惑して、
「え、あ、え? あの、うちはアリルって言います。で、あの、その、この妖精の子は――」
「――ラリよ!」
さっきまで泣きじゃくっていたやつとは思えないぐらい偉そうに、ふんぞり返って自己紹介する妖精。滑稽だなぁ。
「ふむ、ラリちゃんですか。すこーし触らせてもらえませんか?」
メオがそう言った。その目は、獲物を前にした獣のようだ。いや、獣人の血は流れているけれども。
どうやらメオは、あいつの名前が知りたかったから自己紹介をしたようだ。人に名を尋ねる時は~って奴だろう。でも、アリルが抱き着かれたときにボソッと言っていた気がしたが、聞こえていなかったようだな。
「あたしに何するつもり!? 捕まえてまたいじめようってんでしょ。絶対に嫌よ!」
そのラリの声は、少しビビりが混ざっている。一瞬、エロ同人みたいにって言うのかと思ったけど、言わなかった。
こいつは他でも何かやらかしてお仕置きされてるんじゃないですかね。
「ラ、ラリはうちの友達です……。あの、だからいじめちゃダメ……です」
怒っているようだが、声小さいし、途切れ途切れだしで聞きづらい。
「アリル、メオ、落ち着いて。メオはちょっと待って。で、アリルは妖精はいじめないから落ち着いて」
常識人と化したミリアが仲裁を開始した。
ここはミリアに任せて、のんびり海でも眺めることにしよう。
……。
話声をバックに傍の岩に座ってボーっと海を眺めていたら、いつの間にか眠っていたようで、空は赤みが差してきていた。
「やっと起きましたか」
声のする方を振り向くと、ミリアだけが立っていて、他の人の姿は見当たらない。
「アリルたちは仲間だという男と一緒に帰りましたよ。メオもその三人と一緒に先に宿へ帰りました」
やはり、他にも仲間がいたか。やってきた男はあの森にいたやつだろう。
「あの男とアリルが森にいたのですか?」
……そういえば、感情以外の考えていることを読むってどういうことなの?
「そんな事はどうでもいいです。あの二人が森にいたって本当ですか?」
そんな事って、お前……。
「本当だよ。カロサさんに会った朝、散歩に行ったときに調査してた場所で何かしてたんだよ」
「それってあの三人が犯人ってことなんじゃないですか?」
「え? ああ、よく考えたらそうか。犯人は現場に戻るって言うよな」
「……そんなことは聞いたことないですが、そういう事です」
アリルは魔法使いっぽい格好だし、何か怪しい魔法が使えてもおかしくないけど、あの態度からは犯人であるとは想像し難いな。
「ミリアは三人と何かしら話しただろ。何かそれっぽさはあったのか?」
「ローが教えてくれてればもっと警戒して見てましたよ」
俺の所為らしい。
「いやでも、あの三人も調査に来ただけかもしれないし」
「あのエルフたちがハーフエルフに救援を出したことが露呈するような事をすると思ってるんですか?」
正直言うと、思ってたんだよな。何であいつらそんなプライド高いの?
「知りませんよ、そんなの」
そっすか。
まあ、とりあえず帰ろうか。
その後、日没までには宿に戻り、ミリアが夕食を食べてる間に寝た。座ったまま寝たからちゃんと寝れてなくて、まだ眠かったのだ。
……朝だ。窓から入ってくる日差しが眩しい。
目が覚めると、部屋にミリアは居なかったが、すぐに部屋の扉を開けて入ってきた。
ミリアは「これから起こすつもりだったのに」とか何とか言ってた。そんなことを残念がるとか、起きる前にイタズラでもしてんのか?
そんな言葉は飲み込んで(隠しても多分バレてる)挨拶をしよう。
「おはよ、ミリア。今日は帰るんだよね?」
もしかしたら、三人を尋問するとか言いかねないので一応聞いた。
「そんなわけないじゃないですか。あの三人に事情を聴きに行きますから、帰るのは明日です。お父さんも同意見でした。」
本当に言うんかい。うーん、調査に来てたんだし、怪しい奴を放置できないから、それはそれで仕方ないか。
そういうのって、昨日のうちにやっておくもんじゃないんですかね?
「状況次第では、一度エルフの里に戻りますよ」
何それ面倒臭い。いや、どうせ何もしないから行ってもいいけど、あの森は虫とかエイリアンがいるからあんまり行きたくない。
「森の精霊なのに、虫が嫌いとか意味が分かりませんね」
「みんな虫は平気だもんな。それと、すっかり忘れてたけど、森じゃなくて木の精霊だぞ」
「どっちも一緒ですよ」
……まあいいか。
「これから三人がいる宿まで行きますよ。場所はメオが知っているので、昨日の夜のうちにお父さんが所在を確認したらしいです」
ランベルト、まさかの諜報も優秀。冒険者二級の力ってスゲー。
と、言うわけで全員(俺は精霊モード)でやってきた宿は、俺たちが泊まっていた宿とそう変わりない見た目だ。白い、見飽きた。
メオは三人がいる客室へ呼びに行き、俺たちは併設されている食堂で軽食をいただきつつ待つ。全員俺が起きる前に朝食は済ませてあるので、本当はいらない。食べているのは焼いた肉をのっけたパンとかそんな奴だ。
味はミリア曰く「まあまあ」だそうだ。
待つこと五分程度、メオとアリルが二人で仲良さげに話しながらやってきた。
やってくるなり頭を下げて、初めて会ったランベルトに前回同様おどおどした自己紹介をする。
「俺はランベルトだ。知らんかもしれんが、これでも冒険者だ」
これでもってなんだよ。そんな真っ黒な鎧着てる奴冒険者じゃなかったら何なんだよ。
しかし、おかしなことにランベルトの簡潔な自己紹介を聞いたアリルがフリーズしている。
「あれ、アリルー?」
メオがアリルの目の前で手を振るが、反応が無い。
「しまったな。まだあんまり時間がたってねぇから指名手配犯と勘違いされたか? アッハッハ」
なにわろてんねん。おっさんは死んだことになってたやんけ。
おくれたさーせん
急いでてテキトーだったサブタイ変更兼誤字訂正中に気づいた。「話した」って「はなしした」「はなした」どっちでも読める(心底どうでもいい)




