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精霊生活に安息を  作者: 鮭ライス
エルフの里
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48.エイリアン襲来

前回のあらすじ

 怪奇現象を見ながら、ミリアとローはイチャイチャした。

おわり!


 調査に来たものの、結局成果は得られなかったようだ。ハーフエルフの二人とCさんがこちらに戻ってくる。メオとランベルトも、それに気が付いて戻ってきた。


 俺はみんなに気づかれる前に精霊に戻って、ミリアの肩に退避した。

 帰ってきた五人の話を聞くに、進展はゼロだと言えよう。別に誰かに責められるじゃないけど、精霊のくせに無能だってことがなくてホッとした。


 今気づいたんだけど、俺わざわざついて行く必要なかったんじゃね? あーでも、俺が来たくてついてきたんだった。目的を見失っていたぜ。

 俺と同じくやってきた異世界人がいるんじゃないかと思ってたんだけど、これだけ奇妙なことが起こせるなら、その線は濃厚だと言えるんじゃなかろうか?

 何をやるにしても後片付けぐらいしろよと思わなくもないが……やっぱ、会わなくて正解な人かもな。


 それにしても、魔物全然いねぇな。誰だよ大量発生してるとか言ったの。もしかしたら俺の聞き間違いだったか?


 そう思うと出てくるらしい。

 帰り道にはしっかりと出くわすことが出来た。

 鳥みたいな顔の茶色くて丸っこいエイリアンがいる。そいつは顔の近くに生えた触手で空気を掻いて泳ぐように飛んでいた。大きさはバレーボールほど。

 めっちゃ見たことある気がするんだよな。


 考えている間に、先頭を行くCさんの魔法によって切り裂かれる。


「これは、気持ち悪い……」


「見ただけで寒気がしてくるわね」


 ミリアとメオが思わず口にしている。


 その後も何匹かのエイリアンみたいな魔物に遭遇した。そのほとんどをどこかで見たことがあるような気がするが、一向に思い当たらない。

 これは、気持ち悪いな。こんなのに囲まれて生活しなきゃいけないくらいなら、ちょっとしたプライドなんて投げ捨てるだろうな。エルフたちの気持ちが分かった気がしたよ。


 今のところ、浮いている以外で魔法を使ってくるやつはいない。片っ端から切り捨てているせいでもあるけどな。

 奴らは、特に何を考えている風でもなく、目の前にふらっと飛び出してきては、先頭の名前をを知らない三人の誰かに切り捨てられている。


 あ、カイアシだ。あのカブトエビみたいなめっちゃ髭の長い奴は絶対そうだ。

 そうか、分かった。というか、もともと答えは出してあったんだよな。こいつら微生物とかそういう類のやつだ。スライムはアメーバだと推理しておいて、何故気付かなかったのか。と思ったが、微生物が実際に動いてるのなんて見たことがないからな。図鑑の一方向から見た図だけで分かるほうがすごいんだよ。


 そっかぁ。微生物はエイリアンだったのかぁ。


「なぁ、ミリア」


「急になんですか?」


 気持ち悪いのに囲まれてるからか、機嫌が悪い声だ。


「あいつら、微生物だ」


「ビセイブツってなんですか。び、美生物?」


 頭をひねって俺の言う言葉を理解しようとするミリア。


「ちっちゃい生物で微生物だ。目で見えないくらい小さいから、何の生物が魔物になっているか分からなかったんだよ」


「え、そんな小さい生物がいるのですか?」


 知らないか、そうだよな。知ってたら気付くよな。


「いるよ、土の中とか、水の中とか。じゃなきゃ、小さい虫たちは何を食べて生きてるんだって話で……ミリア、どうした?」


 ミリアの肩が何やら震えだした。


「み、水の中にアレが……?」


 な、なるほど。そこは考えてはいけないところだ。


「いや、大丈夫だぞ。普段、魔法で作った水しか飲まないだろ? あれなら微生物もいないから」


 ミリアを潔癖症にしてはいけない。そう思って、取り繕う。


「でも、川とか水たまりにいるんですよね? あれが」


「いやいや、今まで気づかなかったくらいだから、全くもって害はないぞ?」


 全くもってということは無いが、基本的に害はないはずだ。


「あんな気持ち悪いのがいるってわかって、触れるわけないじゃないですか」


 あー、もうだめだ。知ってはいけない真実に気が付いてしまった。


「ロー、様。今の話は……」


 ……もう一人犠牲者が。メオが近くにいるのを忘れていた。


「じょ、冗談だぞ。大丈夫だ、あんな生物何処にもいないから」


「気休めはいりません。ふふふ、もう二度と魔法で出した以外の水は飲めませんね」


 ちょ、やめ。そんなネガティブになるんじゃない。大丈夫だよ。お水怖くなーい。

 ……取り返しのつかないことをしてしまったあああ!


 もう諦めよう。いずれ人類は知ることになっていた。それが早まっただけだ。前途有望な子供二人が犠牲になったが、これはまあ致し方のない犠牲というものだ。

 ホッとしたのは、後ろのランベルトと前のハーフ女は聞いていなかったことだ。


「二人とも、こういうのに動じない人だけに話せよ」


 二人とも、黙って頷き返してくれた。




 ……というわけで、地上最強の防護を誇る生物のお出ましです。

 八脚の芋虫みたいなきもいやつ。クマムシだ。

 芋虫に似てるからか、かえって驚く声はない。そもそも、慣れたというのもあるのだろう。

 巨大クマムシは――巨大と言っても30センチほどだが――全身が水に濡れている。確か、乾燥すると防御力が上がるんだよな。つまりは雑魚か。

 ああ、あっさりと死んだ。つまらん。魔物になって、最強さに磨きが掛かったかと期待して損したよ。


 そんなこんなで、エルフの里に戻ってきた。本当は寝ながら来たかったんだよ。でも、妖精さんフォルムになる度に、ミリアが握りつぶさんばかりに鷲掴みにしてきて、眠ることを許さなかった。

 一人だけ、こいつらを見ずに、しかも楽をするなんてずるいんだと。


 まあ、気持ちは分かる。

 微生物エイリアンのせいでSAN値がやばい。


 再び里の下で待たされて、ハーフ男女が戻ってくると、さすがに寝床くらいは貸してくれるらしい。北東から入ってきて、探索に南へ向かったので、西の方には行っていない。そちらに小屋があるそうだ。


「そういえばミリア、ひいお祖母ちゃんに合わなくていいのか?」


「そうですね……。明日聞いてみますか」


 忘れていたようだ……うーん、ほんとに忘れてたんかな? まあ、どっちでもいいか。




 案内されたのはハーフエルフの村でよく見たログハウスだった。辺りの雰囲気も併せて、森の別荘って感じだな。憧れる。

 辺りは整備されていて、朽ちているとか、蔦が絡まってるということは無い。

 それは室内も同様で、客を迎えるために、わざわざ掃除までしてあるようだ。冷たい対応の割にはしっかりとしている。これが飴と鞭か(三回目)。


細菌とか微生物とか、気にしてたらキリがないよね。


人物紹介を作って二章の最後に置いておきました。

本編で出すきっかけの無い趣味などを書いておきましたので、よろしければご覧ください。

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