表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊生活に安息を  作者: 鮭ライス
エルフの里
50/80

45.スライムのようにぬるぬるした何か

前回のあらすじ

 村を出て、川でお昼を食べた。

おわり!


 いやー、長い道のりだった。もうすっかり夜だよ。それでもまだ里に着かないっていうね。もう疲れてへとへとだよ。

 ん? 川はどうしたって?

 なんか、ハーフエルフの二人が精霊魔法でザ・小舟って感じの氷の船を作った。あれは綺麗でしたね。二つ作って三人と四人で別れて乗ってました。四人の方がミリア達+ハーフ女だ。ハーフエルフ二人がそれぞれ船を水流を魔法で作っていました。


 何と言いますかね、こう……もっと面白いのを期待してたんだがなぁ。

 船かぁ。そりゃ、水辺を渡るって言ったら船だよね……忘れてたけど。空を飛ぶとか、水の上を歩くとかするもんだと思ってた俺が馬鹿だったのだろうか。


 まあいい。過ぎたことだ。


 今の直近の問題はそこではない。

 俺は今、寝ないで過ごすか、この布団のような柔らかいところがない、屋外に寝るかという二択に迫られている。

 今俺たちがいるのは岩場である。岩石砂漠ってやつかもしれない……違うけど。周囲は草原なのに、この辺りの十メートル四方だけ草が生えていないのだ。なんでそうなってるのかは知らんが、何故ここで寝るのかの方が大きな疑問だ。

 ミリア曰く「夜の草原は危険」なのだそう。意味ワカンナイ。それは、ここが安全になる理由ではない気がするのだが。


 しかしそんなミリアはテントを立ててさっさと寝てしまった。メオと一緒に。テントとござみたいなのだけで、何で寝れるんだろう。

 だが美少女が二人向かい合って寝ているのを見てると、心がぴょんぴょんする。




 それから一時間ほどが経過して気が付く。


 布団を自分で作ればいいんじゃん。作れるのすっかり忘れてたよ。まあ、もう寝ないって決めたけどね。

 なぜって、野生の動物がさっきから辺りをうろつき始めたからだ。いくら大人五人が交代で起きてるとはいっても、いくらテントと同じ効果の結界を張ったといわれても、こんなところではぐっすりと眠れない。


 何あれ、ハイエナとかいるんとちゃう? なんで即席でいいから壁とか作らないの? 見えてると怖いんだけど。




 結論、結界はすごかった。時々動物がやってくるが、見事にスルーしていった。やっぱり岩場に寝なくて良かったんじゃない? 草原でも問題なかったんじゃない?

 それにしても、一晩起きてるとか久しぶりだな。最近は毎日のように12~16時間ぐらい寝てたからな。一日がくっそ長い。

 朝日が出ると、早い人は起き始めた。夜も見張りしてたのによくもまあ起きれるな。

 よし、ミリアを起こすぞ。肩口で声をかける。


「HEY! LISTEN!」


 起こすときはHELLOW!だった気がする。


「んぁ?」


 起きたようだ。体を起こして「ふああ」とあくびをしている。こうして見ると可愛いよな……。


「おはようございます」


「おはよ、ミリア」


 ミリアは吐息交じりに体をよじりながら声を上げている。まあ、さすがに痛むよな。こんなところで寝てたら。

 その声を聴いてメオも目を覚ます。


「あれ……? あ、ああ。ミリア、おはよー」


「おはよう、メオ」


 明らかに、起きた時今いる場所を分かってなかったな、メオ。こちらも痛む体をよじっている。

 これは、そこはかとなく良い眺めだと思う。




 全員起きて、保存食な朝食を取ると、再び出発となった。

 歩き始めて数分で森が見えてきた。そしたら、戦闘をエルフAに代わってそのまま森へと進行する。大量発生しているという魔物を警戒していたが、今のところは姿が見えない。

 そして、獣道すら無い薄暗い森を彷徨うかのように歩き、魔物に出会うことなく、お昼にはエルフの里に着いたのであった。


 里の辺りは、木々を減らして明るくなっており、家はすべて木の上にあるようだ。地上5,6メートルのところにあり、その間に橋や通路が渡され、上るにはところどころにある梯子と蔦しかない。年寄りに厳しい集落だ。

 先頭に立っていたエルフAが近くにあった蔦を振る。すると、上でカーンカーンと音がして、別なエルフが出てくる。

 割と原始的だった。


 暇になった。

 今、メインの四人は里の長老に呼ばれて行ってしまった。それで、ミリアとメオ、ランベルトは許可がもらえなかったので、下で待機することになっていた。

 退屈だったからか、ミリアとメオで稽古を始めてしまった。ランベルトがいるので教える人はいるのだが、これでいいのだろうか。

 

 ……寝るか。


 俺は顕現して、カーペットと座布団を作る。地面は落ち葉でふかふかだ。捲らなければ綺麗なのでカーペットがあれば大丈夫だろう。座布団を枕に寝転がりながら、剣を振る二人をぼーっと見る。

 やっぱり、少しだけミリアの動きの方がいいな……。




 んぅ……冷たい。

 ……! 

 やっべ、漏らした!?

 俺は慌てて飛び起きて、股間を見る。


「うぎゃああああ!!」


 太ももの間に一つの透明なジェル状の何かがある。それは、体の一部を少しずつ伸ばして、俺の体の上の方へと上ってきていた。

 俺の悲鳴に気づいたミリア達が駆けつけてきた。


「ロー、どうしまし……ッ!」


「キャッ!」


 ミリアはびっくりして言葉を失い、メオは悲鳴を上げる。

 ランベルトは驚きつつも近付いてきた。


「こいつが、新種の魔物か。ちょっと待ってろ」


 そう言って果敢にスライムのような奴へと手を伸ばした。しかし、掴んでも滑って取れていない。

 それを見ていたミリアが冷静さを取り戻し、叫ぶ。


「ロー、精霊に戻って!」


 ああ!

 その手があったか!

 俺の幼女体が消え、ボトリとスライム的な奴がカーペットの上に落ちる。


「助かったよミリア」


「ローこそ、しっかりしてください」


 ……面目ない。

 俺は落ちてランベルトにツンツンと突かれているスライム的な奴を見る。スライム的な奴というかスライムだ。水色でとんがり頭ってわけじゃないが、これがスライムじゃなかったら何なのかが分からないのでスライムだ。

 体にくっついていた間隔を思い出して、鳥肌が立った気がした……気のせいだが。

 ランベルトが分かったことを口にする。


「特に攻撃性は無さそうだが、とにかく気味が悪いな」


 その割に何度も突いているのは、ぷにぷにした触感が楽しいからなのだろうか。


 最初の悲鳴を聞いたエルフが一人おりてきた。


「ぬるぬるした奴が出たようですね。簡単な魔法ですぐに死ぬので問題ないですよ」


 このスライムの名前はまだないようだ。

 それにしても、ただ上って来ただけでよかった。ついでに雑魚キャラでよかった。


おもちゃの方のスライムも割と気持ち悪い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ