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精霊生活に安息を  作者: 鮭ライス
エルフの里
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44.移動中

前回のあらすじ

 エルフの里が魔物や怪現象で困ってるって使者から聞いて、ミリアは両親に行っても良いか聞きに行った。

おわり!


 俺はバダンッと乱暴にドアを開ける音で目が覚めてしまった。


「ロー! 私も行けるようになりました! あ……」


 入ってきたのは当然ミリアだ。俺が寝ているのを見て、落胆している。

 高いテンションで喜びながら入って来たので、気分の落差がひどい。絶望が顔ににじみ出ているような表情だ。


「わ、分かってました。……でもこれは中々堪えます」


 もはや呆れを通り越してしまっている。


「なんかごめん」


 気まずいので、俺は体を起こしミリアに頭を下げた。


 その後、何とかご機嫌を取ると、ミリアは改めて親の了承が出たと報告してきた。それはよいことで。

 準備があるからとミリアは部屋を出て行くのを見届けると、さすがに寝る気も起きず、かといってしたいことも無いので、窓に映る景色――殆ど畑しか見えない――を椅子に座ってぼーっと眺めていた。




 ということで翌日。

 ミリアがいつぞやの無駄にでかい荷物を背負い、歩いて広場に向かう。俺は精霊体でミリアの肩に乗っかっている。

 エルフの里に向かうべく集まったメンバーは、エルフの二人、ランベルト、ミリア、俺の知らないハーフエルフの男女二人、そしてなぜかメオだ。

 エルフはどっちも中性的な顔立ちで肌が真っ白い金髪さんで、やはり背が低かった。二人とも男性のようであるが、身長は150程度で、大分小さい。そして、ミリアの肩にいる俺に気が付いて少し驚きの声を上げて拝んできた。田舎の祖母ちゃんみたいなやつらだ。

 当然だが、ランは家でムルア達と留守番だ。少し悲しそうだったが、こいつの強さを確かめようと思ってから何もしていないので、連れて行っていいものかわからなかったのだ。ミリアは帰ってきたら一緒に戦う練習をしようとランに語り掛けていた。フラグ立てんなや。

 ノーマルな人間であるランベルトは最初の時に見たごつくて黒い鎧を着て、ミリア……と多分ついでにメオの護衛だ。だから、メインのメンバーは名前を知らない4人だ。調査と討伐だけとは言っても、実質の救援がハーフエルフ二人だけでいいのだろうか?


「今回は状況を把握するというのが主な仕事なので、二人でも問題はないです」


 だそうです。ミリアが言うのだからそういうことにしておこう。


「ちなみに、なぜメオがいるんだ?」


「私と同じです。家族の為に何かしら手伝いがしたかったのと、実戦経験を積むためです」


 そうか、ミリアは契約の為に東の森林に来た時に実戦経験があるけど、メオはずっと村にいたはずだからな。でも、初めての相手が謎の生物でいいのだろうか? 道中に魔物に合うことを期待したいが、誰か人と一緒にいて遭遇した魔物はランだけなので、正直出る気がしない。



 エルフの里はここからさらに南西にある森の中にあるそうだ。森と言っても、村の近くの小さいものではなく、南の川を渡った更に先にあるそうだ。

 ここからその森までの最も簡単な行き方は、南東の河口にある町まで行ってそこから川を船で渡って南西に向かうというものだ。しかし、急を要するというほどではないにしろ、道を急がなくてはならないので、森を突っ切って南西に向かうんだそうだ。多分、獣道があるのだろう。


 その後に自己紹介を互いにしていたが、めんどくさくて聞いていなかったので、エルフで比較的背の高いほうをエルフA、もう一人をB。ハーフエルフの方は、ハーフ女とハーフ男でいいや。


 話が終わると、森の方の小門から村を出て南西に向かう。一応草が生えておらず、鬱蒼と茂る木々の中光が差し込む場所を歩いているので、道ではあるのだろう。どこぞの忍者みたいに木々の間を飛び跳ねていくんじゃなくてホッとした。そんなんされたら酔う気がする。酔うわけないけど。

 道幅が狭いので一列に並んでいる。ハーフ男を先頭にエルフたち、ハーフ女にミリアとメオ、ランベルトの順だ。

 メオは、何か一大決心をしたような顔をしていて可愛かった。ミリアなんて森は慣れっこだからか、すました顔をしているというのに。


 以前来た時と同じく、森は魔力が濃い。ここなら魔力が枯渇しても一分で回復できるであろう気がする。もしかしたら、魔力枯渇で死ぬかもしれないので試さないけどな。そういうことをなぜ東の森林で聞いてこなかったのか、不思議で仕方がない。

 少し前まで無敵だと思っていたのが恥ずかしいぜ。



 魔物はいるはずなのに、やはり何も襲ってこずに森を抜けて川に到着する。川でかいな。幅200メートルくらいだ。河口に近いからかなぁ。まあ、その分流れは緩やかだけどな。

 メオも目を大きく見開いて、こんなに大きかったんだ、と呟いていた。ミリアはこっちも見たことあるのか、反応が薄い。

 これどうやって渡るんだろうと思っていたら、一行は川上の方へと進みだした。

 船でもあるのかな、とか思ってたら、ミリアが小声で教えてくれた。


「この辺は森の魔力の影響を受けた魔物がやって来やすい、って言ってました」


 そうか、聞いてなかったよ。簡単な行き方までは聞いていたんだけどな。

 渡り方には興味あったので、話を聞いていたつもりだったが、どうやら完全に聞き漏らしていたようだ。しかし、ミリア抱えて飛ぶくらいならできそうだし、知らなくても問題はない。



 暫く歩いて、森が右手に見えなくなり、さらに歩いたところでハーフ男が休憩だと言った。歩き始めて五時間と言ったところだろうか。皆タフすぎる。

 俺なんて歩いてもいないのに、疲れた気がしてしまうぜ。


 ミリアが無駄にでかい荷物を下ろして、中から袋に入ったサンドイッチを二つ取り出す。パンが堅いからできる荒業だろう。普通のサンドイッチだったら潰れてぐちゃぐちゃになっていたところだ。

 俺の分は無いが、二人分はあるようで、メオに片方の袋を渡していた。

 そして、二人仲良く並んで食べながら、道中見たものについて話し合っていた。女の子らしい会話を期待していたのだが、学者か、部活仲間みたいな会話だ。話の名要は興味深いが、つまらん。

 しかし、普段一人で修業しているところしか見ていないので、こういう風に友達と話している姿は新鮮だな。


 ほかの人たちはランベルト以外が集まって食事を取っている。分かっていたが無言で食べるなら集まるなよ。なんか怖えぇよ。

 ランベルトも、仲良く食事をとっている少女二人を、後ろで眺めながらサンドイッチを食べているので、不審者みたいになっている。危険がないか監視しているだけなのは分かるけども。


二日連続ギリギリ。

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