22.イケメンに抱っこされて
前回のあらすじ
黒いわんこのランが仲間になった。
おわり!
「見えてきましたね。あれが私の村ですよ」
日はまだ高い。結構遊んでたのに、思ってたよりも早く着いたようだ。
「へぇ。なんか村と言う割にはすごいな」
奥に見えてきたのは、木と石でできた大きな壁だ。木と石とはいっても、石の壁に補強と装飾を兼ねて木材が使ってあるのだ。大きさは、ララストルの町とそんなに変わらないと思う。むしろ、装飾がある分豪華に見える。
ミリアが返事をした。
「当然です、お祖母ちゃん達が作った村ですから」
そう言えばそんな話をしてたな。それよりも、
「あの壁の飾りは必要なのか?」
割と気になる。木材がまるで蔦の様に壁中をのたくっているのだ。
「あれは、強度を上げるためと、魔よけの魔法陣を兼ねているらしいです」
自分の村のことくらい知っているようで何んとなく安心した。
それにしても、魔法陣てなんなのさ。何でも有りなの? ただ変な飾りとしか言いようがないのだが。
そうこうしているうちに門の前までやってきた。門番はいないが、門の上の櫓に見張りがいる。イケメンのお兄さんだ。
そのお兄さんに向けてミリアが声をかける。
「おーい、ただいまー! ミリアだよー!」
上に向けてブンブン手を振っている。そんなに手を振らんでも、とっくに気づいてたはずだがな。
「おう、おかえりー! 後ろにいる犬は何なんだー?」
ランには俺とミリアの後ろからついてくるように指示していた。何故言葉を理解しているのか、そして何故言うことをしっかり聞くのか、謎の多いやつだ。
「この子は私の使い魔だよ! さっき拾ったー!」
拾った……のかなぁ。
「一応、安全かどうか確かめさせてもらうぞ!」
そう言って、梯子を使って櫓を下りて、下にいるのであろう人に声をかけてから、そのまま門のある壁の上から飛び降りてきた。
ワイルドだねぇ。
身長は160センチほどだろうか、俺たちに比べたら大きいが、思ったよりも小さい。でも、イケメンオーラのせいで、すごく高く見える。ミリアのように薄いピンクの入った白い肌で、中性的な顔のようではあるが、しっかりと男らしさを感じさせるイケメンだ。
上下緑のまだら模様の服を着ていて、どことなく迷彩の様になっている。その上から、胸当てなどの軽い鎧を付けて、腰にはミリア同様、短剣と長剣が刺さっている。二本の剣はエルフの戦闘スタイルなのだろうか? 見る機会がなかったのでわからない。
そして、なぜかミリアの方ではなく、俺の方へ向かってくる。あ、あれ? 近寄んなイケメン。イケメンオーラで委縮しちゃうだろ。
無意識にたじろいでいると、イケメンは俺の目の前で跪き、言った。
「あなたが、ミリアと契約した精霊様ですね。私はこの村の警護をしているルーマルと言います。ミリアの兄です。ミリアとの契約、本当にありがとうございます」
イケメンのお兄さんは本当にお兄さんだった。
ルーマルは、俺にニコッと笑いかけてくる。やめろぉ。そんな目でみるなぁ。いつの間にか一歩後ずさってしまった。
それを見たルーマルは心配そうにこっちを見て、近づいて来ようとした。
「ルーマル、ローはどうでもいいの! 早くランを見てよ。そんなんじゃいつまでも村に入れないでしょ」
どうでもいいって、おま。ミリアの兄貴に対する態度は、別人のようだな。
「でも、精霊様が何か苦しそうにしていらっしゃるから――」
「ローは人見知りだからいいの。ルーマルが近付いたら余計に怯えちゃうでしょ」
ミリアの前で人に合うのは二回目なのだが、なぜ人見知りがバレたのだろう。……まあ、バレるか。初めて会ったときも緊張してたし、女将さんの前では借りてきた猫だったしな。
こちらにすみませんと言ってから、ミリアの方へと向かうルーマル。
やっと消えたな。やれやれ、これだからイケメンは困る。
ミリアはランを撫でている。撫でられているランは、ルーマルが近づいてきても、まったく警戒する様子がない。
それにはルーマルも驚いているようで、
「本当に犬だな。どうやってこんな凶悪な魔物を従えたんだ?」
犬はマジで凶悪なのか。いまだに信じてなかったよ。資本主義の犬め! とか言えないじゃん。
「ローが捕まえてくれたの。それで餌をあげたら、言うことを聞くようになったんだ」
ジェスチャーを交えながら、楽しそうに報告するミリア。
マジでお前誰だ、って言いたい。何この可愛い女の子。俺知らない。
ああ、でも会ったばかりの時は可愛かったよ。
その後しばらく兄弟で話し合っていた。ミリアが一方的に報告してただけだが、ルーマルもいつの間にか一緒になってランを撫でている。
俺はと言えば、ルーマルがミリアの方へ向かってすぐに、荷物を背負ったままなことに気がついて降ろし、芝生のように刈り揃えられた草の上で横になっている。
そよ風が気持ちいい。
…………。
「ロー! 起きて!」
ミリアの声がする。ここはどこだ? なんかふっかふかのベッドの上にいる。……二度寝しよ。
「こらこらこらこら。また寝ないでください。もう夜になっちゃいましたよ。元に戻る方法はいらないのですか?」
あー、すっかり忘れてたな。そのために走って来たんだっけか。あれ、なんで室内にいるんだ?
体を起こす。
「ミリアおはよ。ランもおはよ。いつの間に室内に来たんだ?」
ミリアの隣では、ランがお座りしている。
「おはよ、じゃないですよ。もうすぐ夜になっちゃいますよ」
あたりを見回してみると、木材でできた家は、子供の頃に泊まった山荘を彷彿とさせる。そして、ミリアが言った通り夕方なようで、室内は夕焼けに染まっている。
「いつの間にか寝てて、起こそうとしても起きないから、ルーマルに抱っこして連れてきてもらいましたよ」
イケメンに抱かれてしまったようだ。意識がなくてよかった。
「ごめん。それよりも、ミリアは誰かに元の戻る方法を聞かなかったのか?」
強引に話を変える。俺が寝てても、ミリアが話を聞けばよかろうなのだ。
「私はお母さんとお祖母ちゃんに挨拶して、あとは皆にランを紹介してきたので、そんな暇はないです」
みんなと話したんなら絶対聞く時間あったよな。どーせ、忘れてたんだろうな。
「はいはい。じゃあミリアのお母さんかお祖母ちゃんに聞きに行こう」
で、布団を降りたら靴があった。そういえば、宿で起きた時は履いてたっけ? なんて、どうでもいいことを考えながら、
「サンダルは荷物の中か? もう走らないし、とりあえずそっちを履きたい」
「荷物の中に入れたままですよ。今取ってきますね」
取ってきてくれるらしい。ミリアは中途半端に優しい娘だ。
表現が微妙だったので早速修正しやした。
一番直したいところ忘れてた。ロー無視され過ぎワロタ




