番外 一章のまとめ
一章の伏線を思い出すために書いたあらすじです。せっかくなので公開しておきます。
順を追ってきた方はスルーしても問題ありません。
内容を忘れたら読むといいかもしれません。
(閑話は含まない)
バイト先から帰る途中だった男「木之瀬太郎」は己に向かってくるトラックに気が付いた。
死の恐怖を感じた太郎は火事場の馬鹿力により、その危機を脱したかに思えたが、道路の窪みに足を取られて死亡した。
そのはずだった。
しかし、痛みを感じてすぐに彼の眼前に、桁違いな大きさの木があることに気が付く。
そこでその大きな木「神木、エストイア」によって新たに「ロー」と命名され、その神木によって管理される「東の森林」で精霊として暮らすことになった。
精霊は精神体であるため、物理的な体を必要とせず、魔力がある場所ならどこでも生きていける。その上、無い体には疲労など存在せず、眠ることも必要としていなかった。
精霊になってすぐは直接神木の世話をすることになった。ロー自身はサボりたかったが、神木の持つ所有者としての命令には逆らうことができないのであった。精霊の仕事は不眠不休であるため、実際には存在しない疲労をローは感じるようになる。
その仕事の合間にローは神木にいくつかの質問をしてこの世界の知識を得る。森が半径50キロほどの円に近い形であること、辺りを草原、町、農地、海、山に囲まれていること、神木の影響で魔力の濃いこの森では動物が魔物に変異することが多いことなどだ。
そして、十日ほどで南側(海側)の巡回の任務を預かることになる。
その間に、南側は基本的に何も起きないので、巡回だけでなく、たびたび訪れる悪意ある人間を追い払う手伝いをしたり、現れる凶悪な魔物の退治を手伝ったりする。
無理やり働かされ心が疲れていく中、何も起こらない手持無沙汰な状況で、日本でいたころに見たゲームや漫画の技を魔法によって再現して遊ぶようになる。
その合間にゲームの音楽を口ずさんでいると、黒髪の少年がそれにつられて音の主を探し始める。
それに気が付いたローは神木にそのことを報告すると、その少年を稀にしか使われない南の街道を通る人間だと判断した神木がその少年の監視の任務をローに与える。
ローは本来人見知りではあるものの、いつまでも探している少年に見かねて話しかける。その少年は「ハルト」と名乗り、神木の見立て通り南の街道を東へと向かって歩いているのであった。
その後、ローは親睦の命令通りハルトに同行し、道中この世界の常識について幾つか尋ねることになる。
そこで、ハルトの持つ不思議な力や、この世界では詠唱によって人間でも当然のように属性によって分類される魔法が使えること、精霊は人間と違い属性に縛られない自由な魔法を操れることなどを知る。
その日は道中に野営し、その間にローは久方ぶりの自由をぼーっと過ごし、安らぎを得ていた。
それと同時に、人間でなくなったことに寂しさを覚えるが、ハルトがあまりにも無防備に起きてきたことに驚き、寂しさを忘れることができた。
その後、特に会話もなくただ歩いているハルトの肩で再びゆっくりと休む。
森の出口に着いたハルトは、ローと出会ってから道中獣に襲われなかったことの原因がローではないかと尋ねたが、ローはそんなことをしていないので否定した。
最後に寂しそうに再開を願うハルトを無言で見送り、異常は無かったと神木に伝えた。
それから一週間ほどが過ぎ、いつも通り南の巡回をしていたローはゾンビが森に侵入していることに気が付く。
神木に討伐の許可を得たローは作っておいたパクリ技をによってゾンビを倒すことに成功する。
討伐を神木に報告すると、今度はゾンビを連れてきたと自称する少女のような見た目の妖精が現れる。再び神木に報告し、応援が来るまでの足止めを命令される。
他の技のために作った糸で妖精を拘束し、ローは仲間を待つ。やってきた仲間にその妖精が「いかれ妖精のラリ」と呼ばれていることを教えられる。
どうやらラリは、以前にも似たようなことをやっているらしかったが、目的が分からなかったから帰されていたのだ。それに、本来ならば妖精は住処の近くからは離れないはずなので、目的もなく二度やってくるとは思われなかった。
尋問をしてみるものの効果はなく、扱いに困っていたところで、ラリにお兄ちゃんと呼ばれるラリとそっくりの妖精がラリを探してやってきた。
精霊がラリを拘束して問い詰めていたにもかかわらず、その妖精は状況を察して頭を下げる。
自己紹介により名前がルイであると分かり、ルイにラリの目的を尋ねた。それは妖精の村の魔力が減少し、更に魔物が大量発生しているので、東の大森林を新しい住処にすべく魔物を誘導してやってきたというものであった。
その後、大した被害も無かったので妖精たちをそのまま帰し、元の平穏な生活に戻ったのだった。




