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【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その8

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84話 お嬢様もそれなりに考えて迷い悩んでます

(どうしたものかしら)

 カナエもそれなりに考えていたし迷っていた。

 今回、他に方法もないと思ったので冒険者達の意見をそのまま受け入れた。

 問題はあるとは思うが、それ以上に利点もある。

 彼等の言葉を信じるならばだが。

(今はそうするしかないかもしれないけど)

 どうにも不安がぬぐえない。

 心配とも言う。

 決めた以上どうしようもないが、あのような決断を下して良かったのかと悩む。

 冒険者達の言ってる事は確かに理にかなってるように聞こえた。

 しかし、モンスターや戦闘について知識や情報がろくろくない。

 本当に言ってる通りなのかも分からない。

(詳しい人がいてくれたら良かったのに……)

 護衛として兵士が何人かついてきてはいる。

 しかし、モンスターとの戦闘などを想定した者達ではない。

 戦う事を拒みはしないだろうが、あくまで警護が基本の者達である。

 モンスターと戦うにあたっての心得のようなものはさほどない。

 居合わせても適切な助言が得られたか分からない。

 何より、役目を考えれば会議における発言を認められるわけもない。

 役目を考えれば、それは越権行為に等しい事だ。

 だからカナエも会議に参加させなかった。

 というより、参加させるという発想そのものがない。

 幼い頃からの貴族の教育のたまものであろう。

 地位や身分といったものへの考えが、無意識に彼等を排除していた。

 護衛の兵士を見下していたのではなく、役目から逸脱してるので思いつきもしなかったのだ。

 カナエの常識がもたらした結果と言えるだろう。



 ただ、居合わせた者達の中で、ヨシフミ達以外にこの手の事を話せる者はいなかった。

 他の者達も戦闘の事などは分からない。

 村を守っていた者達の大半は亡くなり、残ってるのはシイナとナギだけである。

 その二人を村の代表側に据えていたとしても、大した違いはなかっただろう。

 適切な助言なり意見が出て来る可能性は低い。

 彼女らは優秀な魔術師であり戦士であるかもしれないが、作戦を考える指揮官や参謀・軍師ではない。

 ヨシフミ達とてそれは同じであるが、積み上げてきた経験が違う。

 該当する技術・知識はなくても、応用できる他の技術をもっている。

 また、これまでの経験が、技術レベルがないなりに応用手段を提示してくれる。

 それに比べればシイナやナギ、そして護衛の兵士達の智慧がどれだけ役立つか分からない。

 何事につけそうであろうが、専門分野で専門家をしのぐ事は出来ない。

 不可能でないにしても難しい。

 そんな所にカナエは放り込まれているのだ。



(でも、信じるしかないでしょうね)

 上手く騙されてる、利用されてるという懸念はある。

 彼等が正直で信をおける人間であると思いたいが、こればかりは何とも言えない。

 今は言われるがままに動いていくしかなかった。

 最悪、それで問題が起これば彼等の責任にもなる。

 最終的な決定を下したのはカナエにしても、そうなるような情報をもたらしたのは冒険者側である。

 問題点があるならそれも伝えてカナエに決定させねばならない。

 それを怠ったのであれば、カナエは被害者になる。

 知りうる限りの情報を判断材料として提供する。

 最低限求められる事であろう。

 話を有利にするための駆け引きでそれを提示しなかったのならば、しなかった側に問題がある。

(つつくとしたらそこかしら)

 年若いとはいえ、貴族として様々な場面を見てきたカナエはそう考えていった。

 彼女は冒険者の持つモンスター相手の智慧や経験はない。

 だが、貴族としてのものならばある。

 それが彼女に保身の術を教えてくれていた。

 もっともこれは、保身ですらない、最低限必要になる誠意の問題であろうが。

 最初に必要な情報を提示しないなら、それは非難されても仕方が無い。

(そうでなければ良いのだけど)

 悩みは尽きなかった。



 カナエの不安は、冒険者達によって村が荒らされる事にあった。

 別に暴力などを問題にしてるわけではない。

 彼等の言いように、都合の良い方向に物事が動かされる事への懸念である。 

 ヨシフミが感じた主導権争いにあたるだろう。

 実際、今日の会議における主導権は冒険者達が握っていた。

 やむをえない事であるが、これが他の場面でも出て来たら困る。

 居てくれないと困るが、だからと言って彼等の都合の良い状況だけを生み出すわけにもいかない。

 村はあくまでも村のものであり、外部の人間のものではないのだから。

 そのあたり、ヨシフミ達がどう考えてるのかが気になっていた。

 ミノリを冒険者達に加えたのも、そういった警戒が理由でもあった。

 経験を積ませたいというのも理由であるが、監視や警戒という目的もある。

 殊更何かしろとは言ってないが、とにかく一緒に行動して感じた事を報告させる事にしている。

 見聞きした事、一緒にいて感じた事をそのまま素直に。

 それで見えてくる事もあると思って。

 ついでにレベルアップもしてくれれば御の字である。

(何もなければ良いのだけど)

 ミノリに変な事がされてなければ良いという事と。

 冒険者達がよからぬ事を考えてなければという事の二つについてである。

 もっとも、良くも悪くも単純なのが冒険者というか一般人である。

 カナエが接してる貴族のように、何かしら裏があるような事は滅多にない。

 言動行動に背負ってるものがかかってしまう貴族と違うからかもしれない。

 貴族とてそうそう毎日権謀術数な事をしてるわけではないが。

 そんなものと無縁な所に冒険者がいてくれる事を願った。

 とにもかくにも、彼等の意見の通りにやる事にしてしまったのだから。

 実は裏がありました、では困ってしまう。

 こちらの話もよろしく


「金持ちに転生したので親のすねをかじって冒険に挑戦します」

http://ncode.syosetu.com/n7411dr//



「クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-」

http://ncode.syosetu.com/n7595dj//

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