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【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その8

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83話 こちらの意見が通ったようで安心したいがどうだろう

「やるしかないでしょう」

 カナエの言葉はすぐに出てきた。

「正直不安はありますが、何もしないでいるわけにもいかないでしょう。

 その方が無難であるなら、そちらを選びます」

 村人や職人達が落胆気味な顔をする。

 対してヨシフミとハルオミは安堵する。

(変な風にむきになってくれなくてよかった……)

 以前の会話で、主導権争いをしそうな雰囲気を感じてただけに安心した。

 余計な注釈をつけて、先ほどの発言の事実上無効化する可能性はあるが。

 幸いそんな事もなく、カナエは冒険者達の意見を取り入れていく。

「この村から離れた所にモンスターを集めるならその方が助かります。

 また、集めたモンスターを倒す事が出来るならそれに越したこともありません」

 村を守る事に変わりはないが、それが防御的なものから攻撃的なものに変わっていく。

「それに、はっきり言えば手に入れた核による利益もはかりしれません。

 お金の事を口にするのは卑しいかもしれませんが、税収にも結びつく事ですので」

「いや、金の事を卑下する事は無いだろ。

 無くて困るもんなんだから、ありがたく手に入れればいいだけだ」

 このあたり、道徳観による考え方や世間の風潮というのがある。

 がめついのは卑しいというものだ。

 確かに金だけしか考えず、他の全てを後回し、もしくは踏み台にするのはいただけない。

 だが、それが粋すぎて金を否定するような事が正しい、清廉だと思われてるのも確かである。

 それはそれで問題であった。

 生活手段である金を否定してしまったら、生きていく事を否定する事に繋がる。

 そんな馬鹿げた考えも害悪に他ならない。

「稼げるならどんどん稼げばいいんだよ。

 税金だって増えればありがたいんだろ?」

「仰る通りです。

 税収があれば、今より大きな事が出来るようになります。

 この村の設備もより充実させられます」

 徴収した税金がまともに使われればである。

 そのあたりは統治者を信じるしかない。

「そうしてくれ。

 とりあえず寝床の確保を早くな。

 いつまでもテントじゃきつい」

「可能な限り急ぎます」

「あとは、飲み食いする所が増えてくれると助かる」

 これは冗談めかして言った。

 しかし、全くの冗談というわけでもない。

 職人を含め、数多くの人間が詰め込まれてる状態だ。

 それらが飲み食いする量はかなりのものになる。

 村人がやっていた酒や小料理を出す食事処兼飲み屋では手狭になっている。

 いや、そんな可愛い表現ではあらわしきれない。

 ささやかな娯楽である酒を飲む場所がないという事で、多くの者達がストレスを感じていた。

 村の方でも食材や酒を大量に仕入れるようになったが、それでも全然足りてない。

 何より、場所が足りなかった。

 店の外にあふれた机と椅子で、切り広げられた村の敷地の多くを占有してしまっている。

 しかも野ざらしなので、雨が降ったら使えない。

「それはこちらとしてもどうにかしたい所だな」

 村の者が同調する。

「俺らの楽しみも取られちゃかなわん」

 一同、笑い声をあげた。



「まあ、やるとなったらやれる事をやるわな」

 会議が終わって退室しようとするハルオミの言葉にヨシフミは笑って応じた。

 求める方向に決まったのは良いが、これからが大変になる。

 数多くのモンスターを倒さねばならないのだから、負担は大きくなる。

 実入りの大きさも確かだが、無理を背負い込む事にもなりかねない。

 それを考えると、やはり緊張してしまう。

「やれますかね。

 今日は上手くいったけど」

「やってみりゃ分かるさ。

 いつだってそんなもんだろ」

「行き当たりばったりってやつですね」

「臨機応変と言え」

「よくそんな言葉知ってますね」

「おい、俺を何だと思ってるんだ」

 言いながら登録証である水晶を握る。

「見ろ、ちゃんと頭も鍛えてるんだぞ」

 表示された能力表の一部を指していく。

 それを見てヨシフミは、困惑とも取れる表情を浮かべる。

「ええまあ、一応ありますね。

 一般教養がレベル2とか」

 この世界の一般人としては結構なレベルである。

 が、自慢するほどの事でもない。

「まー、すごいですねー」

「棒読みで言うな」

 ヨシフミからの正当な評価に、ハルオミはチョップで抗議を入れた。



(けど、あの子はどうすんだろ)

 会議を行った小屋を振り返って考える。

 この前の会話から、こんな調子で冒険者側の意見を聞くとは思えなかった。

 それがほぼ要求通りになっている。

(何考えてんだろ)

 裏で何か考えてるんじゃないかと思えてくる。

 要望を通したのだから、相応の成果を出せ、と言ってくるのではと。

 やりたいようにやらせて、失敗したら糾弾する、というのも考えられる。

(考え過ぎかねえ……)

 さすがに勘ぐり過ぎだとも思う。

 だが、腹芸の一つ二つをこなしてそうな気もする。

 何を画策してるか分からないという警戒は、それなりの権力や権限を持ってる者への対処の一つである。

(本当、何考えてんだか)

 そう考えさせる事が、もしかしたら何かの術中にはまってるという事なのかもしれない。

 そうも考えてため息を吐く。

 余計な事に気を取られたくないのだが、なかなかそうもいかない。

 こちらの話もよろしく


「金持ちに転生したので親のすねをかじって冒険に挑戦します」

http://ncode.syosetu.com/n7411dr//



「クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-」

http://ncode.syosetu.com/n7595dj//

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