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【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その1

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8話 能力測定と今後の役割分担について

 日があらたまり、朝が来る。

 ベッドで目をさましたヨシフミは、今までにない違和感を感じた。

(…………あれ)

 見慣れた宿舎の雑魚寝部屋ではない。

 狭い部屋、硬いベッドというのは同じだが、間取りが狭い。

 棚と大してかわらない、頑丈なだけが取り柄の三段ベッドが三つ。

 それが入るだけの部屋にいる。



(ええと……)

 寝ぼけた頭の記憶回路を起動していく。

 すぐに現状への回答が出てきた。

「そうだ」

 昨夜、大人数で泊まれる格安の雑魚寝部屋ではなく、こちらの少人数用の部屋に泊まった事を思い出す。

 野郎共の中にアヤを連れていく面倒を避けるため、昨夜は人数限定のこの部屋にしたのである。



(くそぉ……)

 予想外の出費だった。

 昨夜、ここに決めたときもそうだったが、再び悔しさをおぼえてしまう。

 雑魚寝部屋だったら一晩一千銅貨で済むが、こちらだと一人につき一晩二千になってしまう。

 単純に二倍、しかもアヤの分まで払うから一晩四千。

 今までの四倍の支出だ。

 こういう所でも予想外が起こってしまう。

 今後更に同様の問題は増えていくだろう。

 考えると頭が痛くなってしまう。



(まあ、今更だな)

 もう既に奴隷として購入してしまったのだ。

 引き返すわけにはいかない。

 起こっていくであろう問題は解決して進むしかない。

 何よりも、稼いでいくしかない。

(高い買い物にならなきゃいいけど)

 そうならないようにこれからを頑張るしかなかった。



「さてと」

 朝飯を食べ終わり、食器を片付けた二人は、あらためて話しをしていく。

「とりあえず能力を調べておこう」

 そう言って周旋屋の受付の方に向かう。

 仕事の請負で騒々しい所を抜け、新規登録などの方へと向かっていく。

 そこにいた年配のオッサンがいかつい顔を向けてくる。



「どうした?」

 顔と同様に岩のような声だった。

 低く、落ち着いてるというのだろうか。

 慣れてない者には、顔と相まっていささか怖い印象を与えかねない。

 実際、子供などがこのオッサンを見て泣き出しそうになる事もある。

 その度にしょんぼりしたりしてるので、根は悪い人間ではないのだが。

 ただ、顔を向けられたアヤは、さすがに顔も体も強ばらせてしまった。



「オッサン、もうちょっと顔を柔らかくしろよ。

 こいつが怖がってるだろ」

「ん、そうか?」

 そう言ってオッサンは笑顔を浮かべようとする。

 無理矢理な違和感が浮かび上がり、どうにもおかしな表情になってしまう。

「どうだ?」

「いや、まあ、うん……それでいいと思う」

 そんなわけはない。

 あまりにも不自然過ぎて笑いそうになる。

 何度か見た事があるので多少耐性はついてるが、油断すると吹き出しそうになる。

 アヤなどは、うってかわって笑わないようにするのに必死になっていた。



「で、どうしたんだ。

 こっちに用事があるとは思えんが」

「いや、こいつの能力を測ってもらいたくてね」

「ん、まさか登録するのか?」

 さすがにオッサンも意外そうな顔をする。

 それもそうだろう。

 十三の小娘なのだから。

 それが周旋屋に来て能力をみてくれといっている。

 実質、それは登録をして仕事をしていくという事につながる。

 それが多少なりとも技術を有してるような者ならまだ分かる。

 しかし、男物の服に身を包んでるとはいえ女となると驚くしかない。



「何か事情でもあるのか?」

「あるって言えばあるな。

 まあ、これを見た方が早いか」

 そう言ってアヤに左手の甲を見せるよう命じる。

 言われてアヤは素直にそれを見せた。

 オッサンの顔が更に驚く。

「おいおい、これは……」

 色々な人間を見てきた男だが、それでも驚くしかないようだった。



「……なるほどな」

 話しを聞いたオッサンは、多少納得がいったようだった」

「まあ、そういう奴もいないではなかったが」

「やっぱり、俺が最初ってわけじゃないか」

「まあな。

 色々な奴がここにいる。

 その中には、奴隷を連れて行く奴もいたさ」

 それがどんな奴だったのか、少しばかり気になった。

 しかし、わざわざ聞き出してるほど暇でもない。



「それは今度聞かせてくれよ。

 参考になるかもしれないし。

 それよりも、今はこいつの能力を調べてくれ。

 何が出来るか知っておきたい」

「はいよ」

 あっさりと頷いたオッサンは、能力を調べる魔法装置を持ち出す。

 ガラス、あるいは水晶球のようなそれは、内部に淡く揺らめく光が灯っていた。

「それじゃ、これに掌をのせてくれ。

 なに、すぐに終わる」

 その言葉通り、処理はすぐに終わる。



「これが能力だ」

「おう」

 筆写した紙を受け取ったヨシフミは、落胆も期待もしてない顔で眺める。

「ま、こんなもんか」

 平凡な能力である。

 農作業と家事の手伝いに関わる部分の技術をもっている。

 もちろん高レベルでなどあるわけがなく、全てレベル1であった。

 モンスター退治に役立ちそうなものはない。

 だが、補助作業としては悪くない。



「家事と調理ね。

 ま、これだけでも出来れば十分だ」

 何も出来ないよりは良い。

 むしろ、手伝いというなら都合が良いとも言える。

 ただ、外に連れていくなら、身を守ったりも出来ないと困る。

 さすがにそこまで求められないが。

 とはいえ、これでやってもらう事がほぼ確定した。



 これだけしか出来ないが、これが出来るなら戦闘以外の雑用を任せてもよさそうだった。

 モンスター退治で必要になる作業は戦闘だけではない。

 食事もとらねばならないし、奇襲をされないように罠を仕掛ける事もある。

 戦闘中に他のモンスターに強襲されないよう、周囲への見張りもしなければならない。

 野宿もするので、交代の見張りも求められる。

 それらを一人でやるのは限界がある。

 手助けしてくれる者が欲しかった。



 直接戦闘をする者でなくてもかまわない。

 最低限身を守れればありがたいが、他の作業をやってくれるだけでも助かる。

 一々メシの用意や道具の片付けなどをするのも面倒なものなのだから。

 そういう事を考えると、アヤの能力はありがたいものがあった。



(重い物は荷車で運ぶとして。

 雑用をやってもらえれば助かるな)

 大雑把ながら、それを彼女の役割にしていこうと思った。

(あとは、倒したモンスターから核の回収くらいか?)

 出来る事と言えばそれくらいであろう。



 ただ、何をするにしても高望みは出来ない。

 何も出来ないわけではないにしても、レベル1では高が知れている。

 年齢を考えれば妥当であるが、それで出来る範囲でやってもらうしかない。

 それでもやはり、一人でいるよりは良い……はずである。

 そう信じたかった。

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