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【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その8

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74話 強引に決めてくれるのも時にはありがたい

「おっ」

「来た来た」

「すげえな、やっぱり」

「さすがだ」

 感嘆の声があがっていく。

 村に、小さな村には似つかわしくない集団の到着にふさわしい。

 それだけの規模であった。

 出迎えも、村長、そしてカナエ両名が出る。

 賓客ではないにしても、待ち望んだ者達である。

 それくらいの礼は示しておこうという配慮だった。

「ようこそ」

 村長がまずは声をかける。

 カナエはそれに続く。

「お待ちしておりました」

 言われた相手は、はにかむような、満更でもないような顔でそれを受ける。

「そう言われると照れるわな」

 ぶっきらぼうな口調である。

 だが、決して悪気はない。

 嫌みもない。

 礼儀はないが、不実も無い。

 作法を知らぬが故にやむなきが、人としての誠意はあった。

「依頼を受けて来ました」

 鋼鉄支隊の建部ハルオミはそれを二人への返事とした。



 町に居た、ハルオミ配下の鋼鉄支隊の全ては村へと移動した。

 ヨシフミからの情報、適切な狩り場としての情報を聞いての判断だった。

 町での影響力、周旋屋からいの一番に仕事を回してもらう権利を放棄する事になった。

 それでもやってきた辺り、ハルオミも賭けているのだろう。

 まだ寝泊まりする場所すらない村にやってきたハルオミは、さっそくテントをひろげていった。

 そして、今後の事を話し会う為、主な者を集めて会議を開く。



 何せ場所がないので、鋼鉄支隊がたてた大型テントの中で会議は行われた。

 責任者として村長とカナエも出席し、その名の下で始まっていく。

 当然ながらハルオミと、鋼鉄支隊の主な者達も並ぶ。

 それだけでなく、村における様々な増築作業の責任者も。

 そうそうたる顔ぶれと言えなくもない。

 小さな村の関係者だけなので、社会的地位などにおいてはさして目立ったものはないが。

 だが、これからの事を話し会い、道筋をつけるためのものである。

(なんで俺が?)

 出席を求められ、断る事もできなかったヨシフミは首をかしげるしかなかった。



 そんなヨシフミをよそに話は進められていく。

 といっても大した内容ではない。

 些事ではないがこの場の責任者全員集めてやる程の事か、というものでもある。

 ようは警備計画である。

 モンスター退治をしつつ村の警備をどのように行うか。

 それを決めるためのものである。

 今は村で行われてる作業の警備だけを考えれば良いのだから、ここまで大げさにやる必要はない。

 今後の作業方針や手段を決めるというよりは、全員の顔見せという意味合いが強い。

 儀礼と言えばそれまでである。

 とはいえ、仕事の話を通じてひととなりを計るという意味もある。

 個人としての性格や人格も、こういった所で滲み出る。

 見極めるための機会としての意味を求められていたとも言える。

 ついでながら、鋼鉄支隊の発言権の強さを示す事にもなった。

 現状、領主の兵力があてに出来ないので鋼鉄支隊に依存する事になる。

 これがバラバラの冒険者の一団が集まっていたならこうはならなかっただろう。

 しかし、鋼鉄支隊という数十人規模の集団がいるというのは、それだけで相当な威力を持つ。

 村長やカナエであっても、その意見や意志を押しとどめるのは難しい。

 ハルオミにそういうつもりは無いが、仕事がやりやすくなるように色々と意志を通していく。

 それが他の作業に影響を及ぼす、善し悪しはともかく作業の変更を求められる事にもなる。

 どうしても鋼鉄支隊の都合を優先していく事にもなっていった。

 無理無茶無体を言ってるわけではない。

 意志を通す、都合を押しつけるとはいえ、それで作業が滞るわけではない。

 むしろ安全性を確保する事を優先するために、どうしても鋼鉄支隊の言い分を通さざるえない場面の方が多かった。

 結果として他の作業が滞ったり、見直しをはからねばならない事にもなるが、それはやむなき事と言えた。

 不平不満もあがりはしたが、反対意見も警備や安全性の観点からの発言を聞いては押し通す事も出来ない。

 結果として、鋼鉄支隊が動きやすい形に落ち着いていった。



 それを聞いていたヨシフミは、強引だとは思いつつも妥当な所に落ち着いて安心していた。

 他の作業は確かに制限される事もある。

 だが、周囲にモンスターがいる以上それも仕方が無い。

 当初の計画から遅れが生じる事もあるだろうが、安全性を無視した、考えもしなかった計画なら当然の結果である。

 むしろ、モンスターへの警戒も無しに計画を立てたのかと言いたくもなる。

 それ程無茶な計画ではなかったが、やはり多少は考えの甘い所があった。

 ハルオミによってそれが一気に表面化しただけの事であろう。

(誰がこの計画を立てたんだ?)

 そちらの方が疑問であった。

(まあ、こういうのは現実と現場を知らない偉い人が立てるもんだろうけど)

 その予想通りである。

 計画を立てたのは領主のもとにあるお役所である。

 ただ、彼等も無能というわけではない。

 実際にモンスターとやりあってる軍などの情報をもとに作り出した計画である。

 それほど大きな齟齬がないのはこれが理由である。

 しかし、軍という効率的に活動してる所をもとにするのがある意味間違ってるだろう。

 完全な上意下達、上の命令は絶対、目的達成なら死にものぐるいで行動する集団を前提にしてはいけない。

 軍における建設築城などを一手に引き受ける工兵部隊と、一般的な職人技術者を一緒にしてはいけない。

 命令によって動く者達と、依頼によって仕事として引き受ける者を同一視は出来ない。

 そこを多少は考慮して、効率は落ちるだろうという事を念頭に計画はされていたが、それでもまだ考えが足りなかった。

 否、考えが足りないのではない。

 市井の現実を知らない、世間知らずが原因である。

 それが正しく修正されただけであった。

 反発も多少はあるが、それはハルオミが決めていく事への嫉妬というか、主導権を奪われたという反発である。

 最終的に成り立った作業方針などについては、妥当なものだと納得する雰囲気があった。

 それで目出度し目出度し、で終わるものだと誰もが思っていた。



「そうなると、少し余裕があるという事でしょうか?」

 思いもがけないカナエの発言が終わりつつある会議で上がる。

「もしそうなら、お願いしたい事があるのですが」

「なんですか?」

「もしよろしければですが、こちらの者も連れていってもらえないでしょうか?」

「はい?」

 意外な、というか全く予想もしてない提案だった。

 ハルオミは面食らった顔をする。

 こちらの話もよろしく


「金持ちに転生したので親のすねをかじって冒険に挑戦します」

http://ncode.syosetu.com/n7411dr//



「クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-」

http://ncode.syosetu.com/n7595dj//

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