70話 頼れる仲間を引きずり込んでいく
「……なるほど」
「また、とんでもない事を……」
夜、酒場。
人が多くなりかなり手狭となった店の軒先の更に外。
外に出された席で高槻と萩浦の二人はヨシフミからの話を聞いた。
「まあ、やってやれない事は無いかもしれんが」
「どのくらい集まるのか分からんぞ」
「だよな」
それはヨシフミも懸念してる事だった。
「大量に集めたいんだけどな」
「ああ。
その方が稼げるしな」
「この数がいれば俺らでもどうにかなるだろうし」
高槻と萩浦もそれは考えていた。
町の周辺よりこの辺りはモンスターの出現数が多い。
だからこそ稼ぎが増える。
そして、出来る事ならもっと数多くのモンスターを倒したいと思っていた。
それが出来るだけの人数は揃っている。
レベルの方は少し心許ないが。
それでも、数と弓矢などの遠距離攻撃。
更に魔術もあれば多少はゴリ押しでもどうにかなりそうではあった。
それでも、
「でもなあ……」
「いけるのか?」
と及び腰になってしまう。
敵を知り、己を知れば。
基本中の基本であろうが、その原則に照らし合わせると、片一方が抜けてる状態だった。
分かってるのは己について。
これはヨシフミを含めた三人ともしっかり理解している。
少なくとも、今現在の人数と、それらの持ってるおおよそのレベルくらいは。
モンスター退治の集団としての実力がどれくらいかは彼等なりに理解はしていた。
見落としもいくらかあるだろうが、どのあたりまで出来て、どこからが無理かは把握してる。
分からないのは敵の方である。
モンスターそのもの強さは分かってるが、それがどれくらいやってくるかであった。
こればかりは試してみないと分からない。
また、いまだ姿を見せない猿と熊といわれるモンスターも気になった。
そいつらまでおびき寄せてしまったらどうするのか、というのが懸念材料である。
ここを見誤ると自分達が死ぬ。
だからこそ踏み切れずにいた。
「でも、いけるならもうちょっと欲しいな」
ヨシフミとしてはそう思う。
ギリギリであったが、ヨシフミ達だけでも五十体くらいは相手が出来た。
そこに高槻と萩浦達が加われば、それくらいの数はどうって事ない。
一緒にやってるという機会を逃すのはもったいなかった。
「とりあえず、一度試していないか?」
まずは提案を、と意見を口にしていく。
とにかく黙っていても始まらない。
拒否されようが否定されようが、とにかく言ってみない事には始まらない。
幸い二人はあからさまに却下するような事はしなかった。
「出来るならそうしたいけど」
「でも、どうやるんだ?」
二人からしても、上手く出来るならやってみたいという思いはある。
妙案でもあるならそれに乗っかろうとは思っていた。
「大した事じゃないんだけどな」
そう言ってヨシフミは自分の考えをひろげていく。
聞いてる二人は、その方法でやっていけるかどうかを考えていった。
「それで、明日とりあえずやってみようという事になった」
寝床用に買ってきた大型テントの中で、決定事項を仲間に伝えていく。
「そんなわけで、明日は少しきつくなると思う。
けど、がんばっていこう」
「はあ……」
「はーい」
「分かりましたー」
「うん」
「…………(無言で頷く)」
返事をする者達の顔を見て少し安心する。
腰が引けてるような者はいない。
気持ちが負けてしまっていたらどうしようもないが、これならどうにかなりそうだった。
そして、あえて言っておく事もある。
「ハルにも出てもらう」
空気が張り詰めた。
「確かに技術的には特に何かが出来るってわけじゃない。
けど、最初の射撃くらいはどうにかなるはずだ。
それだけでいいからやってくれ」
実際それも大事な仕事である。
ハルがやってくれれば、他の者がそちらに手を回す必要がない。
その分別の誰かがもっと有意義な作業に向かう事が出来る。
「間違っても難しくないなんて言わない。
大変な事になると思う。
けど、これが仕事だ。
覚悟してくれ」
その言葉にハルは無言で頷く。
表情は硬いがそれも決意の強さのあらわれと信じる事にする。
「ま、この先何を成長させるかは分からないけど、経験値はとりあえず稼いでおこう」
空気を多少ほぐそうとそんな事を言う。
残念ながらさほど効果はなかった。
むしろ、皆に呆れられてしまう。
少々落ち込んでしまうが、そんなヨシフミが皆の笑いをさそった。
結果として空気が和んだから良いと思い、涙をのんでいく。
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