65話 何が出来るか、何をさせたいか、何をしたいか
「でも、二人とも村で必要なんじゃ」
「それはどうか分かりませんー。
でも、お爺さんはそう言ってました」
「村、自分達でやる、そう言ってる」
「えっと、つまり村から二人とも出て来ても大丈夫ってこと?」
「そうなりますー」
「そうだ」
二人とも素直に頷いた。
思ってもいない事に頭が追いつかない。
ただ、選べる道が増えた事だけは理解出来ていった。
貴重な戦力になる二人を手放して大丈夫なのかと思うが、村にも村の考えがあるのだろう。
どんなものかは分からないが、そのうち尋ねてみるまで分かる事は無い。
今は二人が共に活動する事が出来るという事が分かってるだけである。
予想外の事であるが、ありがたい。
町を散策しながら聞いた話しでは最上のものであった。
「それでこれからだけどさ」
周旋屋に戻ってきて五人と広間のテーブルを囲む。
食事にはまだ早いが作戦会議には丁度良い。
「一緒にやってくとして、今後の方針を決めておきたい」
「なんだよいきなり」
サキが不思議そうに尋ねてくる。
「今更何を決めるんだ?」
「まあ、レベルアップが基本になるけど」
「なんでまた?」
「ある程度方向性を決めて集中しておかないと、後々で面倒なんだよ」
その辺りの説明もしていく。
レベルアップがそれほど早く出来るものではない事。
だからこそある程度成長の方向性を決めておかねばならない事。
各自がバラバラにレベルを上げていったら、まとまった戦力にならない事。
最低でもレベル3、妥当な所でレベル5までは一つの技術を上げておきたい事。
「これをやろうと思ったら、一年はかかる。
一年でも、正直厳しい。
だから、まずはどういうのを成長させていくかを決めておきたい」
「なるほどー」
「分かった」
とはいえそれほど難しい事はない。
基本的に今の方向性を伸ばしていく事で概ね問題ない。
サキは戦闘関係の技術を。
シイナは魔術。
ナギは弓。
それで良かった。
細かな事を言っていけば更に色々あるが、それらもさして問題のない範疇である。
前衛後衛のバランスから言っても、現状でさほど問題は無い。
シイナとナギが後ろで攻撃し、ヨシフミとサキが前に出る。
このやり方で問題はなかった。
ただ、アヤとハルはどうするかだった。
「まさか戦闘してもらうわけにもいかないしな」
「じゃあ、どうすんのさ」
「それが分からないから困ってる」
そこに尽きる。
さすがに十三歳と十一歳に無茶を命じるわけにはいかない。
ではどうすれば良いのか。
「料理をがんばってもらう」
サキの求めは分かりやすかった。
それは間違ってるわけではないが、それだけというわけにもいかない。
「他に何かありますかねー」
「外で活動、その技術」
「まあねえ。
全員戦闘する必要はないわけだし」
実際には、戦闘もしてくれないと困る。
しかしそれだけでは成り立たない。
食事などの作業も必要に成ってくる。
それらを支える人間は欲しい。
だが、そういった者を抱える余裕があるかというとそうではない。
そんな事が出来るのは大所帯の一団だけである。
戦闘に直接関わらない生活支援的な作業をまかなうのは並大抵ではない。
それでもアヤに料理の技術レベルの上昇を願ったのは、それくらい余裕はどうにかなると思われたからである。
レベルがギリギリならそうも言ってられなかっただろうが、ヨシフミはレベル5になっている。
犬頭くらいならどうにもでなった。
サキも加わった事で倒せるモンスターの数にも余裕が出来ている。
アヤが戦闘に加わらなくても、一人くらい非戦闘員を抱える事は出来るはずだった。
ただ、これからはどうなるか分からない。
何らかの形で戦闘には関わる事になるだろう。
一緒に行動してれば避けられない。
ではどうするかを考えていかねばならない。
「でもまあ、最初は生活関連の技術でいいかもな」
そう言わざるえない。
何せまだ幼い。
アヤはともかく、ハルは体も出来てない。
体力をつけさせるとかそういう以前の問題である。
これから成長期を迎える子供だ。
無理をさせるわけにはいかない。
戦闘技術を身につけさせるにしても、それを活かすのは難しいだろう。
身を守る手段として身につけさせるべきかもしれないが、それなら別の技術をおぼえさせても良いかもしれなかった。
「何を学んでもらえばいいのかねえ」
そこが悩みどころだった。
貴重な経験値をどのように用いるか、それは重要な問題になる。
それの解消方法もあるにはあるが、手間と危険が大きくなる。
だが、試しにやってみようと思っていた。
上手くいくかどうかは分からなかったが。
今はまず、アヤとハルのレベルアップである。
二人にとって何が良いか、二人はどうしたいか。
それを聞いて考えていくしかない。
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