表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その7

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/93

61話 さあこれで二人目だ、しかし単に手間が増えただけな気もする

 戻ってきた町は大して変わってなかった。

 なんだかんだ言っても二ヶ月しか経ってないのだから当たり前である。

 その足でヨシフミは一旦周旋屋へ向かう。

 まずは荷物を置いていかねばならない。

 旅の荷物を担いだままではさすがに何も出来ない。

 懐かしいという程でもない周旋屋にたどりつき、すぐに宿泊所の部屋を押さえる。

 少人数用の部屋を確保し、預けられる荷物を受け付けで預け、それ以外は持ったままにしていく。

 部屋に置いておくと盗まれる危険があった。

 部屋に忍び込むのに便利な技術を持ってる者はいるし、周旋屋の人間でも手癖の悪いのはいる。

 なので貴重品は預けるか身につけるのが基本だった。

「あとでこの二人を登録するから待っててくれ」

 そう言って周旋屋を出る。

 受付のオッサンは、

「慌ただしいな、おい」

と言ってきたが、話しこんでる時間はない。

 アヤ達と一緒に奴隷商人の所へと向かう。



「こらまた稼いだな」

 驚きの声をあげる奴隷商人に、

「それは後でいいから、買い取りを早くしてくれ」

と急かす。

 ようやくハルを買い取れるとあって、アヤが期待に満ちた目をしている。

 一緒についてきた他の者達も興味深げに見ている。

 それを意に介することなく、奴隷商人はハルをつれてくる。

「それじゃ契約だ。

 内容を確認してくれ。

 構わなければ名前を書き込め。

 それから制約の魔術をやる」

「はいはい」

 言われて契約書を眺めていく。

 内容はアヤの時と同じだ。

 得におかしな所もないので名前を書き込む。

 そして金を支払う。

 銀貨二百枚。

 アヤと同じ値段だ。

 それを数えて確かにちゃんとある事を確かめると、

「じゃあ、魔術をかけるぞ」

と言う。

 呼び出された魔術師が出てきて、ハルの前に立った。

 アヤにそうしたように、左手の甲に魔術の紋を浮かび上がらせた。

 それから魔術をかける。

 浮かび上がった契約の印が、ハルの買い取りをはっきりと示した。

「じゃあ、これでこいつはお前のものだ。

 大事に使えよ」

「ああ、分かってる」

 言われるまでもない。

 二人合わせて銀貨四百枚である。

 これだけの金を注ぎ込んだのだから、すぐに潰してしまうわけにはいかない。

 元を取らねば割に合わない。

 それに、今回買い取る事で余計なものも背負ってしまった。

 それを考えると酷い扱いをしてすぐに潰してしまうような事は出来なかった。

 もったいない、あまりにもったいない事になる。

 これからハルにはしっかりと支払った分も働いてもらわねばならない。

 奴隷としての拘束期間である五年が過ぎるまでは。



「いやー、良かったねえ」

 抱き合って喜ぶアヤとハルの二人を見ながらサキがうんうんと頷いている。

 シイナとナギもそれは同じで、笑みを浮かべている。

 ナギの表情はいつも通りさして変わってないように見えたが。

 それでもハルが奴隷商人から解放されたのを歓迎していた。

「それに大将もなかなかやるじゃん」

「何がだ?」

「またまた。

 あの貴族様からお金を出してもらったんでしょ?」

「仕事の前払いだ」

「それであれだけ出させるんだから大したもんだよ」

 そう言ってニヤニヤと笑っている。

 確かにヨシフミはカナエから金を受け取った。

 仕事の前払いというのも確かである。

 そのためにカナエからの依頼を確実に受けねばならない。

 もっとも、これはそれ程負担になるものでもない。

 山の村でモンスターを相手にしてればいずれは返済出来る。

「それより、お前も一緒に仕事なんだからな。

 しっかりやれよ」

「分かってるって。

 レベルも上がったし、気合い入れていくから」

「はいはい、期待してるぞ」

 まったくそんな調子ではない声で言った。



 それからまた周旋屋に戻り登録に。

 シイナとナギ、そしてハルのを行っていく。

「こりゃまた随分多いな」

 一度に何人もやってくるというのは珍しい。

 長年働いてるオッサンでもなかなか遭遇する事がないようだった。

「たいていは訳ありなんだがな。こういうのは」

 どういう事だと思って尋ねると、ため息を吐いてから教えてくれた。

 奉公先を決めてやってくるならともかく、そうでない場合は何らかの事情がある。

 その中でも、集団で抜け出してきたり、駆け落ちしてきたといった場合などが当てはまる。

 一緒に行動してきた者達がそのまま全員登録という事になる。

 だいたいそんなものであった、一度に何人かが登録しに来る理由とは。

 ただ、一人であろうと複数であろうと変わらない共通項がある。

 働き口の伝手がない、でもすぐにでも仕事が、報酬が、生活費が欲しい、という者達である。

 切羽詰まったとしか言いようのない者達が周旋屋で登録をする。

 非情に希な例外として、貴族や金持ちが道楽でモンスター退治に出かける際に登録するくらいだろうか。

 跡取りになれない次男三男以下の子供がなる事はあるが、それも含めて希有な例と言える。

 好んで冒険者になるというか、これしか選択肢がない者ばかりであった。



「まあ、そんなもんだよな」

 話を聞いて納得する。

 他に選べるならもっと別の道を選ぶだろう。

 好んで臨時雇いの作業員やモンスター退治しか稼げない仕事に就こうなどという者はいない。

 分かってはいたが、切ない現実を再確認させられる。

「まあ、がんばれ。

 こんな仕事でもそれなりに成功した連中はいる。

 お前もそうなれるよう祈ってるぞ」

「ありがたいね。

 稼げる仕事を回してくれればもっとありがたいけど」

「それは自分で探せ。

 モンスターはお前が探した方が早いだろが」

「まあね」

 倒せるくらいの強さでそれなりに数がいて、なおかつ売れる程の核を持つモンスター。

 そんな都合のよい条件を満たすような場所は探さなければ見つからない。

 既にそういう所を抑えてる一団もあるかもしれないが、それらをわざわざ他の者達に教えるようなお人好しはいない。

 情報として出回る事はほとんどない。

 町に居を構える周旋屋になど万が一にも入ってこない。

 周旋屋もそれらを調査しにいく事などない。

 彼等の仕事は、他の事業者(団体・個人問わず)をかけずり回って仕事をとってくる事である。

 基本は町の中、人のいる場所の中が基本となる。

 町の外を調査しに行くなど、業務の範疇街となる────基本的には。

 もちろん何事にも例外はあるので、決してしないとは言えない。

 だとしても、それはあくまで特殊な場合におけるやむをえない措置となる。

 町の外がどうなってるかは、冒険者自身が探りに行くしかない。

「まあ、それについてはこれからどうにかなるかもしれないけどね」

 そう言って預かっていたものをオッサンに渡す。

「預かっている。

 中身はそちらで確認してくれ」

 カナエからの書状を渡す。

「正式な依頼は後からになるって言ってた。

 本人の一存では決められないらしいから仕方ないけど。

 でも、通すだけ目を通しておいてくれ」

「分かった」

 そう言ってオッサンはそれを重要案件用の棚に入れていく。

 後で周旋屋のしかるべき人間がそれに目を通すだろう。

「じゃ、俺はこれで」

「はいよ」

 登録をしている者達を置いて広間へと向かう。

 そこでゆっくりと落ち着いて……とはいかない。

 オッサンにカナエの書状を渡すのとは別に、高槻・萩浦から頼まれていた事もある。

 そちらもこなしていかねばならなかった。

 こちらの話もよろしく


「金持ちに転生したので親のすねをかじって冒険に挑戦します」

http://ncode.syosetu.com/n7411dr//



「クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-」

http://ncode.syosetu.com/n7595dj//

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ