50話 一番都合のよい所に落とし込む為に頭を使うのが自分であるという不可解
「そりゃあ、周りでやってくれるならありがたいさ」
森で作業をしてる村人はそう答えてくれた。
「一番怖いのはモンスターだからな。
それを引きつけてくれるなら助かるよ」
「まあ、さしあたっては村のすぐ近くのをどうにかするけど」
村の近くまで迫ってる木々をまずは一気に伐採したいという。
もともとその辺りを含めて村からさほど遠出はしてなかったのだが、モンスター担当の村人が壊滅してからはそれすらも躊躇っていたという。
生活に必要な分はどうにか確保していたが、それでも危険を感じていたとか。
そこまで気にする必要は無いと分かってはいるのだが、どうしても慎重になってしまう。
そういった心配が無くなるのはありがたいという。
「なるほど……」
当たり前の事だが、村人が求めてるのはそこだった。
作業中の安全。
それを確保していく事を中心にしていく事で、やるべき事が見えてきた。
「まあ、そういう事ならな」
高槻達もそれに異を唱えたりはしなかった。
モンスターを倒して収益を得るのは優先するが、村を放置するつもりもない。
「やれるならもちろんやるよ」
萩浦も同じである。
「防衛するってんなら、そりゃあするさ。
村が無くなったら俺らも困るし」
結局は自分達に関わる事だから、というのが本音である。
理由なんてそれで十分だ。
自分の利益になるならば、なるからこそ行動していく。
戦闘以外の部分までやらずに済むなら、その方が楽で良い。
村の者達が生きていればそれが期待出来る。
冒険者の方で全部やる事になったら手間がかかりすぎる。
「村の連中を守るついでに仕事も出来るなら文句はないさ」
「下手に分けて考える必要もないだろうしな」
彼等の意見を聞いて、方向性が更に絞られていく。
そうなると、今度は作業する場所をどこにするかという事になる。
木材の切り出しと、その周辺での戦闘という事になるので、双方の意見が上手く折り合う所を探っていく。
出だしは村の周囲だけなのでそれほど考える事もない。
だが、それらが一段落したら森の奥まで入る事になる。
その場合はどうするかを考えていく。
この場合、伐採の警備とおびき寄せてる場所の巡回を交互に行う事になる。
警備と言っても休憩のようなものになるだろうから、この方が良いだろうという事だった。
そのため、作業場所とおびき寄せの罠の距離が極端にならないよう注意せねばならない。
伐採場所から近ければ、設置するモンスター除けのためにモンスターが近寄らなくなるかもしれない。
かと言って遠いと移動に手間がかかる。
薬草師の爺さんやシイナの意見も聞きながら、適度な距離を探っていく。
完全に双方の意見をすり合わせる事は出来ないが、概ね満足のいくものが段々と出来上がっていく。
本当にまだ先の事なのですぐにやっていくわけではない。
それでも、事前にある程度やり方を決めておく事は無駄にはならない。
直前になって慌てるよりはよほど良い。
そんな事を話し合ってる最中も、作業は進んでいく。
日中はモンスター退治と伐採で村の外での活動が進んでいく。
作業に集中出来る分、村の近隣の伐採がはかどっていく。
ヨシフミ達だけだった時はなかなかそうもいかなかったが、今は常時誰かが護衛として傍にいる。
それが余裕に繋がっていた。
木炭にする木々が今まで以上に集まる。
これで以前よりも必要な物を手に入れやすくなる。
一部は板にして建物の補修に使う予定になっている。
新たに来た者達の宿舎用に空き家を少しでも治すためである。
また、村の近くの木が無くなっていう事で、別の面での安心も増えていった。
猿と呼ばれてるモンスターの襲撃である。
木々が遠ざかった事でやってくる可能性が減る。
そんな事で危険が大分減るのだという。
木炭の売却と売り出しの話が出た時、
「ついでに酒とかも買ってきて、あいつら相手に商売を始めてみたら?
宿泊場所と食事はともかく、それは金をとってもいいはずだし」
と提案もしてみる。
冗談交じりではあるが、折角だからというのもある。
村にも収入が、冒険者達にも憂さ晴らしが必要だ。
小さくても良いから、酒場でもられば多少は活気づくだろうと思った。
そんなこんなで多少は村にも変化が訪れていく。
貯まった木炭を町に売りに行き、必要なものと、酒を買って帰ってくる。
鋼鉄支隊の連中は、その酒と小料理で腹と気持ちを満たし、村は懐を暖める。
その為の金を得る為に、町に行く村の馬車に同行する。
自然と護衛にもなっていく。
月一回だった町へいく馬車が二週間に一回になっていく。
その合間にヨシフミは、薬草採取の日程を考える。
二日三日はかかる事になるので、町にいく日と重ならないようにしなくてはならない。
ある程度の人数が必要なのもある。
また、薬草採取に同行するとモンスターを倒す事が出来なくなるので、核が手に入らない。
襲ってきたモンスターを倒せばそうでもないが、数を稼ぐ事は難しい。
その為、皆の実入りが減らないような日程を考えていかねばならなかった。
ヨシフミ達が中心になるが、追加で鋼鉄支隊からの支援を頼むため、どうしてもそこも考えねばならない。
文句や不満はそうそう出て来ないが、可能な限り頼らないようにしておきたかった。
「つか、なんで俺が……」
夜な夜な面倒な調整に頭を悩ませねばならない事に文句を言いたくなる。
高槻と萩浦にも幾らか負担させてやりたかった。
そんなヨシフミに、
「とか言いつつ頑張ってますよね」
「まめっていうか、真面目っていうか」
「断れない性格なんでしょうか」
「そうは思えないんだけどねえ」
奴隷と下っ端からの評価が上がっていく。
呆れ声になってるのはやむを得ない事であろうか。
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