49話 利点と問題が増えていく
「という事になってるみたいです」
村長に高槻と萩浦から聞いた事をそのまま伝える。
「このままだと、村の中で寝泊まりする奴らが増えます」
「さて、どうしたもんかな」
さすがに村長も困っていった。
「まあ、空き家で良ければ解放してもいいんだが。
さすがに人が入れる状態でもないしな」
「それって、あのボロボロになってる家の事ですか?」
村から出ていた者達の家がいくつか残っている。
それらを解放出来れば良いのだが、ヨシフミが言うようにそれらはボロボロになっている。
空き家というより廃屋だし、もっと言えば廃墟と言ってもよい。
さすがにそのまま使う訳にはいかなかった。
ボロボロなのはともかく、風雨をしのぐという観点から問題がある。
「結構隙間があいてますよね」
「そうなんじゃよ。
まさかそんな所に入ってくれとは言えんからな」
「納屋の方がマシってのがなんとも」
「だからそちらに入ってもらってる。
もっと良い場所があれば良かったんじゃが」
「いえ、それは仕方ない事ですから。
それより、あいつらの入れる場所をとにかく作りたいですね」
「しかしそんな余裕がないからのお……」
貧しい村の泣き所で、金に余裕がない。
建物の修繕なんてとても出来るものではない。
それはヨシフミとて分かっている。
「けど、このままってわけにもいかないし」
「どうしたもんかの」
妙案などあるわけもない。
それでも、空き家で良いなら好きに使ってかまわないという許可を得る。
これでやってきた者達にテント以外の居場所を提供する事が出来た。
問題と面倒はあるとはいえ、人数が増えた事でやれる事に幅が出来た。
遠出をしても誰かが村の周りにいる。
その事が安全性の確保につながっていく。
これで薬草の採取や、町へ出かける場合にも護衛をつける事が出来る。
その代わりに、村の周りにおける縄張りなども決めていかねばならなくなる。
人数が多いので広い範囲をまかなえるが、その分モンスターをおびき寄せる場所取りも厳しくなる。
なるべく多くのモンスターを集めるには広い範囲を占めねばならない。
広さに余裕があるとはいえ、それを決めるのはなかなか難しい。
鋼鉄支隊だけでなく、ヨシフミ達の場所も確保せねばならない。
となると、出来るだけ村から離れた方が良いという事にもなる。
なのだが、そうするとおびき寄せてる場所を巡る時間が長くなる。
場所を広く取るという事はそういう手間も発生する。
かといって村の近くにまとめる事は絶対に出来ない。
間隔が狭くなる、モンスターを引き寄せる場合の効率が悪くなる。
そして、当然のことながら村の危険が高まる。
それは絶対に避けねばならない。
皆の都合を何とか上手くまとめるために、ヨシフミは四苦八苦する事になった。
何せ縄張りを全部任されてしまったのだから。
笑顔で、
「たのむぞ!」
「まかせた!」
と言った高槻・萩浦のコンビと、その後ろに控える鋼鉄支隊の連中に怒りをおぼえた。
そんなこんなで色々と悩ましい事になっていた。
各自の思惑と都合を考えるとなかなか上手くいかない。
この付近のモンスター出現状況はまだ完全に把握してるわけではないので、何処が一番良いのか分からない。
村の者達に聞いてまわってはいるが、彼等も完全に把握してるわけではない。
それほど村から離れないようにして行動してるので、詳しい事が分からないのだ。
一番よく分かっていたのは、モンスター退治に出ていた者達であるが、その彼等もほとんど残ってない。
生存者のシイナとナギは多少は知ってるが、活動期間が長かったわけではない。
なので、分からない事の方が多い。
多少は知ってる事もあるが、必要な水準にあと少し届かないでいた。
手際よく片付けていくために最も有効な配置をしたいのだが、それも今は難しい。
どうしようかと悩むも答えが見つからない。
しかし人が増えた事を村長を始めとした村人達は喜んでいた。
特に山で作業をするしかない者達は一様に喜んでいる。
「これだけいるなら木を切りに行っても安心だな」
「おかげで助かるよ」
そんな言葉が耳と心に突き刺さる。
確かにその通りなのだが、そうする為の手法が完全ではない。
今までモンスター除けだけを頼りにしなければならなかったのだから、それよりは良いだろう。
だが、そうする為にもよりよい配置を心がけねばならない。
(どうすりゃいいんだよ!)
切羽詰まったヨシフミは、考えるのをやめた。
自分一人で考えても答えなどでるわけもない。
なので、聞ける所から情報を聞き出していった。
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