48話 なんでお前らが来るんだと驚く、しかもそれは一体どういうこと
魔術についての悩み、村の防衛についての問題。
そんなものについて考えてるうちに、村に来訪者がやってきた。
見知った顔だった。
「高槻と萩浦?」
「よう」
「元気そうだな」
その後ろに同じ鋼鉄支隊の者達が並んでいる。
総勢二十人はいるだろうか。
「どうしたんだ?」
「仕事だよ」
「この村からの依頼でな」
そう言ってニヤリと笑う。
「今日から一緒だ」
「よろしくな」
「…………はい?」
事情がよく飲み込めなかった。
村からの依頼が来た時、周旋屋は迷うことなく鋼鉄支隊に話をもっていったという。
それは最近の流れからして当然なのだが、驚いた事に鋼鉄支隊はこれを受諾した。
「これなら稼ぎを確保出来る」
ハルオミのその言葉で決まったという。
どうも安定した稼ぎを確保出来る場所という事で有望視してるらしい。
そこで、程よいレベルだった高槻と萩浦。
更に新たに鋼鉄に入った元赤布旅団の被害者達が送り込まれたという。
元赤布の者達にとっては厳しいが、高槻や萩浦がいるから大丈夫だろうと思ったようだ。
「それに、あいつがいるからな」
ハルオミはそういって意地悪く笑みを浮かべたとも。
彼が言ってるのが、既に村に入ってるヨシフミであるのは明らかだった。
「細かい事はあいつに聞け。
なんなら指導を仰げ。
いっそ、あいつの下で働いてもいいぞ」
そう言ってワハハハハと笑い声をあげ、呼ばれた高槻と萩浦は呆然としてしまった。
「まあ、そういうわけだから」
「よろしく頼むよ」
「ちょっと待て」
二人の説明を聞いてヨシフミは頭を抱えた。
「何でそうなる。
俺は鋼鉄じゃねえぞ。
つーか、どうして俺が指示を?
いや、それ以前に……」
「まあ、落ち着けって」
「ここの事については俺らよりそっちの方が詳しいだろ。
ある程度教えてもらわなけりゃならんのは確かだ」
「そうかもしれんがな……」
「だったらそっちの下に入って動くってのもアリだろ。
別におかしな事じゃない。
先に来てる連中を優先するのは良くある事だ」
「いや、時と場合によるだろ。
それに、大手がなんで俺の下につくんだよ」
力関係を考えれば優先順位は鋼鉄支隊の方が上だ。
確かにヨシフミは先に来ていたが、それで鋼鉄が下につくというのもあり得ない話だった。
参考意見を求める事はあってもだ。
「まあ、それはハルオミさんの冗談……いや、あれは冗談に思えなかったが」
「ともかく、話を聞けってのは本気だろ。
それをそういう言い方でいったんじゃないかとは思う。
思いたい……」
「なんで自信のない言い方をするんだよ」
「なんかな、俺らにも何とも言えないんだよ」
「どうも本気で言ってるんじゃないかって思えてな」
「…………いやいやいやいや」
思いっきり首を横に振る。
「それはない、断じて無い、絶対無い、有ってたまるか」
「分からんぞ」
「あの人、お前さんを引きずり込む事をまだ諦めてないっぽいし」
「…………」
そんな馬鹿なと思った。
「ま、下に入れとかあたりは冗談だとしてもだ。
ここでのやり方とかを教えて欲しいってのは確かなんだ」
「周りのモンスターがどうなってるのかも気になるしな」
「そりゃあ教えていくよ。
分かってる事だけになっちまうけど」
「頼むよ。
数が多いってのは聞いてるけど、どれくらいか分からないし」
「それに、薬草採取とかもあるんだろ?
それはそっちでやるとは聞いてるけど」
「ああ、俺らでやるよ」
さすがにそこまで任せるつもりはなかった。
彼等に求められてるのはモンスター退治であって、村の事まで面倒を見る義務などない。
それはヨシフミも同じなのだが、シイナやナギといって村の者と一緒なので気を利かせてしまう。
そういったもののない彼等にそこまで求めるわけにはいかなかった。
「まあ、俺らは俺らの仕事に専念するよ」
「これからまた増えるかもしれないしな」
予想外の話が出てくる。
「鋼鉄は俺達だけになると思うけど、他の一団が来るかもしれないから」
「ここのモンスター出没具合次第だけどな。
町の近くじゃ稼ぎが足りない連中が移動してくるかもしれんのよ」
「おいおい。
この村にそんな場所なんかないぞ」
「みたいだな。
でも、モンスターが多いなら狙い目でもあるんだよな」
「この村からの依頼、金にならないからほとんど見向きもされなかったようだけど。
でも、ヨシフミの手紙で結構見方が変わってな」
「周旋屋の掲示板の前で相談してる連中が増えてるよ」
「こっちからの情報待ちになるだろうけど、あの調子じゃもう一組か二組は来るんじゃないか?」
「そいつは……どうなってんだよ……」
まさかそうなるとは思ってもいなかったから驚くしかない。
「でも、それじゃあ場所がなくなるぞ。
今だって、俺らは納屋で寝泊まりしてるんだし」
「みたいだな。
俺達は一応テントをもってきたけど」
「出来ればまともな建物の中で寝泊まりしたいわ」
その意見には強く賛同するものだった。




