表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その5

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/93

41話 寝床はどこに行っても不満がある

「しかし、期待はしてなかったけど……」

 そう言って宿泊場所の中で寝転ぶ。

「やっぱりこうなったか」

「なんか、経験あるっぽい言い方だね」

「まあな」

 今まで冒険者としてやってきた活動が頭に浮かんでくる。

 その中には、今回のような村に一定期間留まっての作業もあった。

「そういう時もそうだったけど、たいていこういう感じだったからな、寝泊まりは」

「大変なんですね」

 アヤも同情的に呟く。

 そう言いながらも、驚きながら周りを見ている。

 やはり寝泊まりするこの場所に色々と感じるものがあるのだろう。

「ま、他に適当な所もないんだろうけどな。

 小さな村だと、こんなもんだよ」

「まあ、そりゃあ分かるんだけどさ」

 それでもサキは何か言いたそうである。

「でも、もうちょっとどうにかならないもんかな」

 言いたい気持ちは良く分かる。

 ヨシフミとて、この状況に納得してるとは言い難い。

 しかし、相手の事情も分かるだけに変に無理強いするつもりもない。

「まあ、しょうがないわな。

 風雨がしのげるだけマシだと思う事にしておこう」

 そう言って、床にしかれた藁の上で背伸びをする。

「……こうして寝転がる事も出来るんだし」

 一応藁にはシーツも敷かれており、それほど寝心地が悪いわけでもない。

 剥き出しの土の上に藁が直接しかれてる事には目をつぶっているが。

「でも、納屋だよここ。

 物置じゃん」

 なおもサキの不満が続く。

 確かに、物置として用いられる納屋を宿泊場所にされれば文句も出るだろう。

 それでもヨシフミはサキをなだめる。

「そんなもんだ、冒険者ってのは」

 少なくとも豪勢なホテルなど夢のまた夢である。

「それに、雑魚寝部屋とかよりは広くて快適だ」

 つとめて良いところを強調する。

「しかも無料だぞ。

 こんな美味しい条件なんて滅多にない」

 その言葉を聞いてるサキは、そしてアヤもため息を吐いた。

「いやまあ、大将はそれでいいだろうけどさ」

「それでいいんですか?

 ご主人様のそういう所はすばらしいかもしれませんが」

 言いながら二人は見つめ合い、ため息をもう一度吐いた。



 実際、冒険者の待遇はこんなものである。

 というより、そもそも宿泊するような施設を持ってる村などほとんどない。

 町であってもそれは同じで、基本的にはそこに住んでる住人達の家があるのがせいぜいだ。

 交易路の重なる場所などであれば宿泊施設も備わってるが、それほど頻繁に来訪者のない村や町では宿など存在しない。

 希に訪れる来訪者は、こうした納屋などを借りるのが普通ではある。

 招いた客であれば村長が家の空いてる部屋を貸し出すが、それも相手によりけりだった。

 冒険者ともなると、この扱いが結構雑になる。

 何せ武装してる者がほとんどである。

 頼む仕事の性質上、これはやむをえないのだが、そんなものを迂闊に家の中にいれるわけにもいかない。

 中には冒険者と名ばかりのごろつきもいるので、招く方も警戒する。

 赤布旅団のような連中もいるのだから、それも間違ってるわけではない。

 ヨシフミ達の待遇は、決して酷いものというわけではない。

 そもそも、そこまで裕福な村というわけではない。

 納屋があるだけでもたいしたもの、と言うべきである。

 もう少しマシな待遇は欲しいとは思ってはいるが。



 それでも寝るには申し分ない環境ではあった。

 この世界、住居については物置や納屋と大して変わるものではない。

 世界全体の技術・文化・文明程度が、地球で言う工業化以前と大して違いがない。

 モンスターの影響もあって、物流や生産が阻害されてる事もあり、全体的に貧しいと言える。

 生活水準の向上などまずもって望めない中にあって、住居も例外ではない。

 衰退とまではいかないが、発展などは期待出来ない状況である。

 今までと同じというのを続けていければまずまずといった所だった。

 今回、普段寝泊まりしてる周旋屋の宿泊所より広い寝床にありついてるだけマシであろう。

 しいてるのが藁とはいえ、クッションとしての弾力性もある。

 寝心地は決して悪いものではなかった。

 虫がわくとか色々と問題もあるが、それは他の家でもほぼ同じ。

 文句を言うのもどうかというところである。



 そんな一夜が明けて翌日。

 村で用意する事になってる食事を村長の家で胃におさめる。

 味も量も期待はしてなかったが、腹を満たす事は出来た。

 裕福とは言い難い村なので、そこは文句は言えない。

 食事だけにかかずらってるわけにもいかない。

 この日もやる事がある。

 シイナとナギに合流し、アヤとサキを連れて村の周囲を回らなくてはならない。

 地形がどうなってるのか、どういう場所があるのか、木々の生え具合などがどうなってるのか。

 知りたい事、おさえておくべき事はある。

 今までのモンスター退治のやり方にある追跡や、出没しやすい場所なども巡っていきたかった。

 これだけで一日が潰れるだろうと覚悟して回る。



「しかし、やっぱり広いな」

 昼にさしかかり、足を止めて休憩を入れる。

 食事と言うには簡素なメシを腹にいれながら喋る。

「これでどれくらい回ったんだ?」

「まだ全然」

「実際にはもっと色々歩きますよー」

 ナギを先頭にして今まで通っていた道順をたどってもらう。

 村の周囲を警戒する定期的な巡回路だったというが、実際に歩いてみるとかなりきつい。

 踏み固められた道らしきものは出来ているが、上がり下りがあるので簡単にはいかない。

 アヤなどは音を上げてしまっている。

 サキですらかなりつらそうだ。

 体力の問題もあるが、慣れも大きいのだろう。

 さして体力があるとも思えないシイナがそれほど辛そうでもないのだから。

「けど、これだけ歩いて全然遭遇しないとなると、ちょっと考えるな」

「まあ、普段はそんなに出くわさないですからねー」

「多くなる、これから」

「季節的に多い少ないがあるってことか?」

「夏、多い」

「冬は減るのか。

 冬眠でもすんのかな」

「分からない」

「でも、冬はそんなに出てこないですねー。

 全然出ないって事もないですけど」

 頻度の問題という事なのだろう。

「でも、これじゃ商売にならないな」

 村からの報酬よりモンスターの核を狙っていた。

 なので、このままでは稼ぎがほとんど無くなってしまう。

(やり方を考えるしかないな)

 村の今までのやり方を否定するつもりはないが、稼ぎが出ないのであれば別の方をとらねばならない。

 ただ、今はもう少し巡回を続けてみるつもりだった。

「もう少し休んだら出発しよう」

 食事が終わり、昼も終わる。

 午後は村への帰還を考えて移動する事になる。

 それまでに出来るだけ巡回路を回っておきたかった。

 20:00に続きを公開予定



 現在、こういうのも平行してやってます。



「金持ちに転生したので親のすねをかじって冒険に挑戦します」

http://ncode.syosetu.com/n7411dr// #narou #narouN7411DR

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ