39話 どれくらい出来るのかを確認させてもらおう
外に出たヨシフミ達は、まずナギの弓の腕から見る事にした。
適当な距離をおいて、的になる薪を置いていく。
丸太を斧で割った薪は、高さ三十センチ、幅十センチほどの大きさになる。
それをおよそ二十メートルほど離れた所から撃ってもらう。
「やってくれ」
その声と同時にナギが弓を構える。
よどみなく引き絞り、矢を放つ。
狙い過たずに薪に当たった。
「さすがだな」
まずまずの腕前である。
弓をしっかりと使ってきたからこそだろう。
「続けてあの薪に当てる事は出来るか」
「分かった」
即座にナギは矢をつがえていく。
二射目、三射目、四射目…………。
持ってる矢を次々につがえて撃っていく。
全て薪に当たっていき、外した矢は一本もない。
「凄いな」
「簡単」
ナギにとっては造作もないことのようだった。
これなら、戦力として十分使える。
そう言うヨシフミに、
「止まってるから」
ナギはどこまで淡々と答えた。
ナギの腕は分かったが、シイナの方は完全な未知数だった。
そもそも魔術を使ってる所を見る機会が少ない。
ヨシフミも、臨時の助っ人で他の一団に入った時に、運良く何度か見ただけだ。
何せ魔術を使える者が少ない。
モンスターが登場してから発見された技術なので、使える者が圧倒的に少ない。
教育手段も完全に確立されてるわけではなく、まだ手探りの状態だ。
更に言えば、そんな貴重な存在がわざわざ冒険者になる事は少ない。
そもそも魔術は戦闘だけに用いるものではない。
怪我をなおす、病気をなおす、光を灯す、闇を生み出す、といった効果を発揮する。
一時的に物体を生み出し、あるいは幻を生み出し、姿を隠し、重さを軽減したり増加させたり、といったものもある。
使い方次第で戦闘にも用いる事は出来るが、そうでないものの方が多い。
なので、わざわざ戦場に出てくる必要がない。
日常生活で活躍の場は十分にある。
戦場に出るにしても、だいたいが軍隊などに所属している事が多い。
貴重な魔術師を国家が放置するはずもなく、可能な限り囲っておこうとするからだ。
それにしても、軍隊に直接所属してる者は少なく、もっぱら政府などに所属してる事が多い。
軍には、そこから派遣されて同行してる場合が多くなる。
このような状況なので、一般に魔術を用いる者はそう多く出回ってない。
魔術を用いる冒険者が少数なのもこういった理由がある。
そんな事もあって、シイナの腕を見極めるのは難しい。
魔術の腕前をどうやって判断すれば良いのか分からないからだ。
やって見せてくれと言ってはみたが、善し悪しをどうやって判定すれば良いのか悩んでいく。
だが、見て見ない事には効果も分からない。
とにかくやってみせてもらうしかなかった。
「それではー」
間延びした声で宣言していく。
「やってみますー」
その言葉に続いて手を合わせる。
いわゆる合掌。
まるで祈るように軽く頭を下げていく。
すると、シイナの周囲に靄のようなものが発生していく。
なんだと思ってるうちにそれが拡大し、周囲にひろがっていく。
「霧か?」
「そう。
シイナの、得意」
「へえ」
それはヨシフミ達を囲い、周囲を巻き込んでいく。
痛みや不調は感じないが、視界が全く効かなくなる。
「これがシイナの魔術なのか」
「そうですー。
一番見やすくて分かりやすいものを使ってみました」
「他にもあるって事か?」
「あとは、光を出す事が出来ますー」
「他には?」
「それだけですー」
「はいよ。
それじゃ、それも見せてもらいたいから、霧を消してくれないか」
「はいー」
返事をした瞬間に霧が消えていった。
先ほどまで立ちこめていたのが嘘のように拡散していく。
数秒も待たずに完全に無くなった。
「結構凄いな」
「だいたい、家一つくらいなら隠す事ができますー」
「へえ」
使い道は思いつかないが、目くらましにはなりそうだった。
「それで、光の方はどういう感じなの?」
「はい、それじゃあやりますねー」
そう言って再び合掌をする。
そうしていると、目の前に光があらわれた。
昼なのでさほど明るさは目立たないが、確かに何かが光ってる。
かつての世界で見た電球くらいには明るい。
「夜とかだと便利そうだな」
「そうですね-。
でも、そんなに長く保たないんです」
「というと?」
「これくらいの明るさだと、一分くらいですねー」
「そんだけしか持たないのか」
とても実用にたえるものではない。
「もっと長くする事も出来るんですけどー、それだともっと暗くなっちゃいますー」
「その場合でどれくらい続くの?」
「だいたい三十分くらいですー。
松明くらいですね」
照明に使うには少々厳しいかもしれない。
燃え移らないというなら便利ではある。
しかし、今一つ使い道がはっきりしない。
「でも、もっと短くすると、もっと明るくする事も出来るのか?」
「できますよー。
ただ、本当に一瞬だけですけど」
「やってみてもらってもいい?」
「いいですけど……、目がくらんでも怒らないでくださいね」
「……分かった、やってくれ」
「はいー、ではいきますー」
そう言って合掌。
今度はすぐに効果が出た。
「うわっ!」
思った以上にまぶしい。
懐中電灯を目に当てられたようなものだった。
本当に一瞬であったが、かなりのまぶしさだった。
「こいつは結構使えそうだな」
「ええ、モンスターを相手にするとき、一番使ってますー」
「モンスターが、止まる」
「なるほど、これならそうなるだろうな……」
実際に食らったからよく分かる。
目に光が突き刺さり、暫くは何も見えなくなってしまう。
「でも、すぐには出せないので、狙ってやるのは難しいです」
それが欠点なのだろう。
「それでもこれは凄いよ。
使い方次第で強力な武器になる」
今はこれが分かってるだけで十分だった。
「……まだ目が開かないからな」
強烈な光を受けたからすぐには目が元に戻らない。
ようやく景色を普通に見れるようになるまで、しばらくの時間が必要だった。
明日の12:00に続きを公開予定
そして、突発的に思いついたものを書いてみた。
「金持ちに転生したので親のすねをかじって冒険に挑戦します」
http://ncode.syosetu.com/n7411dr// #narou #narouN7411DR
正直、自分でもどうなんだろうと思ってる。




