37話 これでどうやってモンスターを倒してるの
(おいおいおいおい……)
気持ちが落ち込んでいく。
村にいるモンスター退治をしてるもの手伝いと聞いていた。
しかし、実体を聞くにそんな楽なものでない事が分かって来る。
(もしかして、まるっきりの素人みたいなもんなのか?)
目の前の二人、シイナとナギについてそんな考えを抱いてしまう。
それでは手伝いというわけにはいかない。
むしろヨシフミが中心になる必要すらありえる。
しかし、そうなると色々考えねばならない。
何をどのようにすれば上手くやっていけるのかを。
(幸い人数はそれなりにいるしな)
そこはありがたかった。
シイナとナギがどの程度のレベルなのかは分からないが、全く何も出来ないわけではなさそうだ。
だったらそれを踏まえてやり方を考えていくしかない。
「それじゃ、今までどうやっていたのかとかを教えてくれ。
この辺りの事もよく分かってないし、地形とか周りの状態とかも教えてくれると助かる」
「あー、それならナギの方がいいね」
「うん」
頷いてナギが説明をしていく。
「モンスターは、森の中で倒す。
足跡とかで、場所を特定する」
「おびき寄せたりとか、罠を張ったりとかはしないのか?」
「おびき寄せは、しない。
罠は、場所による」
「どうして?
その方が楽に倒せると思うんだけど」
「おびき寄せる、大勢来る。
無理」
「多すぎて倒せないって事か?」
「そう」
「そうか……」
これは少し痛い問題だった。
おびき寄せ、餌に集中してる所を奇襲、というのが今までのやり方だった。
しかし、そのままでは使えないかもしれない。
「罠を使わないのは?」
「村の人、引っかかる」
「村の人って、森に入るのか?」
「木を切る」
「あ、この村は木材とかも売りに出してるんです。
モンスターがいるから、なかなか難しいですけどねー」
シイナが説明を加えてくれた。
「なるほどな。
それじゃ、そこらに罠を張るってわけにもいかないか」
これも納得するしかない。
ただ、それでも一応聞いておく。
「その罠ってのは、虎ばさみみたいなものとかなのかな?」
足で踏むと挟み込む罠だ。
ナギは無言で頷く。
「ふーん、そうか」
だとすれば、おびき寄せの方の罠は使えるかもしれなかった。
モンスターにしか意味がないからだ。
もっとも、数多く出てくるというなら、それも使い方を考えねばならない。
(どのくらい出てくるかだけど……)
場合によっては、もっと別のやり方も考えねばならなかった。
ただ、それよりも気になる事があったので、そちらを聞いてみる事にする。
「木を切りにいくって言ってたけど、それって大丈夫なのか?
モンスターがいるんだろ」
「ああ、それはですねー、爺ちゃんの調合した薬があるんでー」
「薬?」
「ええ、モンスターが寄りついてこない調合があるんですよ。
それを用意して、作業する場所に設置してるんで」
横で話を聞いていた、薬草師のじいさんが説明をしていく。
「へえ……」
素直に驚いた。
そんな便利なものがあるとは思わなかった。
「どうも、モンスターが嫌う香りを発してるようなんですよ。
詳しくは分からないですけどね。
でも、たまたまそれを持って遭遇した時に、鼻をうごめかしながら逃げていったもので。
おそらくそうなんじゃないかと」
「それは、凄いですね」
「でも、効果が確実とは言えないんですよ。
設置してても襲ってくる時は襲ってくるんで。
それほど長続きするわけでもないですし」
残念そうに言って、モンスター除けの限界も語ってくれた。
そうそううまい話というのは無いという事なのだろう。
それでも、モンスターに効果のあるものが存在するというのは朗報だった。
「ただなあ、材料が残り少なくてな」
「え?」
「ちょっと山の中に入った所に、材料になる草が生えていてな。
それを取りに行こうにも、お聞きになった通りのありさまで」
「モンスター、多い、ボク達じゃ、無理」
「他の人がいた頃なら、どうにか出来たんですけど……」
「モンスター除けだけじゃない。
他の薬草もな。
今は病人も怪我人もいないから良いが、それが出たらどうなるやら」
割と状況は深刻だった。
そうそう病気や怪我などするものではないだろうが、なってしまったら大変な事になる。
治療手段が全く無いなら、手の施しようがない。
助かるはずの者達が命を落とすことにもなるだろう。
「そうなると、モンスターがどうなってるのかだけど。
倒しに行ってないなら、結構出てきてるんじゃないのか?」
「モンスター除けのおかげか、村の近くはどうにか大丈夫ですねー。
でも、最近は出て来る数も増えてるようですしー。
このままだとまずいかもしれませんねー」
間延びした声で言ってるが、決しておどけてるのでも茶化してるのでもない。
深刻な表情は事態をしっかりと認識してることを示していた。
17:00に続きを公開予定




