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【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その5

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35話 現場の担当者と挨拶しようと思ったら

「ようこそ、我が村へ」

 案内人に通された村長の家へと向かっていく。

 大きさはそれなりだが、修繕もろくにできてないらしく、傷んでる様子が感じられる。

 そんな家の中の、応接の為の部屋と思われる場所へ通される。

 それなりの広さはあるし、掃除などはされてるようで清潔感はある。

 しかし、飾り気などはほとんどない。

 その簡素さが逆にこのましいが、この村の現状をあらわしてるようだった。

 ここに来るまでに見た村の様子と相まって、金銭的な報酬は期待できそうもなかった。

 山間の、狭い所に人が固まってるような村である。

 田畑も一応あるが、斜面が多くてそれほど広くはない。

 それよりも、村の近くまで迫ってる森の方が目に付くほどだ。

 



 それでも挨拶に無礼なところが出ないよう気をつける。

「いえ、それよりも仕事の方の話を。

 ここでの状況と、何をどのようにすれば良いのかを聞いておかないと」

「そうですな。

 そう言ってもらえると助かります」

 村長も余計な事を言わずに仕事の話が出来て安心してるようだった。

 ここまで来て、依頼を断るなどと言われては困るだろう。

 そういった場合、違約金が発生してしまうので、まず滅多に依頼からおりる者はいない。

 ただ、事前に聞いてた条件と食い違いがあったら話は別だ。

 今のところそういった部分は見えないのでヨシフミも断るつもりもない。

 ただ、それも実際に仕事の話を聞いてからでないと何とも言えない。

 もし事前の説明と食い違う所があれば、さすがに依頼を断るしかない。

 それが余りにも不利で負担が大きいものならば。

(何にしても聞いてみないとな)



「頼みたいのは、モンスターの始末。

 これは依頼通りです。

 我が村でそれを担ってる者の補助でもあります」

「事前に聞いてた通りですね」

「はい。

 それで、モンスターなのですが、犬頭と呼ばれてるものがほとんどです。

 もちろん、ネズミも出ます。

 ですが、ネズミのほうは我々でどうとでも出来るので、基本的には犬頭の方が中心となります」

「他にもより強力なのが出てくると聞いてますが」

「ええ、確かに。

 ですが、そちらはさほど多くもなく、出て来たら注意するという形になるかと」

「なるほど」

 ここまでは聞いていた通りである。

「それで、どれくらい出て来るんです?

 結構多いとは聞いてますけど」

「そうですね。

 森の中に入らなければそれほど出くわす事もないんですが。

 出て来る時は一度に五体以上はいるでしょうか。

 十体になる時もあります」

 町の近くで倒してる時より多い。

 おびき寄せても、一度に三体から五体がせいぜいだった。

 それがここでは二倍くらいは出てくるようである。

 おびき寄せてるのでないにも関わらず。

「それだと、森や山に潜んでるのは更に多いかもしれませんね」

「その通りです。

 ただ、それらを積極的に倒すほどの余裕もなく。

 やってきたものを何とか倒すのが精一杯です」

 特に戦闘訓練を受けてない村人であればそれも当然だろう。

「でも、この村にもモンスター退治を担当してる人がいるんでしょう。

 俺らもその手伝いだって話ですし」

「それはそうなんですが、今は二人しかおらず。

 以前はもっといるにはいたんですが、それも……」

「ああ、なるほど。

 モンスターに……やられてしまったと」

「ええ。

 七人ほどいたのですが、今では二人です」

「失礼ですが、その、五人はどうなったんです?」

「皆、亡くなりました」

 確認するまでもない事とは思ったが、やはり思った通りであった。

「何があったんです?」

「私も話を聞いただけなのですが、いつもより数が多かったようです。

 そこに、厄介なのがあらわれたようで」

「それが、犬頭より強い奴という事ですか?」

「ええ。

 間が悪かったんでしょう。

 犬頭だけならどうにかなったかもしれないらしいのですが。

 さすがに厄介なものも相手だとまとめて相手にする事も出来なかったようで」

「なるほど……」

 どのくらいのレベルが必要な相手なのか分からないが、結構な強敵なのかもしれない。

「そのモンスターについて、厄介だという相手がどんなのかを教えてくれませんか」

「ならば、モンスターを相手にしてる者達に聞いた方が早いでしょう。

 私も、直接モンスターとやりあった事はほとんどないので。

 若い頃も、村の近くに出て来たものを倒す手伝いをしただけなんです」

 そう言って村長は、手伝いの者に案内を命じた。

 部屋にいた若い男は、頷いたヨシフミ達を案内していく。



 連れていかれたのは、村の奥にある一軒だった。

 この村の防衛を担当する者達の詰め所なのかと思ったらそうではなかった。

 中からは独特な香りが漂ってくる。

 なんだと思って中に入ると、数多くの引き出しと、壁にかけられた草や花が目に飛び込んでくる。

 草と花は乾燥しているものがほとんどであるが、雑然とした印象はない。

 幾つもある釣り金具の存在が、そこにあるべくして吊されてるのを示してる。

 そして、その部屋の壁に沿って置かれた机と、その上にあるものがここが何であるのか、草や花が何に使われるのかを示している。

 すり鉢や様々な陶器の入れ物。

「薬草師?」

 思いつくのはそれしかなかった。

 村長の使いも頷く。

「ええ、そうです。

 ここはこの村の薬草師の家なんです」

 医療がさほど発達してないこの世界において、薬草師は病気や怪我で最も頼れる存在である。

 町で開業してる者もおり、平民や庶民にはなじみ深い。

 医者もいるにはいるのだが、数が少なくかかるのに高額の金が必要になる。

 その為、薬草師の活躍の場は広い。

 この村でもそれは同じようだった。

「けど、なんで?」

 モンスター退治の担当者の所に向かうはずがどうしてこうなってるのか。

 疑問に思ってるヨシフミ達の前で、案内の男が声をあげる。

「おーい、お客さんを連れてきたよ。

 この前言ってた、モンスター退治の手伝いの人だ」

 そう言うと、家の奥から物音がしてくる。

「おお、ご苦労さん」

 そう言ってきたのは、老人だった。

 白髪頭と、皺の刻まれた顔が人生を感じさせる。

「すまんな、裏で作業をしててな」

「じゃあ、二人も?」

「ああ、あと少ししたら来るから」

 そう言ってヨシフミ達を見る。

「お前さんが、手伝いの人かね?」

「ええ、そうなります」

「そうかそうか、よろしく頼むよ」

 その言葉に驚く。

 まさかとは思うが、尋ねてみる。

「あの、モンスターを相手にしてるのは、あなた何ですか?」

「……はあ?」

「いや、そうじゃないですよ」

 薬草師の驚く声と、案内の苦笑が並ぶ。

「モンスターを相手にしてるのは、今作業してる二人です。

 もう少し待てば来ますから」

「ああ、そうなんだ」

 やはり違った。

「いや、まさかとは思ったけど」

 その言葉に薬草師と案内人は笑う。

 ヨシフミの後ろでアヤとサキも。

「もしかしたら、本当に思ってたんじゃないですかね」

「この人がモンスター退治に出かけるって?

 そうかもしれないね」

 他に聞こえないよう小さな声でそう言って、二人は意地の悪い笑みを浮かべた。



 それから数分。

 作業が終わったようでモンスター退治の担当者がやってくる。

 とりあえず挨拶でも、と思ったヨシフミは二人を見て硬直した。

 アヤとサキも同じである。

「あの、この二人が?」

「ええ、モンスターから村を守る担当です」

 少々端切れ悪そうに案内が答える。

 彼もさすがにこれは少々問題があると思ってるようだった。

 確かに戦力としてはいかがなものかとヨシフミも思う。

 そんなヨシフミの前で、

「シイナですー」

「ナギ」

と二人が名乗る。

 どちらも女の子だった。

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