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【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その4

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33話 女二人で色々話し合ってみる

「そっか、アヤは行くつもりなんだ」

「うん」

 広間にヨシフミを残して部屋に戻った二人は、先ほどの仕事の話をしていた。

「まあ、金になるなら行った方がいいだろうしね。

 食べるものも寝床も無料ならありがたいし」

「そうですよね、やっぱり」

「やる事も同じだろうから、そんなに困る事もないはずだし。

 こっちにいないモンスターの事だって、向こうの人間が知ってるだろうしね」

「やっぱり、行くつもりなんですか、サキさんも」

「うーん、俺はどっちでもいいかな。

 行っても行かなくても仕事にはなるだろうから。

 金が貯まる方がありがたいけど」

 言いながら肩をすくめる。

「何にせよ、赤布にいたときよりはマシだよ。

 あの兄さん、無理や無茶はさせないから」

「はあ……」

「だから、行くっていうならついていくつもり。

 一応、恩もあるしね」

「あの人達から助けてもらった事ですか」

「そういう事。

 鋼鉄支隊に入った方がもっと良かったかもしれないけど」

 そこはさすがに悩む所なのだろう。

 何せ大手ではなくヨシフミの所に来たのだ。

 零細と言うのも躊躇われるような小さな所に。

 普通なら絶対に考えない展開である。

「まあ、ここはここで居心地いいから悪くはないんだけど」

「でも、良かったんですか。

 今からでも行けるなら鋼鉄さんの所の方が……」

「ああ、いいのいいの。

 今更だし、大将と一緒にやってるのも悪くはないから」

 本心からの言葉である。

 なんだかんだで赤布を潰してくれた事には感謝している。

 それだけの事が出来る力量も認めている。

 だからこそ、鋼鉄ではなくヨシフミを選びもした。

 こいつなら何かを成し遂げるかもしれないと思ったから。

「その大将がああ言ってるんだし、のっかるのもいいんじゃないかな」

「なるほど……」

 アヤにはそこまで凄い事なのかは分からない。

 普通ではないとは何となく感じるが、どうしても理解が及ばない。

 経験や知識などの情報不足のためだろう。

 比較するものがないから程度が分からないのだ。



「でもま、これで俺ら二人は賛成なんだから、仕事を引き受ける事になるんだろうね」

「そうですよね」

「だったら、準備に忙しくなるかもね。

 アヤもさ、ハルちゃんだっけ?

 挨拶はしてきた方がいいかも」

「ええ、そうですね」

 町から出て泊まりがけになると当分会えなくなる。

 その前に少しでも言葉を交わしておきたかった。

(上手くやってるかな)

 奴隷商の所での生活がどんなものなのかは分からない。

 たまに会う時の様子から、悲惨な虐待などを受けてる気配は感じられない。

 奴隷商からしても、大事な商品である。

 傷物になるような事は避けていると言われている。

 だが、それとてどこまで信じて良いかは分からない。

 そう言って誤魔化してるだけかもしれない。

 本当に大事にしてるにしても、それが他の使用人達にまで徹底されてるかは分からない。

 何より売り物にされてるという事は変わらない。

 その境遇をどのように受け止めてるか分からない。

 精神に変調をきたす可能性はあるのだ。

 だからこそ、急いでそこから解放したかった。

 それがヨシフミに買われる事であってもだ。

 どこに行くか分からないよりは良いはずである。

 ヨシフミも今の所は問題のある行動をしてない事もある。

 いずれ手を出すかもしれないとは言ってたが、今のところはその気配もない。

 もっと酷い所にいくよりは、ここにいるほうが良いかもしれないのだ。



「でもさ、大将も不思議だよね」

 話が一段落したと思ったのか、サキが話題を変えてくる。

「奴隷に手を出さないんだから」

「え……ええ?」

 唐突な話である。

 いきなり何を言い出すんだろうと思った。

「普通、女の奴隷を買うってそういう事のはずなんだけどね。

 まあ、見た目に……その、まあ、あれよ、難があるならともかくね」

「いや、あの、それは……」

「アヤみたいに可愛い子に手を出さないってありえないと思うんだ」

「そ、そんな事はないです!」

 にやけた顔と口調からからかってるのは察しがついた。

 だが、生々しい内容だけに冗談として受け流しきれない。

「いやいや、そんな事あるって。

 アヤの事をちらちら見てる奴ってけっこういるよ」

 男の子のような格好をさせてるとはいえ、それで見た目が悪くなってるわけではない。

 むしろ男装させる事でかえって女の子という事を強調してる風ですらある。

 ボーイッシュというのだろう。

 そういった魅力が出ている。

 むさ苦しい生活を送ってる野郎共からすれば、貴重な女っ気である事は確かだった。

 そのあたりの自覚はアヤにはなかったが、傍で見ているサキにはよく分かった。

「でも、それならサキさんの方がよっぽど……」

「え、俺が?」

「そうですよ。

 時々、サキさんの方をみてる男の人もいますよ」

 これも事実である。

 自分の事を俺と呼び、補助であってもモンスターとやりあってるサキである。

 言動や態度はそこらの男よりも豪快な所もある。

 しかし見た目で劣ってるわけではない。

 戦闘をしてるので袖から見える腕や肩幅はがっしりとしたものになってきている。

 しかし元が細身なせいか女らしさが失われてるわけではない。

 革鎧の形は胸の膨らみや腰のくびれにあわせて曲線を描いている。

 さすがに運動量が多いせいかグラマラスと言える程では無いが、十分女性であることを示している。

 顔立ちも決して悪くはない。

 綺麗というよりは愛嬌があるというものだ。

 親しみがもてる容貌である。

 そこにボーイッシュどころか男そのものと言える喋り方や態度があわさっていく。

 親しみやすく友達が多くなっていくタイプであった。

 魅力的である事は間違いない。

 そのため、こちらも野郎共の視線を集める事が多い。

「サキさんこそ、気をつけた方がいいと思いますよ。

 ヨシフミさんが何かするかもしれませんから」

「俺に?

 いや、ありえないでしょ」

 ハハハハハ、と笑い声があがる。

「でもまあ、それはそれで腹も立つけどね。

 そんなに女として魅力がないのかなー、って」

「いえ、そんな事ないと思います。

 胸だって、そんなにあるんだし……」

 言いながら声がしぼんでいく。

 程よく盛り上がってるサキの胸に比べ、アヤの方はそれほど発達してない。

 ないわけではないが、年齢相応といったところだ。

 その事実にどうしても落ち込んでしまう。

「どうしたの、急に黙って」

「なんでもないです……」

 そうは言うが声は沈んだものになっている。

「どうしたんだよ、本当に」

「なんでも……ないんですぅ……」

 個人差や年齢によるもの、更には栄養状態などで変わってくる部分である。

 しかし、いささか発育が足りない我が身を嘆いてしまう。

 そんなアヤにサキはどうしたものかと戸惑っていく。



「……何があったんだ?」

 ヨシフミが戻ってきたとき、ぐずるアヤとなだめるサキが延々と言葉を交わし続けていた。


20:00に続きを公開予定

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