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【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その4

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32話 もしかしたら騙されてるかもしれないと思いつつ

「おーい、仕事だ」

 戻ってきたヨシフミの言葉は極めて簡単なものだった。



「ここから離れた所にある村なんだけど、そこでモンスター退治を手伝って欲しいって」

「はあ……」

「そこに行くの?」

「考えてる最中だ」

 まだ決定ではない。

「けど、その方が効率がよくなるとは思う」

「どういう事ですか?」

「人手が増える。

 つーか、俺らが助っ人に入る」

 それを聞いてもアヤとサキはよく分かってないようだった。

 冒険者としての経験が少ないのだから当然だろう。



 冒険者への依頼は基本的にモンスター絡みが多い。

 モンスターからの護衛、終結してるモンスターの退治、モンスターの目撃があったから調査に行く、などなど。

 今回の仕事もその一つで、村の近くに出てくるモンスターの退治になる。

 村でも対処する者はいるのだが、それだけでは手が足りない。

 なので、冒険者に穴埋めを頼もうという事だった。

 その為、村でモンスター退治をしてる者達と一緒に行動する事になる。

 こういった内容の依頼はよくある事なのだが、その村の事情が少し変わってる。

 まず、報酬が少ない。

 山間の小さな村なので、それほど豊かではない。

 その為、出せる金額が少なく、どうしても雇える人間が限られる。

 人数・レベル共に、まともな冒険者の集団を雇う事は出来ない。

 かといって人数を最大限にするわけにもいかない。

 その場合、レベルが低いどころか、なんの技術も持ってないものを用いる事になる。

 モンスターが相手になるので、最低限のレベルは無いと仕事にならない。

 だから、自然と少人数になってしまう。

 呈示された金額と期間からすると、それなりのレベルの人間を雇うと二人か三人程度が限界となる。

 なので、通常の一団を雇う事は出来ない。

 この町にいるど仲間と組んでる冒険者はどれもが五人や六人はいる。

 まず、この時点で依頼を引き受けられる者がいなくなっている。



 加えて、今回相手にするべきモンスターが結構手間がかかる。

 ネズミはもとより、犬頭などが出没する。

 何処にでもいるモンスターの見本のような連中であるが、この数が結構多い。

 更に、それより幾分強いものも出てくるという。

 となれば、結構な規模の人間がいないと話にならなくなる。

 まともにモンスターを駆除するなら、それこそ十人以上の人間を用いるべきとなる。

 ますますこの依頼の引き受け手がいなくなる。



「……そんなわけだ」

「はあ……」

「最悪じゃん」

 アヤのため息とサキの否定的発言がごく普通の反応を示している。

 普通に考えれば何一つ利点がない。

 村にはかわいそうだが、引き受けないのが当然であろう。

 だが、全く利点がないわけではない。

「オッサンからの受け売りだから、素直に全部聞く訳にもいかないけど」

 そう言いつつ話を続けていく。



『この話、普通に考えれば全く利点がないが、見方次第で少し変わってくる』

 胡散臭い話し方に、ヨシフミは「へー」と疑わしげに返事をした。

『まず、モンスターだが数が多いとはいえネズミや犬頭だ。

 お前のレベルならどうにでもなるだろ』

 それはその通りである。

 どれだけ出て来るか分からないが、一度に三体程度ならどうにかなる。

 サキもいるので、もう少し数が多くても何とかなる。

『だから、倒した分だけ稼げる。

 村からの報酬は少なくても、これで補えるだろう』

 また、村も報酬以外に滞在中の食事と寝床を提供すると言っている。

 その間に生活費は考える必要がない。

 町にいる時の宿泊料や、外で活動してる時の保存食などの値段も馬鹿にならない。

 それがまるまる浮くとなれば、その分の利益も大きい。

『人数はどうしても少なくなるが、お前さんの所なら問題もない。

 それにだ、これはあくまで助っ人の募集だ。

 全部お前達でやる必要がない』

 人数の少なさはこれである程度は解消出来る。

 重要な部分はレベルの高いヨシフミ達に任されるだろうが、それでも全てをやる必要がない。

『向こうも二人ほどモンスター退治の専属として出てくるというから、最低限の人数は確保出来るかもしれん』

 それなら全部で五人になる。

 アヤとサキは戦力として不安だが、数だけは確かに揃っている。

 小さな冒険者の集団はたいていこれくらいの人数なのだから。

『そのうちの一人は魔術を使うそうだ。

 どのくらいの腕なのか分からないが、これも大きな利点になるかもしれん』

 魔術と呼ばれる不可思議な力の使い手はまだ少ない。

 そのほとんどがモンスターの登場によって生まれたものだからだ。

 モンスターの核がもたらす力とその利用法から生まれている。

 今も研究され続けてるもので、まだ解明されてない部分が多い。

 しかし、利用できる部分だけでもかなりの発展を遂げてもいる。

 未解明部分が大きすぎるのだ。

 判明してる部分を用いるだけでもかなり強力な力になる。

 どんな力を使えるのか分からないが、用い方次第では戦闘を楽に進める事が出来るだろう。

 もう一人の方がどうなってるのか分からないというのが不安要素ではある。

 しかし、とにかく数は揃える事が出来る。

『何より、仕事において最低限こなしてもらいたい条件が設定されてない。

 失敗しても文句を言われる事もないだろう。

 少なくとも報酬は得られる』

 今後の評判や評価を考えるとそうも言ってられないが、これも利点ではある。

 怠けていたらしょうがないが、モンスターの脅威を排除仕切れなくても問題は無いという事にもなる。

 仕事をきっちりこなして、という前提を踏まえてであろうが、これは当然である。

 普通ならあり得ない事である。

 最低限こなして欲しい事は条件になるものなのだが。

『まあ、モンスターを倒すというのが条件ではあるな。

 だが、向こうもかなり無茶な要求をしてるというのは分かってるようだ。

 これ以上条件を積み重ねるわけにもいかないと考えたんだろう』

 他にも何かしら理由があるかもしれないが、オッサンたち周旋屋はそう考えたようだった。



「そんなわけだから、悪い所だけじゃない。

 行ってみなければ分からないけど、少しは旨みもあるとは思う」

「本当にそうなんですか?」

「なんだか、上手く騙されてる気がするよ」

「まあな。

 確かに丸め込まれてるとは思う。

 けど、今の俺達だとメシと寝床の心配がないだけでもありがたいし」

 一週間の食事だけで銀貨一枚と銅貨が何千枚か無くなる。

 仕事から帰ってきた時だけ宿泊してるが、それでも二日ほど寝泊まりして一人四千銅貨になっている。

 一週間でだいたい銀貨二枚近くが無くなってしまう。

 それが消えるだけでも大きな違いになる。

 モンスターの数が多いのも、稼ぎを増やす機会と考えれば魅力にはなる。

 危険の増大は避けがたいが、それも人数が多ければ対処出来るかもしれない。

 気になるのは、村にいるモンスター退治担当の者達のレベルだ。

 こればかりは詳細が分からないので何とも言えない。

 だが、全くの素人ではないとは言われている。

 それを信じるしかなかった。

「まあ、核を報酬で貰えるなら問題は無い。

 そこは話がついてるらしいし」

「でも、かなりきつくない?

 犬頭より強いのもいるんでしょ」

「そうなんだよ。

 そこが気になるけど、今より稼ごうとしたらな」

 他に道はなかった。

「そんなわけだから、引き受けてみようかと思ってる。

 ただ、泊まり込みになるし、結構期間が長い。

 モンスターの出没状況が早めに落ち着けば短くなるかもしれないけど。

 今のところ、二ヶ月から三ヶ月は出かける事になる」

 それを聞いてアヤの顔が強ばった。

 ヨシフミもそれに気づく。

「ま、まだ決めたわけじゃないけど、考えておていくれ」

 そう行って話は切り上げた。

 やれやれ、とサキが頭をかいていく。

 その隣で浮かない顔をしてるアヤは、小さくため息を吐いた。

(ハル、どうしよう)

 奴隷商の所にいる彼女と会う事が出来なくなる。

 その間に何がどうなるという事もないだろうが、心配になっていく。

 とはいえ、行かないとは言えない。

 それを決めるのはヨシフミであり、アヤではない。

 何より、金を稼がねばならない事は彼女も理解している。

 ハルを解放するためにも、ここで無理をする必要があるかもしれなかった。


明日の17:00に続きを公開予定

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