17話 順当に倒して成果を得ていく
「…………すごい」
四体のモンスターを倒したヨシフミを見て、アヤは呆然とする。
能力表を見たときに、結構高いレベルで技術を持ってるとは思った。
なのだが、数値がどれほどの熟練度を示してるのかは全く分かっていなかった。
(こんな強かったんだ)
驚くしかない。
犬型のモンスターがどれだけ強かったのか分からないが、四体を相手に苦戦する事もなく倒したのは信じがたい。
暫くは立ち上がる事も忘れ、射撃した位置に座りっぱなしになってしまった。
ヨシフミに呼ばれて我にかえる。
「こいつらから核を抜き取っておいてくれ」
「あ、うん。
分かった」
言われてナイフを取り出す。
短剣とは別に持ってるそれで、モンスターに近づいていく。
が、わずかに足を止めてしまう。
「うわあ……」
吐き気をもよおした。
何せ倒れてるモンスターの頭が全て粉砕されてるのだ。
息を吹き返して動き出さないようにするためであろうが、なかなかに壮絶な光景である。
胃液が逆流しそうになる。
それをどうにか飲み込んで、核を抜き取りにいく。
仰向けにされていたそれらの胸にあった。
なるべく頭の方を見ないようにして胸に刃を突き立てていく。
意外と簡単に入っていく刃を動かし、核をえぐる。
すると、ネズミの時のようにモンスターの体が霧のようになっていく。
比べるべくもないほど巨大な体がすぐに消え去っていく。
それを見てこれらが通常の生物でない事を実感する。
切り取った核を腰の袋に入れ、すぐに次のものにとりかかる。
そうしてる間にヨシフミが近くまで戻ってくる。
弦を張り直したクロスボウを構え、周囲を警戒しながら。
モンスターを倒し終わった後で、持ってきた罠を仕掛けていく。
ロープに鳴子をつけたものだ。
引っかかれば音をたてるという単純な代物である。
本来なら野営地などの周囲に張り巡らせておくなどの防衛的な役目を果たすものだ。
しかし、おびき寄せる罠の周囲に設置しておくと、どこで何が引っかかったのかをすぐに知る事が出来る。
わざわざモンスターがいるかどうかを確かめにいく必要がなくなるので便利だった。
それを設置して次の場所へと向かう。
当然ながら警戒は怠らない。
別の群れが更にやってきててもおかしくはない。
既に何体かのモンスターはそこにいたのだから。
幸いにも二番目に回った所にはモンスターはいなかった。
すぐに鳴子を設置してその場を後にする。
三番目の場所も同様だった。
鳴子がなくなったので一旦戻り、一式を取り出して四番目の場所に。
今度はいたのでそれを蹴散らしていく。
新たに三体、合計七体分の核を手に入れる。
そして五カ所目。
今度は五体のモンスターがいた。
さすがに少し手間取りはしたが、それでも上手く倒す事が出来た。
合わせて十二個の核を手に入れる。
午前中の早い段階としては上々の成果である。
「凄いですね」
再び野営地に戻ってきたところでアヤが声をかける。
「あんなに簡単にモンスターを倒すなんて」
「そうか?」
少し意外そうな声が返ってきた。
「長くやってる奴なら、あれくらい出来るようになるぞ」
「そうなの?」
「ああ。
順調にレベルを上げていけばな」
嘘ではない。
無理せず無茶せず、そして怠けずにやっていれば数年でヨシフミくらいのレベルにはなれる。
「そこまで長生き出来る奴は少ないけどな」
「うわ……」
「でも、このまま上手くやっていければ、今年中にそれなりのレベルになれるさ」
「今年中に……なの?」
「ああ。
とりあえず、あの犬頭くらいならレベル3くらいでどうにかなるぞ」
「へえ」
「今のペースだとどれくらいかな。
半年でいけるかってところかもな」
「うわ、そんだけかかるんだ」
「これでも早いほうだぞ。
ネズミを相手にしてるよりよっぽどな」
言いながら印章を出してくる。
「それで自分の能力表を出してみな。
経験値の所が増えてるだろ」
言われてアヤは自分の能力を出してみる。
確かにヨシフミの言う通りだった。
経験値の所がかなり増えている。
「すごい、六十点くらい増えてる」
「あいつはネズミより強いからな。
それくらい増える」
「これなら…………、うん、確かにかなり早くレベルが上がるかも」
その為には相当な数を倒さなくてはならない。
だが、ネズミを相手にしてるより成長を見込める。
「核もネズミのより高く売れるしな。
危険だけど、頑張れば実入りも大きい」
「じゃあ、ハルも……」
早めに解放出来ると思った。
どのみち奴隷として買い取らねばならないが、他の誰かに売り飛ばされるよりは良かった。
「その為にも頑張らないとな」
ヨシフミの言葉にアヤは力強く頷いた。
そうしてるうちに鳴子の音がする。
「行くぞ」
「うん!」
元気よく返事をしてアヤはヨシフミに続いていった。
この日、二人は三十九個の核を手に入れた。
明日の12:00に続きを投稿予定
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