やさしい子どもたち
とてもやんちゃな男の子がいました。
男の子のやんちゃぶりは大人たちも困ってしまうほどでした。
それほどやんちゃでしたから、学校では男の子はみんなにきらわれていました。
それでも男の子はやんちゃでした。
クラスの女の子にいたずらしたり、体の小さな子をいじめたりしました。男の子はみんなの注意など、無視していたのです。
ある日、ついに怒った子どもたちが、先生に言いつけに行きました。
先生は言います。
「自分たちで上手くやってごらんなさい。それも勉強ですよ」
素直でやさしい子どもたちでしたから、すぐ先生の言葉を信じました。
そして、あのやんちゃな男の子に、みんなで言いました。
「やあ、きみもぼくたちの仲間に入れてやるから、あんまり乱暴なことはするなよな」
するとやんちゃな男の子は言います。
「やだよ。別におれは仲間になんかなりたくないもの」
そう言うと、男の子はみんなに石を投げつけました。
「痛い!」
「やめて!」
「助けて!」
「逃げろ!」
男の子のせいで、たくさんの子どもたちがけがをしました。
ある日、子どもたちはまた先生に言いつけに行きました。
「仲良くしようと言っても、聞いてくれないんです。先生、なんとかしてくれませんか」
先生は言います。
「もっとがんばってみなさい。すぐに先生をたよってばかりではいけませんよ。上手くおやりなさい」
素直でやさしい子どもたちでしたから、子どもたちは先生の言葉をすぐに信じました。
そして、あのやんちゃな男の子に、またみんなで言いました。
「そろそろ乱暴をやめないと、ぼくたちがきみをいじめるぞ」
男の子は言います。
「おれをいじめるだって? できるものならやってみろ」
そう言って、また石を投げようとしました。
でも、今度はみんなにとめられました。
子どもたちは言います。
「どうしても分からないようだな。こらしめてやる」
ある日、先生が教室にやってくると、あのやんちゃな男の子がいました。
首をなわでしばられ、吊されていました。
冷たい風に、男の子は揺れていました。