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SOLDAT-ソルダ-  作者:
4/6

秘密と悲劇

ずっと気になっていた。だけど、こんな結果なんて望んでいなかった。


隠された事実、隠している想い、気付く


そして他人の悲劇が二人の関係を深めてしまった。

「えっと…この事件ってここら辺だっけ?」


図書室のような空間に一人、色とりどりの分厚いファイルを棚から引き出しては仕舞いを繰り返している綾梅の姿があった。


任務が無い日はこうやって資料室で自分の担当した任務の資料等を整理したりしている。


「ん?これは…??」


一つだけ何も書いて無い薄いファイルが目に入る。

見てはいけない。そんな気がするのだが好奇心に勝てず引き出してしまう。


「年代も、題名も何も書いてない…??」


ページを捲ると目を疑った。


「私の名前と…圭助の名前?」


ざっと目を通すと生年月日等のデータらしく、個人情報がズラリと書かれていた。

捲っていくうちに、二人の関係を書いているページに辿り着く。


「…え?」


そこには、二人は姉弟と書かれていた。


苗字が違う、親が違う。

そんな二人が血の繋がりがある。


「まさか…」


幼い頃に3つ下の弟がいると聞いた事はあった。

色々あって養子として違う夫婦の元に行ってしまったとか。


「それが…圭助だって言うの???」


厳密に保管されていたであろうデータが何故か皆が使用する資料室にある。

たまたまなのか、それとも。


「っ?!」


呆然と立ち尽くしているとポケットにしまっていた端末機が連絡受信を知らせる音が鳴る。


「は…はい??」


連絡して来たのは圭助だ。


(なんてタイミングが悪い…)


動揺を隠すように用件を聞く。


「どうしたの??」

「緊急任務が入ったから会議室に」

「…了解」


通話を切るとファイルを元の位置に戻しその場を駆け足で去る。



「私達二人で?」


会議室には第7小隊を指揮する、指揮官と綾梅、圭助の2人だけだった。


「緊急を要するのに僕達二人で良いんですか?」


指揮官は二人を見ると微笑む。


「お前達の能力なら十分過ぎるくらいだ」


二人で十分だと言いながら二人の肩に手を置く。


「無理だけはするなよ」


指揮官の言葉に二人は頷き任務へ出発した。





「化け物?」


綾梅が資料に目を通していると前回の任務に似ている言葉を見つけた。


「急に人を喰べ始めたり、凶暴化したりしてるみたいだね」


三人で行った任務でも村人達化け物に変化していた。


「前の任務に似てるね」


綾梅は端末機を消して外を見る。


今回は車での移動だ。


「着きましたよ」


車がゆっくりと止まる。


「それではお気をつけて」

「ありがとう」


運転手がニコリと微笑むと車は来た道を引き返した。


「さて…と」


二人が降りた場所は比較的人気が少ないと言われている町への入り口。

人の行き来が少ないためか門をくぐるだけになっている。


人の気配を無いのを確認してから二人は足音がしないように中へ入る。


周りを警戒しながら町の中央まで来ると辺りは血だらけになっており、原型を留めていない肉片になってしまっているものが落ちている。


「すごい臭い」


綾梅が顔をしかめる。


「いきなり変化したり凶暴化になるから逃げ遅れる人が沢山いたんだね…」

「死体はあるけど…肝心の化け物は…??」


辺りを見渡してみても気配を探ってみても生きている人はいない。


「どこかで息を潜めている…とか」


圭助が綾梅の方を見ると後ろから人とは言いがたい何かが襲いかかろうとしていた。


「あや!」

「!!?」


綾梅を引き寄せると襲い掛かってきた何かの頭に何発か撃ち込む。


「き…気付かなかった」


地面に倒れたソレは蒸発して行った。


「とりあえず、ここから離れよう」

「うん」


二人はまだ被害が出ていないと書かれていた方角へと走り出す。


少し走ると住宅街らしきものが見える。


「ここは…」

「何故かここだけは被害に遭ってない区域だよ」


被害者も変化した物もいない不思議な区域。


「遭っていないのではなく、速やかに排除しているだけだ」


二人の後ろには後頭部に銃口を当てて立っている男女がいた。


「足音が聞こえなかった…ですが」


綾梅が喋り終わると同時に二人は振り向く。


「なっ」

「きゃっ」


銃を蹴り落とし、あっという間に地面に叩きつけるようにして拘束する。


「殺気を隠せてなかったですよ」

「化け物や普通の人間は気付かなくても僕達は気付きます」


二人は悔しそうな顔をしている男女に笑顔で身分証を見せる。


「私達、ACから派遣された第2小隊の者です」


二人は物凄く謝罪されたそう。




「…では、この町全体的に被害が出ている、と」

「はい。この区域はたまたま僕達が警備している最中でしたので、被害は出ていません」


綾梅と話している少女は、ナタリア。

この町の警護団の最年少で未来有望の団員だとバディーを組んでいるライドが話していた。


「他の区域は?」


圭助の問いに二人は表情を曇らせる。


「俺達同様に2人1組で警備をしているんですが、他のチームに連絡が取れないんです」


ライドが不安そうな表情をする。


「居場所が分かったりはしないんですか?」

「分かるはずなんですけど…」


ナタリアが端末機の画面を見せる。


「特定不可能?」

「はい…この良く分からない霧のせいなのか分からないんですけどエラーが出てしまうんです」


二人も端末機を見てみる。


「私達のも使えないみたいね」

「地図すら出ないなんて…」

「とりあえず皆バラバラにならないように気をつけましょう」


警備範囲内の区域に4人で向かう事になった。


(でも良かった。二人きりなんて…私どうしたら良いか分からなくなるもん)


ずっと隠されてきた真実を目の当たりにしてしまい、正直二人きりは嫌だったのだ。


ナタリアとライドの二人が警備担当の区域から少し離れた所に辿り着く。


住宅街に一歩踏み込んだ瞬間にむせ返るような血の臭い。


「酷い…」


ナタリアの顔が真っ青になる。


「ナタリアさん?」

「へ、平気です」


綾梅の心配そうな顔に覗かれ笑顔で返す。


慎重に進んでいると、どこからか声が聞こえる。


「…リア」

「?」


ナタリアが立ち止まり辺りを見渡す。


「ナタリアどうした?」

「え?今声が聞こえたような…」

「ラ・・・ド」

「本当だな」


二人が立ち止まったのに気付き綾梅達も止まる。


「お二人ともどうしましたか?」


綾梅が二人に駆け寄る。


「今聞き慣れた声が僕達を…」

「…けて」


今にも消えそうなか細い声が助けを求めていた。


「あや」


圭助がコッチと手招きする。


3人が圭助の元に駆け寄ると無線機の雑音が聞こえてくる。


「ナタリアさん・・・」


ナタリアはコクリと頷くと小さな声で名前を呼ぶ。


「・・・・・・アマリア?」


4人の目の前にある扉の向こうから微かにナタリアの声が聞こえた。


ナタリアとライドの表情が固まる。


「まだ生きています、助けに行きましょう・・・?」


綾梅の言葉に二人が頷く。


圭助とライドが扉の両側の壁に背中を付け銃を構える。その後ろにナタリアと綾梅が武器を構えて身を潜めている。


扉を静かに開きいっきに流れ込み武器を構え辺りを見渡す。


「化け物は・・・いないみたいね?」


他の場所とは違い綺麗な部屋。血の臭いもしない。


「これは?」


綾梅が足元にライドが構えていたものに似ている銃が落ちているのに気付く。


「これ・・・僕達に支給されている銃です」


ナタリアがホルダーから同じ型の銃を出す。


「じゃあ・・・」


綾梅は銃を握り締め目を瞑る。


「あの・・・綾梅さんは何を?」


ナタリアは見慣れた表情をしている圭助に尋ねる。


「ん?あぁ・・・あやは他人の心を読めたり、ああやって持ち物から持ち主の過去とかを覗けるんです」

「・・・つまり、今はアマリアの過去を?」

「そうなりますね」


3人は綾梅の能力をただ見つめていた。




「クロユリ!こっちにもいるわ!」

「はいはーい!」


クロユリと呼ばれた美しい女性が海のように美しい青い瞳をギラリと光らせ化け物を武器であろうオノで真っ二つにする。


「やっぱり支給品の銃だけじゃ難しいわね」


白い肌についた返り血を乱暴に拭いながら銃をホルダーにしまい、双剣を構える。


「アマリアはやっぱり銃より双剣の方が似合うね」


クロユリも肌についた血を拭う。


「さあ、残りも処理して生存者を逃がしましょう」

「そうだね!」


(あれは・・・)


アマリアとクロユリの背後に潜む影を綾梅は捉えていた。


「ミィツケタ」

「え?」


クロユリの腹から変形した爪のような鋭利な物が血飛沫と共に出てくる。


「クロユリ!!?」


相棒の異変に気付き振り向いた瞬間軽い体は勢い良く飛んでいく。


「う゛!!?」


壁を突き破り隣の部屋へ飛んでいく。


「い・・・た」


壁は老朽化で脆くなっていたお陰で突き破った際のダメージは少ないが、体中に痛みが走る。


「アノ女ハ死ンジマッタガ、オ前ハ」


痛みで体を動かせないでいるアマリアの体を触手のような何かが巻きつき、体が中に浮く。


「ユックリト、楽シミナガラ殺ス」

「ひ・・・」


朦朧としているアマリアの首筋に長い舌を這わせる。


(これ以上は・・・いや・・・だ・・・)


「やめ・・・」


視界がいきなり切り替わる。


「あや?」

「綾梅さん?」


圭助とナタリアの声で我に返る。


「・・・視えた」


その声は震えていた。


「アマリアさんと・・・相方であるクロユリ・・・さん?こっちにいる」


フラフラと何かに導かれるかのように3人を案内する。


破壊された扉を通り抜けると外同様にむせ返りそうになる血の臭いがする。


「!!?」


4人の目の前には腹に大きな穴が開いているクロユリの死体が横たわっていた。


「クロユリ!?」


ナタリアとライドが駆け寄る。


「ダメだ・・・もう・・・」


脈がない事を確認したライドが首を横に振る。


「そんな・・・」


ナタリアが死体を強く抱きしめる。


「・・・アマリアは?」


涙をこらえているナタリアが綾梅に尋ねる。


「・・・こっち」


指さす方は先ほど声が微かに聞こえた場所に位置する部屋。


ナタリアはクロユリを床に下ろし、目を閉じさせ、綾梅に続く。


部屋は遮光カーテンで覆われおり暗い。

古い建物で暫く使われていなかったのか壁に小さな穴がいくつか開いているお陰でうっすらと明るかった。


「ここからアマリアの声が・・・」


入り口付近に落ちていた銃と無線を握り締めナタリアが歩き出す。


「寝室なのかな・・・その割には少し広すぎるような」

「ここは確か、昔王族が住んでいたんです。この町の慣わしでもあるんですが、夫婦でも男女別で寝なくてはいけないんです。そして、女性の寝室だけは広い部屋にして、すぐに会わないようにしてるんです」


ナタリアが目の前の布に指差す。


「夫婦でも?」

「はい。この町では女性は神聖なんです。軽々しく話すことも触れることもままならなかったと聞きました。今は普通に話すことも触れることも出来るのですけど」


苦笑いしながらナタリアがカーテンを開ける。


「!?」


開けた先には蝋燭の灯で照らされたアマリアの姿が。


アマリアの姿は目を伏せたくなるくらい酷かった。

裸に近い状態で、皮膚はあちこち食い破られていた。


「アマリア!」


壁にもたれかかるような状態で座っているアマリアに駆け寄る。


「まだ息してます。治療すれば助かります」


綾梅が傷口に手をかざす。


「サセナイ」

「あや!!!!!」


殺気に気付き綾梅は攻撃を回避する。


「オレノ邪魔ヲスルナ!!!!」


腹に響くような低く人とは思えない声に4人はゾクリを身を震わす。


「にげ…」


アマリアは4人に視線を動かすと小さく口を動かす。


「オ前ハモウ用済ミダ!」

「アマリア!!!!!!!」


4人の目の前でアマリアは無残な姿へと変わってしまった。


「広い所へ!」


ライドがナタリアの腕を掴み部屋から出る。


「あや!」

「うん!」


二人も続いて部屋から出る。


「この区域には生存者はいない!出ましょう!」


綾梅の言葉に3人は頷き門を目指す。


「逃ガサヌ!!!!」

「ナタリア!」


ナタリアに伸びてきた触手に気付きライドがナタリアに体当たりする。



「ライド!?」

「俺にかまわず行け!」


触手に巻きつかれた体は化け物の元へと引っ張られていく。


「・・・ナタリアさん行きましょう」


ライドの犠牲を無駄にしないよう、綾梅はナタリアを促す。


「他の区域に、生きている団員の方がいるかもしれません。合流しましょう?私達だけではアレに勝てません」

「・・・分かりました。合流しましょう」


3人は振り返る事なく地獄へと変貌した第3区域を後にした。




その他の区域も回り、他に生きていた団員は2人だけだった。


「ミナセさんにユーリさん」


二人共、危機一髪の所で救出が出来、町から離れている警護団支部へと身を隠している。


「お二人ともありがとうございます。ナタリアも良く頑張ったね」


ミナセと名乗った優しそうな男性がナタリアの頭を撫でる。


「…兄さん」


ナタリアの兄でもあるらしい。


「ところで、一緒にいたライドは?」


ユーリと名乗った幼さが残る男声が3人に問う。


「・・・ライドは僕を庇って連れて行かれてしまった」


ナタリアは悔しそうな顔で呟く。


「断定は出来ませんが、私達を襲ってきた化け物は女性だけを狙っていると思うんです。もしかしたら生きている可能性があります。でも、相手に考える脳がなければ・・・」


綾梅が控えめに告げる。

過去を視て、先ほどのナタリアを襲ってきた様子を見ての予想。


「さっき、ACに応援要請したので応援が来るまでにライドさんを助けましょう。倒すのは来てからです。ミナセさんとユーリさんが増えても勝てる見越しはありません」


綾梅は端末機を仕舞うと立ち上がる。


「あや?」


綾梅が愛用している大きな双剣を取り出す。


「圭助・・・怒らないでね」

「は?」


振り向いた綾梅がゆっくりと口を開く。


「私の能力でライドさんの居場所を突き止めます。分かり次第向かいましょう。でも、皆で突っ込めば勝てません。・・・私が囮になるので、その隙に助け出してください。応援が来るまで足止めをしますからライドさんを安全な所へ」

「あや!?」


圭助が立ち上がると綾梅がニコリと笑う。


「大丈夫。私達は死なないもの」

「だからって」

「平気だよ」


綾梅はライドが連れ去れた際に落としたネックレスを握り締める。


「これは・・・」


綾梅の足元には光り輝く陣のような物が浮き出る。


「・・・第3区域の奥に建っている洋館みたいな場所にいるみたいです。生きています。相手は人質としてライドさんを生かしているみたいです」


綾梅の言葉に3人の表情が明るくなる。


「けれど、戦うことも逃げることも出来ません」


綾梅が少し躊躇う。


「ライドは・・・一体?」


ナタリアが困り顔で聞いてくる。


「拘束されているのと・・・・・・片腕がありません」


綾梅は顔を俯かせる。


「・・・でも、生きているんだろう?助けに行こう」


ミナセが立ち上がる。


「そうだな」


ユーリも立ち上がる。


「ナタリアさん、助けに行きましょう?私達も全力でサポートしますから」


綾梅がナタリアに手を差し伸べる。


「・・・はい」


ナタリアの声は震えていたがしっかしりと綾梅の手を取った。





5人は第3区域の洋館の前に身を潜めていた。


「化け物は2Fの部屋にいます。その隣の部屋にライドさんが。多分、私達が来る事を想定してますね」


洋館の正面から入ると部屋から丸見え。化け物にも考える頭がある事を証明する場所でもある。


「この洋館って裏口とかありますか??」

「ありますよ」


ナタリアが少し後ずさる。

手招きする方へと向かうと大きな木の根元付近に人工芝が敷かれている人1人分は入れそうな大きさの正方形の扉がある。


「裏口って言うか隠し通路です。昔ここで良く遊んでいたんですけど、その時に見つけたんです。確か・・・1Fの厨房に繋がってるはずです」


5人は隠し通路へと侵入する。


「あれ・・・霧が無いせいかな?端末機が使える。地図が見れる」


綾梅の端末機が機能した事を知らせるランプが点いたのに気付く。


「本当だ」


圭助の端末機も同様に点く。


「もし早く応援が着けばココに来てもらえるね」


綾梅は落とさぬように厳重に仕舞う。


「ここが厨房への入り口です」


気配を探りながらゆっくりと扉をあける。


「いない・・・ね」


5人はすばやく室内へ侵入し地図を確認する。


「ここと出てすぐの階段が早く着く道だけど安全とは言い難いよね」


地図とにらめっこしているとユーリが口を開く。


「ここを出て右側にある階段はどうだろう?ここは非常口みたいだし外にいったん出るから気付かれにくいんじゃないだろうか」

「良いと思います。居場所を特定した時に見た部屋に近い場所です」


5人は足音を立てぬよう駆け足でライドの拘束されている部屋へと急いだ。




「気分はどうだ?」


意識が朦朧とする中低い声が聞こえる。


「腕をちょん切っただけで失神するとは人間とは脆いモノだな」


ケラケラと笑うのは先ほどの化け物。


「人を喰らえば喰らうほど人間以上の力や体が手に入る・・・あの女の言っていた通りだ」


ライドの近くにしゃがむと前髪を引っ張り顔を近くまで引き寄せる。


「どうやら友達が助けに来たようだぜ??おめーさんの目の前でグチャグチャにしてやるよ」


男は不敵な笑みを浮かべると乱暴に離す。



「ここ」


先導していた綾梅が扉の前で立ち止まる。


「・・・気配が2人?2つとも人間??」


綾梅が首を傾げる。


「待ってたよお嬢さん?」

「!?」


振り向く暇も無く部屋の中へと飛ばされる。


「いった・・・」


起き上がるとライドが目に入る。


「ライドさん!」


綾梅がライドに駆け寄る。


「あや!?」

「綾梅さん!」


「圭助、ナタリアさん・・・!私は大丈夫!」


ライドを拘束している縄を解く。


「何をしているのかなァ?」

「っ」


いきなり髪の毛を引っ張られバランスを崩してしまう。


「このっ」


体勢を整えると同時に男を蹴る。


「なかなかの反射だなぁ?あの穣ちゃん方よりやるんじゃねーの?」


アマリアとクロユリの事だろうか。綾梅の瞳が段々と赤くなっていく。


「あや・・・!」


遅れて4人も部屋に入ってくる。


「私を怒らせた事を後悔しながら死ね」


真っ赤に染まった瞳は男を捉え、細い足から出来ぬ力で蹴られ吹き飛ぶ。


「3人にライドさんを任せます。僕はあやのサポートに回ります」


3人は頷くとライドを抱えて支部へと向かう。



「いってーな・・・」


吹き飛ばされた男は中庭にある噴水に激突していた。


「あんた・・・マントを羽織った女に会ってるわね?ソイツから何を貰った?」

「はぁ?穣ちゃんには関係ないだろう」


綾梅を睨みつける。


「そう・・・言わないのなら力を使ってでも聞くわ」

「あや・・・!」


情緒不安定な時に良く暴走をする。

ずっと綾梅を見ていたからこそ分かること。


「止めないと町が無くなる・・・!」


応援が来るのが先か町が無くなるのが先か。


「こうなったら・・・」


圭助の言霊で近くにあった外灯を閃光弾のようにして目くらましをする。


2人の目が見えなくなった隙に綾梅を回収し第3区域から出る。



「・・・どこ」


目を覚ますと見覚えの無い部屋にいた。


「あや、目が覚めたんだね?」


起き上がった事に気付いたのか圭助が近寄ってくる。


「ここはさっきいた支部の休憩室。今は誰も使わないみたいだから借りたんだ」

「・・・ライドさんは?」

「腕は片方ないけど、無事だよ」

「そう・・・。あの男は?」

「分からない。さっき応援が来て洋館に向かって行ったよ」

「私イマイチ覚えてない・・・」


綾梅が頭を抑える。


「暴走してた」

「!?」

「だから気絶させてここまで来た」

「ご・・・ごめ」

「何を隠してる?」

「っ」


謝ろうとして顔を上げると怒った表情の圭助と目が合う。


「何も・・・隠してなんか・・・」


不思議と目が離せなくなる自分と同じ色のした瞳。

しっかりと自分を捉えていて身動きも取れなくなる。



「!?」


見つめ合っていると綾梅の端末機が鳴る。


「は、はい??」

『もっしもーし。乃空(のあ)ちゃんでーっす』


第5小隊の秋元乃空からの連絡で任務終了を知る。


「え?ナタリアさん達暫くACで保護するんですか?」

「ああ。町の復興は難しいだろうし、本部と連絡が付き次第預けるが」


帰還後、圭助と綾梅は暫くの休暇をもらい、凌太は遠征へと出された。



(・・・私はもしかすると・・・)


圭助との関係を知って気付いた事があった。


(私は…)


ベッドで寝ている圭助を見つめる。


(好きなのかな)


綾梅は圭助が深い眠りについているのを確認して、そっとキスをした。


綾梅が眠りについたのを確認して圭助が起き上がる。


「馬鹿じゃないの・・・」


眠ってしまった綾梅にそっと悪態をついた。

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