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無自覚な悪役令息は無双する  作者: ひよっと丸


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第23話 探し物はなんですか


(すごおおおおおおおい)


 レイミーは声にならない声を心の中で盛大に出した。

 実際口に出したところで誰の耳にも届かなっただろう。なにしろ歓声がすごい。早朝に国王アルベルトが挨拶をしたのとは別のテラスでのあいさつだ。挨拶とはいっても何かを話すわけではない。ただ広場に集まった国民に手を振るだけだ。


「お前も手を振りなさい」


 そう言ってアルベルトがレイミーを抱き上げた。ふわっと視界が高くなる。眼下に見えるのは王城前の広場だ。遠くの方にいる人たちは豆粒ほどの大きさだけれど、テラスの周りには観客席のような席が配置されていて、そこに座っているのは貴族たちだった。先ほどの大聖堂とさほど変わり映えしない顔ぶれだったが、レイミーの見知った顔が見えた。

 マイヤー子爵夫妻だ。

 父は真新しいフロックコートを身に着けていた。その隣にいる母は、どこかで見たことのあるドレスを纏っていた。おそらくあれだ、お下がりでいただいたドレスをリメイクしたというやつだ。マーガレットとリリィからもらったドレスはなかなか豪勢な作りをしていたから、リメイクにはさぞや気合が入ったに違いない。その傍らを見れば、レイミーの弟妹たちも新しい衣装を着て座っていた。拍手をして手を振っているのが見える。レイミーは嬉しくて手をものすごく大きく振った。


「こらこら、そんなに大きく振るものではない」


 さすがのアルファの王アルベルトも、片手で抱き上げたオメガのレイミーが大きく手を振るものだから、バランスが悪かったらしい。


「ごめんなさ。弟たちの姿が見えたので」

「そうか。それなら」


 そう言うとアルベルトはマイヤー子爵一族がいる方に体を向けた。そちらは当然貴族席であるから、歓声よりも拍手の音が大きく聞こえた。レイミーは嬉しくてニコニコと笑顔で手を振った。そんなレイミーに弟妹達も愛らしく手を振り返す。その様子を見て周りの貴族たちは関係性を再確認したのだった。





「よく頑張ったな」


 豪華な晩餐会は大広間に貴族が一堂に会しての食事会だった。国王陛下アルベルトの隣にはレイミーだけが座っていて、下に集まった貴族たちを見下ろす感じだった。建国祭だから、国中がお祭り騒ぎで、広場では無料の食べ物や飲み物が配られ、誰もが飢えのないことを感謝しているはずだ。貴族たちは、国をまとめあげる国王陛下により一層の忠誠を誓うためにここにいる。


「かんぱーい」


 音頭をとったのは序列一位の貴族だろう。レイミーは大聖堂で一番近い場所にいた顔を思い出した。みなグラスを高く上げ、国王陛下アルベルトを称えながら酒を飲み干す。そうして食事が始まるのだ。誰も立ち上がることはせず、談笑しながらの食事だ。ただ、座る場所が序列となっているため、子爵男爵は本来一番遠くに座るものなのだが、マイヤー子爵夫妻は一番前にいた。公爵家と同じ位置だ。その意味するところはレイミーがアルベルトの隣に座るただ一人ということが証明していた。


「陛下、このお肉とっても柔らかいです」


 ナイフを置いただけで切れてしまうステーキにレイミーが感動していると、すかさずアルベルトが自分の分の肉を切り分けてレイミーの口へと入れてきた。


「お前にも食べやすいか。それならたくさん食べなさい」


 アルファの王アルベルトがかいがいしくオメガのレイミーの世話を焼くのを見て、たいていの貴族は納得した。そうして晩餐会は静かに終わりを告げたのだった。

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