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神聖魔法禁術

「おおお!ゼノなにそれ?彼ら何者なの?めちゃくちゃ怪しいね!本当に強いか、確かめていい?」


アーサーは楽しそうにヤル気になる。


「よいぞ、ゼロスここえ!」


「はっ!」


ゼロスが霧のように現れ、静かに地面に立つ。その姿は一瞬の影のようでありながら、圧倒的な威圧感を放つ。鋭い眼差しがアーサーを貫き、空気が一瞬止まったかのように感じられる。


アーサーがレオンに耳打ちした。


「レオン、一度だけエクスカリバー借りてもいいかな?この力、試させてもらう!」


「もちろんだ、思い切り使ってくれ!」


レオンは剣を手渡しながら、眉間に緊張の筋を走らせる。アーサーは剣を構え、呼吸を整え、全身の神経を刃先に集中させる。指先から頭の先まで、緊張が稲妻のように駆け巡った。


ゼロスは微動だにせず、まるで時間そのものを支配しているかのように立っている。


──瞬間、アーサーは全力でゼロスに横一文字の斬撃を叩き込んだ!


その刹那、ゼロスは三本の指で刃をつまみ、圧倒的な力で止める。金属が焼けるような音がかすかに響き、指先からは煙が立ち上る。

戦場の空気が震え、周囲の緊張が一気に張り詰めた。


「うん!いいねー!さすがゼノの右腕。あれ、普通は避けるところだからね。」


アーサーは満足そうに笑みを浮かべ、静かに剣をレオンに返す。


そして、小声でゼノに話しかけた。


「あれは、かなりヤバい存在だな、どこで見つけたんだ?」


「デーモンロードを我自身で五体召喚した。それだけだ。

だが、ゼロスだけは別格だ。恐らく、デーモンキングの領域に到達しているはずだ……もしかしたら、間違えて召喚したのかもしれぬ。名を最初から持っておったからな。」


ゼノは静かに答えた。


「え? デーモンキングって、魔王のことじゃないの?」


アーサーは首をかしげ、戸惑いを隠せない。


「デーモンキングになれば魔王、というわけではない。間違いではないが、正解でもない。

簡単に言えば、魔王になれる資格のようなものだ。現に今の魔王はレグザードだ」


ゼノは軽く微笑み、含みのある口調で言葉を続けた。


「ゼロスがその気になれば、魔王レグザードのその地位が危うくなるな」


「さすがだよ、ゼノ。この戦力はかなり大きいぞ!提案通り、右翼は頼むよ。」


アーサーは視線を左翼に向け、レオンに伝達する。


「レオン!ちょっと作戦変更で、全方面の護衛ではなく、左翼側の護衛に変更したいんだけど、大丈夫か?」


「ああ!もちろん大丈夫だ!だが、右翼側は大丈夫なのか?」


レオンは怪訝な表情で眉をひそめ、わずかに唇を引き結ぶ。周囲の空気を鋭く見渡しながら、戦場の状況を冷静に判断しているのが伝わってくる。


「右翼側は問題なさそうだ。仲間が良くない存在を召喚したらしい。」


アーサーは困ったように唇を噛む。


「まあ、お前のことだから、凄いことなんだろうな!きっと何とかやってくれるんだろ?」その言葉には、信頼と少しの不安が入り混じっていた。


そう言うと、レオンは小刻みに部隊を左翼へと移動させ、整列を整えていく。零れ落ちる月明かりが鎧や剣に反射し、戦場は異様な静寂の中に緊張を孕む。


ゼノは黙ってデーモンロードを右翼に展開していく。五体の影が夜闇の中で重厚に存在感を示す。視線を鋭く巡らせるそれらの存在は、まるで戦場そのものを睨んでいるかのようだった。


――――


そして、遊撃隊は静かに前進を開始した。

闇は濃く、魔力の痕跡が空気中で淡く煌めき、前方に待つ敵の存在を予感させる。闇の奥からは、鋭い気配が確実に迫っていた。


すると、左翼側の闇の中からダークナイトの軍勢が姿を現す。その数は二百体にも及ぶ。重厚な鎧が月光に反射し、冷たい金属音が静寂を引き裂く。


ゼウス・ロアはゆっくりと構え、戦闘体勢に入る。その目は戦場全体を鋭く見渡し、次の一手を計算していた。


魔道士 ネイトは杖に魔力を集め、大規模魔法の準備に取り掛かる。槍士 レイは突きの型に入り、筋肉を硬く張らせる。弓士 リアンは視界を敵に合わせ、矢の先端に力を集中させる。


レオンが力強く声を上げた。


「ネイト!魔法発動だ!」


ネイトは杖を高く掲げ、深く息を吸い込み、詠唱を始める。魔力が空気を揺らし、周囲に微細な光の粒子が散る。


「天よ焦がせ、焔よ墜ちよ。世界を紅に染める灼き星となれ!」


第十階梯魔法

灼星崩落──《ソル・イグニス》


空高く人工の太陽が創り出され、無数の炎の隕石が凄まじい速度で地面に落下する。衝撃のたびに大地が震え、爆炎が柱となり、半径五十メートルを灼熱の地獄に変えていく。太陽核の崩壊と共に、光と衝撃波が広範囲に拡散し、敵の陣形を一瞬で乱す。


ダークナイトの軍勢は一気に混乱し、恐怖に動揺しながらも、なお硬い鎧で反撃を試みる。


レオンが力強く叫ぶ。


「よーし!ゼウス・ロア!本気出して行くぞ!」


「「おう!!」」


「ダークナイトは現在混乱状態だ!硬いところと柔らかいところを見極めて攻めろ!」


レオンの檄が戦場に響く。


接近戦が始まり、剣と槍が激しく交差する。

レオンは獣のような動きで剣を振るい、次々とダークナイトを切り伏せる。その剣撃は嵐のように速く、鋭く、地面にまで衝撃を伝える。


ゼウス・ロアのSSSクラン槍士 レイは、一突きで十体の鎧を貫く。槍が振るわれるたび、敵の鎧が軋み、鉄の臭いと火花が飛び散る。


副リーダーのSSランク剣士 ルークは、風のように舞いながらダークナイトに数百の剣撃を浴びせ続ける。その動きは美しくも恐ろしい連続の舞踏で、周囲の戦意を圧倒する。


そしてレオンが力強く叫ぶ。


「全員後退!!」


前衛の三人が素早く下がり、戦場に新たな展開の余白を作る。


ネイトは杖を高く掲げた。


第十階層魔法

── 爆焔渦動インフェルノ・スパイラル


高熱の魔力を一点に収束し、渦巻く火炎の竜巻として解き放つ。炎の渦は中心のダークナイトを飲み込み、内部で高温と爆圧が連続的に焼却をもたらす。数十秒間、範囲内の敵は逃げられず、熱風と光が戦場全体を包む。


「前衛!突撃だ!」


レオンの声が夜の闇を切り裂き、兵士たちは全力で前へと突き進む。


――――


ゼウス・ロアがダークナイトを壊滅させた。

見事な連携で、敵を翻弄していた。

鋼のように組み合わされたその動きは、まるで一つの意思を持った戦力のようだ。


被害はほとんどないようだが、戦場に漂う硝煙と血の匂いは、緊張の余韻を消さなかった。


「レオン、お疲れだったね!護衛感謝するよ」


アーサーが声をかける。

笑顔の奥には、戦いの興奮が滲んでいた。


「ああ!あれくらいの戦力ならゼウス・ロアが完全に抑えてみせる。だが、万の戦力がやってきた場合、命をかけなければならないな」


レオンの瞳は真剣そのもので、覚悟を宿している。聖剣を握る手に力が込められ、微かな震えさえ戦いへの緊張感を物語っていた。


「レオン、それは大丈夫だ!万の戦力には禁術を使う予定だ、練習も兼ねてね。まあ楽しみにしといてよ!」


アーサーは満面の笑みで言う。興奮を抑えきれない様子で、胸を高鳴らせる。


今度は右翼側から黒いモンスターの大群が襲いかかってきた。

地面が揺れ、空気が振動する。


ゼロスを中心としたデーモンロードたちは瞬時に散開し、いとも簡単に敵を狩り始める。

魔人は魔力や高い身体能力、固有技に特化しており、物理攻撃は通じにくい。

体格差など関係なく、狙われたものは確実に命を奪われる。


五体のデーモンロードは粛々と任務を遂行し、巨大なダークサイクロプスも次々と倒されていった。


周囲の戦場がデーモンロードたちの冷静な動きで制圧されていく光景は、圧倒的だった。


一息つく間もなく、前方からダークナイトとモンスターの大軍が前進してきた。


アーサーはスキル《神眼》を発動し、敵の配置と強さを即座に把握する。


「約五万の軍勢だな」


アーサーの声は低く、しかし熱を帯びる。

胸の奥が高鳴る——目の前に広がる敵の群れは、圧倒的な黒の塊として迫っていた。


「まずはイーライ、禁術の準備だ!この後に、古代魔法の実験をする」


「うん!よーし!!頑張るぞー!」


イーライはガンマハンマーの柄を地面に深く突き刺す。

精神は凪のごとく静まり返り、魔力が体中で渦を巻く。

ハンマーに刻まれた古代文字が白銀に光り、戦場の空気に微細な振動を生む。


『ルクス・エテルナ、ディビナ・イラ・セラ・ヴァル・オス、ボルス・カエリス、クリミナ・デレオ!』


「光」──聖滅剣セラ・ヴァル・オス


直後、空が裂けた。

眩い閃光とともに、数千にも及ぶ白の魔法陣が空一面を覆う。


それぞれの中心から、光を纏った大剣が静かに姿を現した。

──次の瞬間、天地が鳴動する。


無数の剣が光線のように奔り、闇の軍勢を次々と貫いた。

絶叫が上がる間もなく、二撃、三撃と連続で剣雨が降り注ぐ。

避けることも、反撃することも叶わない。


ダークナイトも、モンスターも、影もろとも光に呑まれていく。

地面を焼き尽くしながら、五万の闇が一瞬で塵と化した。


その光景を見届けたイーライの体が、糸の切れた人形のように崩れ落ちる。

全身の力が抜け、両手と膝を地に着けたまま、震えが止まらない。

魔力も生命力も、もはや尽きかけている。


汗が頬を伝い、呼吸は荒く、肺が焼けつく。

目の前が揺らぎ、音が遠のく。


──それでも、彼は最後まで立とうとした。

戦場の静寂の中、その微かな息づかいだけが響いていた。


アーサーは目を見開き、拳を握りしめる。


「イーライ……無理するな……今は休むんだ」


遊撃隊はイーライを守りつつ次の戦闘態勢に移る。

体力を失った仲間を守りながら、全員の視線は闇の奥へと集中する。


アーサーがゼノに尋ねる。


「ゼノが闇と戦ってた時のモンスターって、オークとかミノタウロスばっかりだったの?」


「闇が浅いところではお前の言ったモンスターばっかりだったな。だが、奥に行くとヒュドラ、キリン、ケルベロスなどの高ランクモンスターが混じっていたぞ」


「厄介な連中だな。だが高ランクモンスターなら、古代魔法の相手に不足なしだな!」


アーサーの瞳が輝く。胸が高鳴り、次の戦いへの期待で体が高なる。


一日目は無事に終わり、二日目が始まる。

闇は日に日に濃くなり、空気は重く、地面からも黒い気配が立ち上る。


最初に現れたのは人影のような異形の存在。

その数、およそ五百体。


こちらに気づくと、全力で襲ってきた。

影の斬撃や影の槍が絶え間なく飛び交い、影の手を巨大化させ殴りかかる。

中には大きくなり、閉じ込めようとする特殊攻撃をしてくる者もいた。


左右両翼は緊迫した空気の中で同時に敵の攻撃に対応する。

ゼウス・ロアは冷静に動き、闇の力を受け流しながら反撃の隙を伺う。

戦場のざわめき、鋭い叫び、武器と魔力がぶつかる音——すべてが緊張感を煽る。


そのとき、デーモンロードのゼロスが静かに宙に浮いた。

片手を高く掲げ、人差し指をゆっくりと天に向ける。

指先に小さな炎の玉が現れ、周囲の空気が熱を帯びて揺らぐ。


「第十二階梯魔法──極焔炎テラフレア!」


ゼロスはその炎の玉を狙い澄ましたように影の軍勢に投げ込む。


瞬間——

戦場を切り裂く閃光と轟音が同時に走った。

小さな炎の玉は爆発の連鎖を引き起こし、影の異形たちは空中で肉体を焦がされ、次々と崩れ落ちていく。

その光景はまるで、暗黒を焦がす白銀の嵐が降り注ぐかのようだった。


燃え尽きた影の残骸は一片も残さず消え、戦場にはただ静寂と煙の匂いだけが残った。

ゼロスは静かに宙から降り、炎の余韻を背に、戦場を見渡す。


――――


ぐちゃぐちゃに裂けた大地を、遊撃隊は駆け抜けていた。

地面は黒く焦げ、亀裂からは淡い瘴気が立ち昇る。まるでこの地そのものが悲鳴を上げているかのようだった。


だが――敵は、来ない。

風すらも止まり、辺り一帯は不気味な静寂に包まれていた。

闇は刻一刻と濃くなり、やがて昼と夜の境界が曖昧になっていく。


先頭に立つのはレオンとゼロス。

二人は一言も発さず、ただ前だけを見据えていた。

背後にはアーサー率いる遊撃隊が続く。その表情に浮かぶのは、恐怖でも不安でもない。――覚悟だった。


半日ほど進んだ、その時。


それは、地鳴りとともに現れた。

闇の霧をかき分け、巨大な影が姿を見せる。

漆黒の鎧に包まれた異形。握るは、人間など片手で砕けるほどの巨大な魔大剣。

その姿は、まさに”死”の化身。


デスナイト――。


「……来たな」

アーサーが低く呟いた瞬間、空気が震えた。


デスナイトの背後から、無数の黒い影が湧き出る。

地を覆い尽くすほどの軍勢。

地鳴りが連鎖し、空が揺れる。


アーサーは目を閉じ、スキルを発動した。


──神眼。


視界が一瞬、蒼に染まる。

その中で、敵の数が明確に映し出された。


総勢――十二万。


デスナイト 二万体。

ダークヒュドラ 三万体。

ダークフェンリル 一万体。

ダークケルベロス 三万体。

ダークグリフォン 一万体。

異型の影 二万体。


距離――十キロ。


アーサーは息を整え、叫んだ。


「チャンスがきた!リナ!クロウ!古代魔法の起動だ!」


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