転生勇者と転生魔王がクランを組んで、宿敵「原初の闇」に挑む物語。

セルドニア大陸、黒暦百八年。
黒雲が渦を巻く魔王城の大広間では、世界の命運を賭けた戦いの火蓋が切って落とされた。

勇者ルシエル・シルフィードは、仲間たちの犠牲と希望を胸に、魔王ザギオンとの一騎打ちに臨む。城内に広がる禍々しい魔力の波動、無数の罠、そして異形の魔剣《グラム》──それらすべてが、今まさに勇者を試す。

これまでの戦場で失った仲間たちの痛みが、ルシエルの心に深く刻まれている。戦士ゼノア、魔術師アスラ、僧侶リーン、賢者イグノート──彼らの声も、笑顔も、まだ鮮明に脳裏に残っている。

魔王城の空気は凍りつき、雷鳴のごとき緊張が広間を支配する。勇者と魔王、それぞれの力が拮抗し、目に見えぬ心理戦と魔法の圧力がせめぎ合う──まさに世界の命運を懸けた瞬間が、今、動き始める。

ここで休むことも、迷うことも許されない。すべては決断と行動に委ねられている。
大地は砕け、光と闇はぶつかり合い、そして──運命は、この戦いの先にしか待っていない。