5.5.赤城鈴華
私は赤城鈴華。
身長は167センチ。
結構高めなんだよね。
モデルさんみたいってよく言われる。
ところで巡とは、小学校のころから仲良くしてる。
私にとって巡は人生を百八十度変えてくれた王子様のような人。
だから、今日はデートに誘ってみた!
とはいっても、巡にはそう言わずに時間と集合場所だけ伝えた。
流石にストレートに言っちゃうとか無理だし。
だけど、巡にちょっとでも振り向いてもらうために頑張ったんだ。
いつもより、オシャレにして余裕のある大人って感じのコンセプトで来たから多分大丈夫!
あれ、?
ちらっと見ただけで、その後何もないじゃん。
感想は?ねぇ、感想!
まあ、いいや。
他のところで惚れさせてやる!
ここは、私がずっと来たかった服屋だ!
お目当ての服を見つけた。
走って取って、すぐに体に当てて巡に見せよう!
そしたら、ちゃんと私のこと見てくれるはず!
今度はちゃんと見てくれた。
けど、また感想なしかよ!
巡って何考えてるんだろ。
まさか、他の女!?
私たちはゆっくりできるところを探した。
ス⚫︎バ発見!
ここならゆっくり話せるじゃん!
私は、いつも通りに注文を済ませ巡を待った。
席を見つけ、すぐに座って私は喋りだしていた。
「巡ってなんで高校入った途端、モテなくなったんだろうね。今までは何もしなくてもいるだけで女子集まってきてたのに。でも、これはチャンスなのかな?」
私は何を言ってるんだ。
なんで煽るようなこと言っちゃったんだろ。
しまいには、この状況がチャンスとか言っちゃって。
もー、絶対バレてんじゃん。
開き直るしかないか。
私は映画に誘った。
しかも、恋愛映画だ。
こんなん絶対意識してくれるでしょ!
どうせ、バレてるんだし。
映画を観終わって、私は大興奮の真っ只中だ。
楽しさと嬉しさで、巡に感想を求めまくった。
巡はやっと感想を話してくれた。
でも、なんか当たり障りのない感じがする。
まあでも、感想言ってくれただけ良しとしよう!
最後に私は、ファミレスに行こうと言った。
帰る前にゆっくり話をしたかったからだ。
巡はもちろんついてきてくれた。
私は、ぶっ込んだ話をした。
好きな子いないの?今まででもいないの?
というふうに問い詰めるような形で聞いてみた。
巡は、今はいないが今までならいると答えた。
今いないんだ!
じゃああの考え込んでる感じの時間はなんだったんだろ?
しかも、今までならいたんだ。
結構驚いた。
動揺して、てっきりただの女たらしだと思ってた、とか言ってしまった。
さらに、巡に対して大事な人とか言っちゃった。
こんなに好きバレするようなこと言って大丈夫だったかな。
私の心臓は、ずっとバクバクしている。
そのあと、巡から質問してきた。
良いことあった?悩みある?と。
あるよ?あるけど言えるわけない。
その直後好きなやつでもできたか?だって!
そんなの濁しちゃうに決まってる。
巡が不思議な顔してたけど、仕方ない。
本人目の前にしたら無理無理!
駅に着いた後、巡が家まで送ってくれた。
優しすぎる〜!
これだから巡はやめらんない!
家に着いて、部屋のベッドの上に寝っ転がった。
何かが引っ掛かってた。
あ、やば。
巡に誕生日おめでとういうの忘れてた。
なんなんだ私は。
好き勝手振り回しといて、人の誕生日祝い忘れるなんて。
それなのに、巡は嫌な顔ひとつせず、最後まで一緒にいてくれたな〜。
やっぱり巡は私の大事な人だ。