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4.何かがおかしい俺と目立つあいつ

今日から高校生だ。

一組から五組まであるわけだが、俺は一組、鈴華(あいつ)は四組だ。

この学校では、成績の良かった順にクラス分けをされる。

つまりは、一組が頭の良い人間が集まってくるクラス、五組に近づくほどそうではなくなっていくというわけだ。

鈴華(あいつ)はまだまだってことだ。

まあ、この学校に入れた時点でここら一帯の中ではトップ層に属するのだがな。


この辺で一つおさらいをしておこう。

俺はモテる。

小学校の時は、休み時間周りは女子だらけだった。

トイレに行くのも一苦労なくらいにな。

中学校の時は、バレンタインのチョコを山ほどもらった。

持ってくるのは禁止なはずなのにだ。

毎年その日来ると靴箱が手紙で埋め尽くされ、教室に入れば机の上がまるでピラミッドのようになっている。

新しい学年になった時には、すぐに何人かの女子から告白される。

なぜ、その時期なのかは未だにわからない。

エピソードは腐るほどあるがあげるとキリがないからこのくらいにしておこう。

この話を聞いてわかる通り、俺はモテないことを知らなかった。


だが、今おかしいことが起きている。

決してフラグを立てていたわけではないが、危惧していたことが起きた。

新しい学年、ましてや高校生になったにもかかわらず、学校が始まって一週間が経ったのに女子が群がってこない。

寄ってきてくれるのは、鈴華(あいつ)だけだった。

鈴華(あいつ)は教室中に響く声でいじってくる。

「巡〜?小中の時みたいに女子、こないね〜?どうしちゃったんだろ〜?あの、モテないことを知らなかった巡様がね〜?」

正直かなりムカつく。

とはいえ、鈴華(あいつ)は一軍に早くも属していた。

一方の俺は、どちらかというと地味な方に属していた。

これじゃ、まるで小学生の時と真逆ではないか。

そう、心の中で叫んだ。


四月が終わり、ゴールデンウィークを迎え、早くも一ヶ月が経ったのだなと実感する。

このタイミングで鈴華(あいつ)から急に話しかけられた。

クラスが違うこともあり、二週間ぶりであった。

「ゴールデンウィークひま〜?ひまなら、久しぶりにあそぼーよ!」

「いいぞ。いつ空いてるんだ?」

「うーんと、三日、四日はバイトでー、五日は何もなくて、六日はいつもの子たちと遊び行くからー、五日だね!」

「わかった。時間とかはまた後で決めよう。」

「ちょーっとまった!今回は私が決める!楽しみにしててね!じゃまた!」

最後の方は、なんだか急ぎ足でよくわからなかった。

とりあえず、五日の暇はなくなった。

高校に上がってから、男友達ですら少ししかいなく暇を持て余していた。

暇を持て余していた理由が小中の時とは違うことになんだか切なさを感じる。


五月四日 L⚫︎NEにて

「巡〜!今バイト終わった!明日、十二時ハチ公前集合ね!」

「お疲れ様。なんかよくある待ち合わせだな。了解。」


なんだか、俺の返し方が陰に近づいている気がするが気のせいか。

明日、万が一でも寝坊しないように早めに寝るか。

そう思い立ち、俺はすぐさま寝た。


五月五日

俺は集合の十分前についた。

いつも通りだ。

だが、そこにはもう鈴華(あいつ)がいた。

ミニスカートをうまく着こなし、髪を高く結び、多少のメイクをして、すらっと立っていた。

周囲の男性は鈴華(あいつ)を見ながら歩いていた。

不覚にも俺も見惚れてしまっていた。

それに気づいたかのように、鈴華(あいつ)が寄ってきた。

「巡〜!やっときたー、おそいよー!」

「これでも十分前なんだがな。」

「あ、そっか!まあいいや、行こっ!」

「お、おう」

そうして俺たちは、久しぶりに遊びに行った。

決してデートとかではない。


最初に鈴華(あいつ)は服を見に行きたいと言った。

別に俺はファッションセンスがあるわけではないが大丈夫なのだろうか。

そんな心配をよそに鈴華(あいつ)は人混みをかき分けて進んでいく。

着いたはいいものの、女性物ばっかりではないか。

鈴華(あいつ)は目当てのものを見つけたかのように、走り出し手にとった。

それは体の前に当てて

「どう?似合ってるかな?」

と聞いてきた。

その時の顔は、今までのものとは違ったように思えた。

困ったものだ。

かわいく見えてきてしまった。

またもや、見惚れてしまっていると

「どう?って聞いてんじゃん!まったくもう。」

怒られてしまった。

やはり、これはデートではない。

鈴華(あいつ)はさっきの服を買って店を出てきた。

俺たちは、ゆっくりできる場所を歩いて探しまわった。

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