表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

2.頑張る俺と答えるあいつ

俺は鈴華(あいつ)が隣になって嬉しい気持ちを抑えつつ少し会話をしてみる。

「久しぶり、俺と何回か話したことあるよね?」

「多分ないと思う。」

「いや、そーだよね。ないか、ごめんごめん!」

・・・

「今日って宿題あったよね?俺やってきてなくて、、、」

「あったよ。」

「もしよかったら、宿題見せてくんない?」

「どうぞ。」

・・・

「赤城さんって好きな人とかいないの?たとえばこのクラスとか。」

「いないよ。」

なんだこいつ。

会話する気ないんか。

俺は半ばキレそうになりながら、まず友好関係を築いていこうとしていた。


こうして、会話をしようと試みて気づけば夏休み前まできていた。

時が流れるのは早いものだ。

俺は、夏休みに何をしようか授業中でもお構いなしに考え続けていた。


今日は七月二十五日、明日から夏休みだ。

夏休み前とだけあって長期休みで会えなくなる分、女子たちがいつもに増して群がってくる。

悪い気はしない。

「巡くんは、夏休み何するのー?」

「巡っち、暇な日あそぼー!暇じゃなくてもあそぼー!」

「めぐるん、うち来てー!」

「巡!BBQしよー!」

「二人で水族館でも行く、?」

「「「「絶対ダメーーーー!!」」」」

とまあ、こんな感じで引っ張りだこだ。

夏休みが休みではなくなってしまう。

ここで、俺はクラス中に聞こえる声で言った。

「皆ごめん!俺、夏休み赤城さんと過ごしたい!」

クラスは静まり返った後、ザワザワし始めた。

なぜなら、鈴華(あいつ)は地味でメガネをかけた絵に描いたような陰キャ女子だったからだ。

「めぐるん、それ、ほんと、?」

「うん、ほんとだ。」

「えー、なんかショックー。」

これは、鈴華(あいつ)を落とすためなんだ。

なんだか皆に申し訳ない気持ちが心の中を駆け巡った。

その気持ちを抑え込んで、鈴華(あいつ)に聞いた。

「夏休み二人で過ごさない?」

とても小五とは思えない発言だと思う。

俺は確信していた。

クラスの皆に聞こえるように言ったんだ。

さらに、俺はイケメンである。

断られるはずがない。

だが思わぬ返答をされた。

「ごめん、夏休みはおじいちゃんの家行くんだよね。」

その一言で俺は人生初の挫折を味わった。

この俺が断られるわけないとたかを括っていたから尚更だ。

俺は、食い下がった。

「どこか一日だけでも空いてない?一日でもいいから!お願い!」

みんなには聞こえないように言った。

鈴華(あいつ)は答える。

「八月三十一日、夏休み最終日ならいいよ。その日に帰ってくる予定だから。」

俺は心の中でガッツポーズをしたと同時に平静を装ってそのまま帰った。


翌日

今日から夏休みである。

だが、俺は気づいてしまった。

鈴華(あいつ)との約束のためにいつも群がってくる女子たちの約束を全て断ってしまったではないか。

通りで暇なわけだ。

俺は、この日を少しでも興味を持ってもらうために自分磨きをする時間にあてた。

毎日五キロ走り、筋トレをし、髪も切って今流行りのセンター分けとやらにして鈴華(あいつ)を落とすための努力を怠らなかった。

俺は、鈴華(あいつ)とL⚫︎NEを交換していたため、八月三十一日(あの日)の待ち合わせ場所と時間を指定して送った。

「八月三十一日午後五時、学校の裏門待ち合わせで。」

この日、学校の裏門近くの神社では祭りをやっている。

多分だが、言わなくともこれに行くことになるだろうと、察してもらえるはずだ。


そして、八月三十一日(あの日)を迎えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ