竜の少女の地球生活 ー早朝ー
そして。
リアーネが地球に来てから二ヶ月が過ぎた。
ちゅんちゅん、という鳥の鳴き声がする。朝日が部屋の中に差し込み、部屋の中が照らされた。
毛布に包まれて寝息を立てていたリアーネは、ぱちりと目を覚まし、勢い良く起き上がって
「朝です!」
と言ってパパッと着替えた。着た服は最初に着ていたワンピースではなく、オーバーサイズのカーディガンにタイトなショートパンツという至って現代風のものだ。
着替え終わった彼女は廊下を小走りし、その勢いのまま
「朝なんです! おはようございます、鎧さん!」
といって、扉を開けた。
「……おはよう、リアーネさん……相変わらず、元気だな……」
寝ぼけ眼で鎧は挨拶し、ゆっくりとベッドから身を起こす。
「もちろんです! 元気なのは物事の基本。何事も元気で無ければ始まりませんから! というわけで、早速元気の源を作って下さい!」
「朝飯用意しろってことね……はいはい、分かったよ……」
ふぁ、とあくびをかます。一度リアーネを部屋の外に追い出し、彼もパパッと着替える。学生服に身を包んだ彼は一階のキッチンに赴き、朝食を作り始めた。
「さて、今日はどうするか……リアーネさん、何か希望ある?」
「私はなんでも構いません!」
リビングにいるリアーネが、うきうきした様子で言う。
「鎧さんの作るご飯はいつもおいしいです。なので早く作って下さい!」
「……急かしてくれるなあ。まあそう言ってもらえるのは、嬉しいけどさ」
苦笑した鎧は、一つ頷いてベーコンエッグとサラダを作り、トーストを二枚焼く。
そうして食卓に並べられたそれらを、リアーネは鎧と共に「いただきます!」と言って食べ始めた。
「うーん、おいしい。家のシェフたちの料理に負けない位、おいしいです!」
「いや、それはいくらなんでも話盛りすぎ……流石にシェフと比較されたら、負けるって」
「そんなことないです! 例えばこのベーコンエッグとやら。お肉と卵の焼き加減が絶妙で、ショーユと合わせるととてもおいしいです!」
「……そう? ならいいけどさ」
照れくさそうにしながら、鎧も食を進めていった。
やがて二人は食べ終わる。鞄を持ち、鎧は玄関に向かった。
「それじゃ、行ってきます。……リアーネさん、留守番頼むよ。あと、外出する時は鍵を忘れずに」
「心得ています。……鎧さん」
「ん?」
「行ってらっしゃい、です!」
「……うん」
くすりと笑い、鎧は扉を開け、出かけていった。




