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隣の席のギャルっぽい子が私のことしゅきらしいので付き合ってみることにした  作者: にゃー
8月前半

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第29話 我ら黒居家一同


 そしてまあようやく、よーやく二日が過ぎて。

 世間的にも休日な昼下がり、予定通り私の家で課題を一緒に進めようってことで、羽須美さんを駅前まで迎えに来たわけなのですが。一週間ぶりのなま羽須美さんは相変わらずお洒落さんで、ただ……今日はなんだか少し清楚めにキメてきたような感じがする。髪は巻かずにハーフアップ、服装もゆったりした白Yシャツにデニム生地のロングスカート。サマーサンダルで足元も涼しげ。肩にはトートバッグ、手には菓子折り。360度どこから見ても清楚系ギャルだ。


「久しぶりー。今日もイケてるねぇ」


「あ、ありがと。久しぶりだし、気合い入れてきたっ」


 ご両親の警戒を解くためにも……!だなんて燃えている羽須美さんに対して、私なんて部屋着の上からパーカー羽織っただけの格好で出てきちゃったよ。可愛いでしょ。短パンだからか、脚回りに羽須美さんのそこはかとなく視線を感じるけど、まあ良しとしましょう。


「では、いきましょー」


「うん」


 戻りがてらの道すがら、調子はどうだったかみたいな話をして(まあいつもLINEで話してるんだけども)、ついでにコンビニでおやつも買って、あっという間にマンションまで到着。我が家は四階の403号室になります。


「ただいまー」


「お、お邪魔いたしますっ……!」


 かしこまりまくりな羽須美さんを引き連れて戻った玄関では、やっぱりというかなんというか、我が黒居家の面々が待ち構えていた。


「──あんたが“羽須美さん”ね?」


「え、あ、はぃ……」

 

 エントリーナンバー1、腕を組んで仁王立ち、170cm台後半の身長を活かしてこれでもかと威圧してくる気の強そうなその人は。

 

「よく来たわね。アタシはあきら…………そう、仁香のお母さんよ!!」


 ばーん。決め顔。

 すかさずエントリーナンバー2、その後ろからひょっこり半身を出したおっとり顔。


「そして私がおかーさんの遥香で〜す。で、こっちはおとーさん。いぇーい」


「…………ぁ、の…………」


 うーむ、羽須美さんがとても困っている。そりゃそうだ。お母さんおかーさん、悪いけど私は彼女の味方をさせて頂きます。


「羽須美さん、どうぞ」


「えっと……」


「遠慮なさらず」


「でも……」


「だいじょぶ。おかーさん、()()待ちだから」


 これ言って良いのかな……?と尻込みしている羽須美さんの背中を押す。大丈夫、ネタ振ってきたのはおかーさんの方からだから。不謹慎とかないから。どうぞどうぞ。


「ぇあー、えー……では、失礼ながら……」


 その場の誰もが息を呑む、緊張の一瞬。

  

「──それはいぇいではなく遺影なのでは……?」


「「いぇーいっ!」」


 途端に大成功ーっ!みたいな顔でハイタッチするお母さんとおかーさん。昼間っから元気な両親ですみませんねぇ。おかーさんが抱えた遺影の中で、エントリーナンバー3ことおとーさんも、気持ち申し訳無さそうにしてるような気がした。


 


 ◆ ◆ ◆




 私が産まれて間もない頃、おとーさんは赤ん坊の私を庇って事故で亡くなった、らしい。んで、女手一つで私を育てることになったおかーさんを、幼馴染だったお母さんが色々サポートしてくれた、らしい。そしたら私が小学生にでもなる頃にはもう、おかーさんとお母さんって感じになってた。これはらしいじゃなくて実体験。


「──っていうのがまぁ、我ら黒居家ヒストリーでして」


「そうだったんだ……」


 三人に囲まれて(おとーさんは仏壇に戻りました)、神妙な顔で頷く羽須美さん。おかーさんたちがどうしてもって言うから、リビングでちょっと雑談って流れになったけれども……そうなると当然、私たちのこの家族構成が主な話題になるわけでして。すぐにもはっと気付いたように、羽須美さんは言葉を続けた。


「もしかして、こっちの県に引っ越してきたのって」


「そう。国内で、最もファミリーシップ制度が進んでるからよ」


 県全体でパートナーシップやファミリーシップが強く推し進められてて、私たちが黒居家として生きていくうえで、一番住みよい場所。三人で話し合って、私の高校進学に合わせて引っ越そうって決めていた。

 だからこそあの日、羽須美さんは私たちみんなを助けてくれたようなものなんだ。私が今の高校に通えるかどうかも、当然ながら転居するうえで大事なことだったから。ポカミスでえらいことになる、そのすんでのところで拾い上げてくれた人。

 

 改めて感謝しかなくて、顔も合わせたしみんなにそれを伝えようって、でもその前にもうちょっとだけ、このすごい偶然を独り占めして噛み締めたくて。そうしてる間にも、いっつも自信満々で物怖じしないお母さんが羽須美さんと交流を深めていた。


「だから差し支えなければ、アタシの事は黒居 あきらだと思ってもらえると嬉しいわ。戸籍上は別の名字だけど……まあ、通名みたいな感じで、ね?」


「はい、勿論ですっ」


「やっぱり土地柄かしらねぇ。察するのが早くて助かったわぁ〜」


「い、いえそんな……」


「それはそれとして、仁香との交際については二、三言いたい事もあるわけなんだけど?」


「そこはお母さんにとやかく言われるところじゃありませーん」


「んなっ、仁香が……アタシ達の仁香が反抗期に……!!」


「およよ〜」


 口でおよよっていうのやめてよ恥ずかしい。羽須美さんの前なんだから、もうちょっとこう……何とかならないものでしょうかね、ご両人。


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― 新着の感想 ―
[一言] おかーさんが時々あきらさんと言っていたので普通なら父親かなと思ったけどあきらは男女両方につけれる名前だしもしかしたら主人公の姉かもと考え直しいや待て主人公はちゃん付けで姉だけさんはおかしくね…
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