5 俺と美紀の約束
その後、美紀のおじさんとおばさんに美紀との交際を報告した。
とても喜んでくれた。
美玖ちゃんは良くわかっていなかったようだが、これからちょくちょく俺が遊びに来ると聞いて喜んでくれた。
それからは度々美紀の実家にお邪魔して、美玖ちゃんと遊び、美紀の両親とともに食事をしていた。
美紀のおじさんやおばさんが気を使ってくれて、俺と美紀との時間も作ってくれた。
週に何度か、俺のアパートに美紀が来て食事を作ったり、家事をしてくれたりしていた。
そんなある日、俺のアパートに来ていた美紀に話したい事があった。
「美紀、話がある。」
少し身構える美紀。
「え?な、何?」
「あのさ、これから付き合って行って、その先には結婚も考えてる。けど、その前に約束して欲しい事がある。」
「約束?」
「うん。大事な事だ。もし約束が守れない様なら、別れる事も考える。」
「う、うん。何?」
「この先どんな事があっても、俺の事より美玖ちゃんの事を優先すること。」
「!!」
「俺の事を好きでいてくれる女であって欲しいけど、それよりも美玖ちゃんの母親であることを優先して欲しい。」
「………。」
「約束出来るか?」
「………。」
「美紀?」
美紀はしばらく無言で俯いていたが、急に泣きながら抱き着いてきた。
「………もう!ホントに……何で私は………こんないい男がずっと傍に居たのに………。」
「美紀?」
「…約束します。和人より美玖を優先します。でも、和人の事も負けないくらい大事にします。それでいい?」
「…ああ、それでいいよ。結婚もちゃんと考えるから。」
「ありがとう。……ねぇ、私の事抱いてほしい。ダメかな?」
「いや、ダメじゃないけど、俺初めてだから…。」」
「うん、そんなのいいから。和人はイヤ?」
「俺だってしたいけど、あんま自信無いんだよ。」
「そんなのいいよ。私が気持ちを抑えられそうにないの。お願い…。」」
その日俺は初めて女を、美紀を抱いた。
「…ホントに…初めて?」
「え?何で?」
「だって………凄かったよ、あんな奴と比べ物にならないくらい………。」
「えっ?」
「あっ!ごめん、比べるつもりはなかったの!でも、こんなの初めてだったから………。」
「…そうなのか?俺にはわかんないよ………。」
「…とっ、とにかくね?和人は上手だったよ?お世辞でもなんでもなく!」
「良かったって事?」
「………うん。物凄く………。」
「なら良かった。ちょっと安心した。」
「うん、和人はもっと自信持っていいと思うよ?」
「ありがとう。美紀にそう言われたら少し自信ついた。」
「私も嬉しかった。夢が叶っちゃった。こんな私が…。」
「こんなとか言うな。美紀は…その…綺麗だったよ。」
「…ありがと。うれしい…。」
長年抱えていたモヤモヤが跡形もなく消えた気がした。