3 美紀の家族
次の日曜日、美紀から連絡があり、家に来ないかとの事だったのでお邪魔することにした。
「お久しぶりです!おじさん、おばさん!」
「おおっ!和人くん、久しぶりだな!高校生の時以来か!元気だったか?」
「あらぁ!和人君、立派になって!見違えちゃったわねぇ!いらっしゃい!上がって上がって!」
「あ、すいません、これつまらないものですが…。」
「そんな気を使わなくていいのよ~!手ぶらで良かったのに!」
「まぁ兎に角上がってくれ。」
「お邪魔します。」
予想以上におじさんとおばさんに歓迎され、リビングに通された。
「おにいちゃん、いらっしゃい!なにしてあそぶ?」
「こら、美玖。ゆっくりお茶してからね?」
「はーい!みくはオレンジジュース!」
賑やかだなぁ。
「和人君はまだ一人なんだって?男前だし、モテるだろうに。」
「そうねぇ、高校生の時はまだあどけない感じだったけど、大人の男の子って感じね!」
「いえ、そんな事ないですよ。仕事も忙しいので。」
「そうなのか。仕事は何をしてるんだ?」
「一応、北条商事で営業やってます。」
「えっ?大企業じゃないか!」
「あー、まぁ、そうですかね?」
「大学はいいところに受かったという事まではご両親から聞いていたが、引っ越してから連絡も取らなくなってねぇ。」
「ご無沙汰してすいません。」
「いや、それはしょうがない。美紀があのバカなんかを選ぶからだ。」
「お父さん!その話は…。」
「あぁ、いや、すまない。」
「ねぇ、じぃじ、みくつまんない!おにいちゃんはみくとあそぶの!」
「え?あぁ、いいのかい?和人君。」
「いいですよ。みくちゃん、何して遊ぶ?」
「おりがみしよ!はい!おにいちゃんのぶん!」
それから俺は、美玖ちゃんと折り紙やお絵描きをして過ごした。
「美玖ったら、はしゃぎすぎたのね。」
お昼寝タイムなのだろうか。美玖ちゃんは寝てしまった。
「和人君さえよければ、また美玖と遊んでやってはくれないか?」
「美玖本人が言う事は無いけど、やっぱりお父さんみたいで嬉しいんですよ、多分。」
「そうなんですか。まぁ、俺も休みの日は暇なんで構いませんよ。」
「そうしてくれると助かる。食事はウチで食べて行ってくれて構わないから。」
「ありがとうございます。」
「美紀、あんた今日ほとんど和人君とお話してないでしょ?」
「そうだな。積もる話もあるだろうし、少し2人で話してなさい。」
「え?あ、そうだね。和人はいい?」
「あ、あぁ、構わないけど…。」
おじさんとおばさんは席を外してくれた。
「美紀、俺と連絡とらなくなってから、色々あったのか?」
「うん、そうだね。色々あったかも………。」
それから美紀は当時の事を語りだした。
「私はね、本当は和人の事がずっと好きだったの。」