表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/90

65 善良な人


その頃、部屋に入ったボルヴィーは大きな溜め息をついたのだった。

今まで素質のある者だとバレないように、注意を払って生きていた。

尊敬しているプランにそれを見破られて、『さすが!』という気持ちと、『後継者がなぜ俺なんだろう』という疑問がつきまとう。

秘密が公になって、やれやれと肩の力が抜けたのは嬉しいのだが、新たな問題に頭を悩ませる。


得てして、能力者というのはどうしてこうも悲惨な目にあうのだろう・・・


知りあった能力者は、みんな良識のある人たちばかりだ。

イグニスは言葉遣い等に粗野なところも見受けられるが、性根は善良だ。

彼は信頼していた人に裏切られ、ビール帝国に売られた。

そしてその国の為に働いたのに、あっさり裏切られ、惨い外傷を負わされた。


リュードも伯爵家にいた時は、エヴィ坊ちゃんのことを揶揄ったり、無視しない人だったのでボルヴィーは好感をもっていた。

彼だって良い暮らしと引き換えに、伯爵家にこき使われていたのだ。

彼の身元が判明した今、()()()()()()()()()()()という事実を、伯爵家の人達が知ったなら、さぞ震え上がることだろう。


プランに至っては人格者であると断言して良い。

彼は全てを語らなかったが、能力によって相当辛い人生を送ったようだ。

その上、その期間も途方もなく長いらしい。

彼の苦労を考えると、その能力を引き継いで楽にしてあげたい気持ちはあった。


それに、とうとうヒカリの秘密までも聞いてしまった。

彼女のことはエヴィ坊ちゃんが目の敵にしていたので、警戒をしていたのだが、そんなに悪い人ではないと考えている。

ただ彼女が能力を使うときは、相手の体に触れなくてはいけなかった。

それが坊ちゃんの目には『すぐに男の体に触れる()()()()()』に映ったのだろう。


彼女もまた能力のせいで酷い目に遭っていた。

不思議なことに、それは彼女自身の実体験ではないとはいえ、内容は女性ならではの痛ましさを含んでいて、耳を塞ぎたくなるようなものであった。


伯爵家にいた頃は、貴族の令嬢から小金持ちの商家の娘、それに夜の女たちと、男所帯だったので、とかく女の出入りが多かった。

彼女たちの目的も明確で、『水伯爵の家の誰でもいいからお近づきになりたい』『あわよくば結婚したい』『情婦でもかまわない』という魂胆が見え見えであった。

それは、屋敷で働いていた侍女達でさえもそうであった。

彼女たちには、人を押しのけてでも気に入られたい気持ちが溢れ出ていて、それは行動にも現れていた。

そんな人ばかり見ていたせいか、ボルヴィーは女性に対してあまり良い印象がない。


そんな()()丸出しの女しか見てないこともあってか、さっきのヒカリの境遇には言葉を失ったのだった。

そういうのは、一つの職業だと、頭の中ではちゃんと認識はしているつもりだ。

夜の女たちは、より(したた)かで野心家か、仕事と割り切っているかのどちらかが多いように思えた。


しかし彼女の場合には()()()()()()()という強ワードが揃っているからか、悲愴感が強すぎて、今まで見てきた女たちとは一線を画していた。

それは彼女の儚げな容姿と相まって、ボルヴィーの心に響いたのだった。


そう、その昔『坊ちゃんは俺が守ってやらなければ!!』と気負っていたころの気持ちと同じで・・・・


イヤイヤイヤ・・・・・

ボルヴィーは首がもげそうなくらいに、ブンブン振った。


これは何かの間違いだ。そんなハズはない!

俺はそんなお人好しなキャラじゃない!!

あれは、坊ちゃんの味方になっていれば、その先も安泰だからやっていたのであって、決して情に絆されたのではない!

やっと坊ちゃんから解放されたのに、どうして次のお守りをしなくちゃいけないんだよ!!

しっかりしろ、正気になれ、俺!

プランさんとシーラさんの使用人として働いていれば、伯爵家よりも高待遇なんだぞ。

人を利用する側になって、気ままに楽しく生きるのが理想だったろ!

その為にプランさんに同行させてもらってたんだろーが。


そう思っていたハズなのに、翌日、俺はなぜか緑の能力を継いでいたのであった・・・・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ