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52 噓も方便


チャーコブの王都は活気のあるいい街だった。


チャー連合国の新興国であるとはいえ、領土も広く、しかも温泉が出るそうで旅行地としての人気も高いらしい。

毎年、他のチャー国からたくさんの人が訪れる人気の場所なのだそうだ。


みんなが思っていた通りに、王宮では門前払いであった。


いきなり、シーラ様に会いたいと言ったところで『うわー、ヘンな奴きたーーー!』と思われるだけだ。

「この子はシーラ様の息子なんです」も『妄想スゲーな、こんな奴ら何が何でも通すものかー!』であって、信じてもらえるほうがどうかしているように思えた。


ここは一度引いて、作戦を立て直すことにした。

「能力を使って正面突破すればいいんじゃないのか?」

「それは、そうなんだけど・・・シーラは僕もリュードも能力者だと知らないんだよね。それに能力を使えば大騒ぎになるよ」

「騒ぎになるから国王にも会えるんじゃないのか?」

イグニスの言うことはもっともだ。


しかし、チャーコブの上王の人柄がわからない今、やはり手の内を見せるのは得策ではないように思えるのだった。


「王宮に出入りしている御用商人がいるんじゃないですか?」

ボルヴィーは違う視点で意見を出した。

「それ使えそうだね!」

「そうか、商人に成り済まして王宮に入り込むんだな」

イグニスは早くみんなの力になりたいようだ。


「それは難しいでしょうね。彼らには身分証が与えられているでしょうし、城内には顔見知りも多いはずです。すぐに見つかってしまうでしょう」

伯爵家ですら、邸内にはそう簡単に入れなかった。

ましてや王宮ともなると、防犯にはもっと力を入れていて当たり前だ。

「例えばその御用商人に王宮に連れて行ってもらえるなら、入れるのではないでしょうか?」

「しかし、知りもしない俺たちを連れて行ってくれるだろうか?下手をすりゃ出禁になる危険だってあるのに」

リュードが反論した。


黙ってみんなの話を聞いていたプランが、「だったらいい考えがある」と言い出したのであった。


まずはその御用商人を捜し出した。

街でも手広く商売をしていたので、すぐに見つかった。

その店にプランとボルヴィーは商人として、あのライターを売りに行ったのだった。


「最初は、胡散臭そうにしてたよー。だけどボルヴィーが良い仕事してくれたんだ」

ボルヴィーは憧れのプランに褒めてもらって嬉しそうに話し出した。

「馬車があって、それに従者も連れている。身なりもきちんとしていたら、警戒心も緩むんです。商人というのは取り巻いているモノにまで目を見張らせているものですから」


こうして商談の機会を得られたのであった。

ライターの機能に度肝を抜かれたようで、向こうから「是非とも買い取りたい」と言わしめたのであった。

「こんなに凄い品は今まで見たことがありません。いやー、世界というのは広いですな」

「私も色んな国を回って商売をしていますが、このような品は初めて見たのです。

こちらはチャーコブ王室の御用商だと伺ったのです。この品物の価値を分かっていただける方にお売りしたいと、こうして参ったのです」

プランのお世辞に気を良くしたのか、それとも王家に高く売りつけようとしているのか、店主は満面の笑みをたたえていた。

あの強欲なセイロン商会で買い取ってもらったのと同じ額を呈示したら、そんな額でよろしいのですか?と聞き返したぐらいであった。


「私たちのような根無し草にとって、王家と直接やりとりができるほどの信用のある方と取引ができることが、今後の発展につながるのです」

ボルヴィーの一言は『今回は初回限定50%引きで提供させていただきます。ですのでこれからもどうぞご贔屓に』と言う意味だ。

これでばっちり御用商人との繋がりを持つことができたのだった。



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