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45 彼女の話


治療が終わると、プランの背中にはどこに傷があったのか、すっかり分からなくなっていた。


まだちょっと立ち上がれない(アレが戻らない)リュードは、その場で目視した。

プランは背中を触って確認をとっている。

「すごいよ、ヒカリちゃん!本当にありがとう」

「本当はもっと手っ取り早く治す方法があるんですけどね・・・」


ヒカリは()()()()()を得ることが出来て、おもむろに()()がこちらで受けてきた屈辱の日々について話し始めたのだった。


彼女の生家は極貧で、毎日それは()()()()思いをして過ごしていたのだった。

家族が流感で次々と亡くなってしまい、自分も死にかけていたある日、この体に彼女の魂が入り彼女は能力者になったのだった。


そうだ、彼女の本体は幼い頃に亡くなっている。

自身の小さな死体を懸命に埋めていたではないか!

どうして白だけがこの体をずっと使い続けているのだろうか?


「確かにそれは変だね・・・じゃあその元白の人と、ヒカリちゃんの体は入れ替わったってこと?」

「そうです、それでこちらに来たんです。()()と私は触れあうとお互いの記憶を見ることができるんです。

だから、いま話しているのは、私が見た()()の過去なんです」


中身がまだ子供のまま能力者になった彼女は、身一つで生計をたてなくてはいけなくなってしまう。できる仕事はひとつしかなかった。

その内『彼女と寝ると元気になるという』という噂が流れ始めたのだった。


その噂に飛びついたのが強欲な()()()()()()だった。

彼は客として潜入し、その能力が本物だとわかると、彼女を誘拐して自分の屋敷に連れ去ったのだった。


そこからは相手が金持ちの貴族連中に変わった。

男爵は法外な値段で治療費をブン取っていたが、彼女には必要最低限な物しか渡さず、部屋から出ることも許されなかったのだ。

彼女のお陰で男爵は子爵になり、屋敷もそれは立派になったのだった。

自身はツヤツヤとした肌で、更にでっぷりと太ったが、彼女は相変わらずガリガリで、みんなに生気を吸い取られたような有様だった。


そんな彼女に救世主が現れるのだ。

それは屋敷で下働きをしいていたソーダーという男だった。

彼は彼女のことが見ていられなくなり、彼女を屋敷から連れ出してくれたのだった。


下町の安普請の家に二人は居を構えた。

この二人で過ごした短い期間が彼女にとって最も幸せな時間だった。

だがそんな生活も長くは続かない。


ソーダーの稼ぎだけではやっていけずに、彼女は再び客を取ることになってしまう。

それを同じくしてソーダーも家にあまり戻ってこなくなる。


そして悪い予感は的中する。

ソーダーから他に好きな人ができたと告げられる。

この女こそが、彼をそそのかして彼女に客を取らせるように指示していたのであった。


「あんたみたいな女が人並みに幸せになれるわけないじゃない。

そんな棒切れみたいな体、病気を治せるから価値があるんでしょう!

だけど、あんたのお陰で働かなくても、良い暮らしができるようになったわ。

これからもよろしくね、アハハハハ・・・」

勝ち誇ったように、そう言い放った女。

彼女は絶望しソーダーの方を見る。

彼は困ったように頭を一つ下げて、その女と出て行ってしまった。


これが彼女の人生の全てだ。言葉にするととても短く、あまりにも悲しい。

感情的にならないように話せただろうか?


二人はヒカリに何と声をかけるべきなのか、迷っているようだ。


「私は()()を食い物にし、裏切った奴らを許せません。この3人に復讐をしてやりたいんです。二人にも協力をお願いできますか?」

頭を下げたのはお願いをする為だけでなく、止めどなく溢れる涙を隠すためでもあったのだった。


今年も、のろのろ更新になると思いますが、宜しくお願いします。

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