43 性格に難あり?
次の日、伯爵はせめてものお詫びだと馬車をくれたので、快適に旅は始まった。
別れ際、コントレは昨夜ヒカリにフラれたことなどなかったように「気が向いたら、いつでも俺のところに来てね」と懲りずに口説いていた。
伯爵はプランに何度もお礼を述べた。
そして、伯爵はヒカリが白の能力者だと気がついていたようで「足を治してくれてありがとう」と、密かにお礼を言ってきたのであった。
エヴィはリュードに抱きつき、名残惜しそうにしていた。
「折角、こんなにも仲良くなれたのに寂しいですー」
しかし、その視線はボルヴィーに『わかっているだろうね』と念押しの目配せを送っていた。
馬車の中は自由になれた喜びからか、ボルヴィーの声が高らかに響きわたっている。
坊ちゃんから解き放たれ、憧れのプランと一緒でまたも質問攻めが始まっていた。
ヒカリは昨夜の彼女のことを引きずっていた。
彼女に彼氏ができて喜んでいたのだが、時間が経つにつれて、自分には長い間、彼氏ができなかったにも関わらず、彼女が同じ条件でもすぐに恋人ができたことに落ち込んでいたのだ。
さっきコントレが言ってくれた「気が向いたらいつでも俺のところに来てね」も、ヒカリが能力者である事と、彼女の優れた容姿から出た言葉なのだろう。
人格に難有り
その言葉が頭を過る。
性格は良いほうだと思って生きてきたんだけどな〜
「はぁぁぁー」
「どうした溜め息なんかついて。コントレのところに戻りたくなったのか?」
ヒカリにその気がないことをもう知っているので、リュードは余裕ぶっていた。
「私って性格悪いのかな〜」
昨日、彼女に久しぶりに会った話をする。
「そ、そ、それで、ぷぷっ、落ち込んでいたのか・・・ハハッ」
「笑い事じゃないよ、こっちは結構真剣に悩んでるのにー!」
「どうかした?」
2人の様子にプランが声をかけてきた。
ヒカリはこれを機に、彼女のことを全て打ち明けて、味方になってもらいたいのだが、ボルヴィーがここにいることが悩ましい。
彼は能力のことは知らないし、あのエヴィの従者であったことがまた不信に繋がっている。
そのボルヴィーはと言うと「プランさん、早く続きを教えて下さいよ!そのげっぷの音が聞こえる井戸は結局見つかったんですか?」と呑気に続きを急かしている。
「大丈夫です、何でもないです」
ヒカリはもう少し彼の人柄を見極めてからでもいいかと、説明を見送った。
それにそっちに話にも興味を持ったのだった。
どうやらプランは本当にお金持ちようで、一人一部屋を気前よく用意してくれた。
今日の馬車の中は、プランが世界中を放浪していた話で持ちきりだった。
「しかし、そんなにも旅を続けられるなんて、一体、お金の方はどうされてたんですか?」
ボルヴィーの素朴な疑問だった。
「ああ、僕は大罪人だからね。国を滅ぼした時に、財産を失敬したんだよ。何十年とタダ同然で働かされていたんだから、もらってもいいかな〜と思って」
王宮に来ていなかったボルヴィーは、この発言をどう受け止めるか迷っているようだ。
逆に2人は『やっぱりあれは事実だったのか』と改めて真偽が分かったのであった。
そんなプランから「ヒカリちゃんに相談があるんだ」と、いつになく真面目な面持ちで持ちかけられたのだった。
「どうしたんですか?」
部屋に入ったものの、プランは中々話を切り出さないので、こちらから促してみる。
「そうだね。ちょっとこれを見て欲しいんだ」
プランは立ち上がると、服のボタンに手をかけ開け出すではないか!
少しずつ首元から白い肌が見え始める。
「えっ、え、どうしたのプランさん?」
彼はその質問には返答せず、首が出せるだけの場所を確保したら、バサッと一気に服を脱ぎ捨てた!
引き締まった上半身が露になり、ヒカリは唖然と見上げていた。
「ゆっくりと深呼吸をしてみて」
そうヒカリに言ってくるではないか。
よく事態が飲み込めないまま、言われた通りに深呼吸をした。
「全然、怖くないからね。痛くないからね」
プランの意味深な言葉の数々に、ヒカリは身動きがとれずに落ち着きなく目をきょろきょろと動かすのであった。




