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41 思い出は美化される


こんな風にボルヴィーも一緒に行くことが決まったのであった。


そんな矢先、()()()()とまたも扉がノックされたのだ。

次にこの部屋を訪れたのはコントレであった。

「何か用か?」

部屋の住人であるリュードが対応した。

「お前に用はない。ここにヒカリは来ていないか?」


いないと言ってやろうとしたが、コントレはヒカリが室内にいるのをすぐに見つけて、呼び寄せた。

「ヒカリ、大事な話があるんだ。ちょっと一緒に来てくれないか?」

言葉のままにヒカリは付いて行こうとしている。

リュードは「行くのか?」と思わず腕を掴んだ。

ヒカリにすれば特に断る理由はない。

「あ、うん。終わったらすぐに戻ってくるよ」

「待て。俺も行く!」


思わずそんな言葉が出てしまい『しまった!』と口を押さえた。

「な、何でもない!」

すぐに否定したが、ヒカリは俺の方をじっと見た。

からかわれると思ったが、意に反して「ついて来てもらうほうが、いいのかな?」と聞き返してくるではないか。


「リュードも一緒でいい?」

ヤツは「えっ」と顔を引きつらせている。

「そ、それは・・・・・ちょっと、遠慮してほしいかなー」

俺もさすがに気が引けてしまった。

「話が終わったらすぐに戻るんだぞ」とその場に残ったのであった。


それから何分経っただろう、ヒカリが全然戻って来ないのである。

遅い・・・

一体何やっているんだ。

見に行こうとしたら、ちょうど戻って来たのだが、満面の笑顔なのである。


「聞いてよー、プロポーズされちゃった!」


コントレのことが気になっていたみたいだし、まさかここに残るつもりをしているのではないだろうな?!


ヒカリの能力を知っているのは俺とプランだけだ。

それに彼女の特殊な事情は俺しか知らないはずだ。

こちらには肉親はおろか友達も知り合いもいないと話していた。

だからヒカリが頼れるのは俺だけで、彼女にとって唯一の良き理解者なのだと自負していた。

なのに俺よりもアイツを取るというのか??

ここに残ったら、俺みたいに良いように利用されるだけだ。


「よく考えろ、ヒカリ。あいつはやたらお前に触りたがっていただろう?

それは能力によって多幸感が得られるからだ。決してお前に惚れているわけではない!」


ヒカリは口を曲げ「そんなにハッキリ言わなくたっていいじゃない・・・」と拗ねている。

ヒカリ自身もそれがわかっているようであった。

「だけど嬉しいじゃない!!またプロポーズしてもらえる日が来るなんて夢にも思ってなかったんだもん」

「えっ・・・またって?」

「ずっとずっと昔のことよ」


当時、ヒカリはまだ小学3年生だった。

仲の良かったその男の子は、休みの度に朝早くから家のチャイムを鳴らして誘いに来たのだった。

そして色んな家を回って仲間を増やして、公園で遊んだもんだ。

帰りはいつも家まで送ってくれた。

ある日、家に入ろうとしたら「俺、ヒカリと結婚してやるよー」と早口で言い、照れ臭いのかダッシュで去って行ったのだった。

あれをプロポーズと言うのかは些か疑問だが、それでもヒカリは嬉しかったのだ。

今でも覚えているぐらいに嬉しかったのだ。


「ヒカリって本当はいくつなんだ?」

「笑ったり、からかったりしない?」

リュードはうんうんと頷く。

「実は38なのよ」

「嘘だ!信じられない!」

つい大声で否定してしまったのであった。


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