38 義両親には気を遣う
リュードの件は、方が付いた。
ヒカリは次は自分の番だと意気込んでいた。
あの国王に『彼女に治療してもらった場所』を訊きたかったのだが、みんなが必死に庇ってくれているので、それを口には出せなかった。
まずはリュードに事情を話そうと、彼の部屋を訪れた。
するとそこにはプランもいたのであった。
「ちょうど良かった!ヒカリちゃんにも聞いて欲しいんだ」と先を越されてしまったのだ。
「実はあの王様に『能力者の息子は、チャーコブの国王の孫なので手は出さないほうが身のためだよ』って言っちゃったんだよねー」
「でも、それって間違ってはいませんよね」
然るべき場所で育っていればリュードは王子様だったはずだ。
「やめてくれよ」
そんな地位を望んではいないリュードは顔をしかめた。
「けれども、伯爵家から離脱するリュードには、これが一番身を守る盾になるんだよ」
チャーコブは新しい国だが、チャー連合国の一つに属している。
アクーア国もそう簡単に手を出せない。
この先もずっとリュードの保身になるだろう。
「そうかもしれないけど!!」
リュードは会ったこともない祖父の肩書きにぶら下がっているようで、気分を害する。
お前の力では身を守れないのだから、祖父の権威に頼りなさいと言われているようだ。
「リュードの力量を信じていないわけじゃないんだよ。そう宣言することで自分を追い詰めたんだ。」
2人は話が見えてこなくて首を捻った。
「チャーコブに帰ったら、シーラやリュードと一緒にご両親のところに挨拶に行かなきゃいけないだろう。だけど僕の心象は最悪だと思うんだよねー」
そう言って顔を曇らせたので、ヒカリは思わず笑ってしまった。
プランのように能力の使い方も上手く、しかも心理戦にも長けている人が、奥さんの実家に顔を出す事が、自分を追い詰めないといけない程に気が重いなんて!
「ヒカリちゃん、笑うなんて酷いよ!」
「いや、だって・・・そういうところは普通の感覚なんですね。
今日のアクーア国王の前での強気さとは正反対だから可笑しくって!」
それを聞いてリュードもつられて笑い出す。
「そりゃ、そうだよ!シーラが両親にあんな変な言い訳(花の精)してるんだよ。会うのは恐ろしいに決まってるよ!!」
シーラには両親とちゃんと仲直りして欲しいと思っている。
そして、リュードも正式に孫だと認めてもらえれば、最高の後ろ盾が出来ることになる。
「リュードはこれから何かやってみたいことはあるのかい?」
これはプランの父親としての質問であった。
これから先の話題になったので、ヒカリは今がチャンスだと、2人に彼女のことを話そうとした。
その時、またもタイミング悪く、部屋がノックされたのであった。
そこにはエヴィの付き人のボルヴィーがいたのであった。
「どうかした?」
「折り入ってお願いがあるのです。どうか俺も一緒に連れて行ってもらえませんか!!」
突然の申し出に、プランは何と答えようか戸惑っていた。
「どういうことか詳しく説明してくれない」
「俺、プランさんみたいになりたいんです!弱きを助け強きを挫くみたいな、そんな生き方に憧れてるんです!」
「それはたまたま、そうなっただけだよ」
「いいえ、あなたのその一本筋の通ったやり方には感心するばかりです!!」
プランは「え〜」と困っているが、息子の前で褒められて満更でもなさそうだ。
「伯爵家はどうするのですか?」
「辞めました!」
リュードの質問に、ボルヴィーはそう即答したのであった。




