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37 長生きも良し悪し


「そうそう、庭に埋まっていた3つの白骨死体のことは伯爵にも話しているからね」

誓約書があれども、油断はできない。

伯爵にそこまでしてやる義理はないのだが、何十年もの間あれほどの金額を納税していたのだと思うと同情の余地があった。


「3つ・・だと!?」

国王もその数に心当たりがないようだ。

「大人が2体と赤ちゃんらしき小さいのが1体だと、木が教えてくれたけど?」


一つは兄の遺体だ。

まだ若い頃、兄の自由奔放な身勝手ぶりには眼に余るものがあった。

有能な臣下が手を下して死罪を受けるなら、自らの手を汚したほうが良いと考えたのであった。

兄に敬えるような要素はどこにもなかったが、弟の自分には優しいところがあったのもまた事実だ。

しかしながら、この罪を犯したことにより国を背負う覚悟がついた。

この出来事がずっと国王であり続ける原動力になった。


『後の2つの遺体は母親とその子であろうか・・・』


横で息子が顔色を変えてガタガタと震えているのがわかった。

息子は女癖が悪かった。

『それが直らないと後を継がせることはできない』と何度も注意をしたことがあったからだ。

年とともに皇太子としての自覚が高まったのだろうと楽観視していたが、どうやらこいつも人の道から外れたことをしていたようだ。


「わかった・・・3体だな・・・他言無用で頼む」


この勝負、息子の完敗だ。

相手が悪い。それに欲をかき過ぎだ。

何も得られなかったどころか、損失ばかりを被った。

その上、知られてはいけない秘密まで握られてしまい、この先も苦労することになるだろう。


『ワシがしっかりしないと!』と踏ん張っていたが、息子にとっては()()()()()()()()()()()()()だったと分かった今、怒る気力もなく、自分のお尻は自分で拭けばいいだろうと投げやり気味だ。


それでも、この先の心配をしてしまうのが、親心の厄介なところだ。

伯爵もこちらが勝手な要望をしない限り、遺体のことを持ち出さないだろう。

その旨は息子にキツく言い聞かせておく必要がある。

この緑の能力者も弱みに付け込んで、揺すったりするうようなつまらない男ではなさそうなので、その点では安心だ。


「先ほどのドーリンク大陸の話だが・・・あれは噂ではなく・・本当にあったことなのか?」


国王もその昔に、一晩で国が滅んだという噂をきいたことがあった。

しかし、唯の口承説話だと思っていた。

だがこの男の能力を見る限りそれは不可能ではないと思えた。

怖いもの見たさでついついそんな質問をしてしまった。


「さあ、どっちだろうね? 教えてあげられることは僕たち能力者は老いないってことぐらいかな。ちなみに僕はもう数えるのはやめたけど、100は()()()超えてるよ。

一つ言えることは、長く生きるのはそんなにいいことばかりじゃないってことだよ」


プランはそう言って国王にウィンクを一つ寄越したのだった。

その言葉が引き金になったのか、白のヒカリについて、国王はもう言及することはなかったのであった。


その夜は伯爵の家で、お祝いをしたのだった。


伯爵はプランに何度も何度もお礼を述べ、リュードには何度も謝っていた。

「本当に大変なのは、これからだよ」

能力者がいなくなると、この地に住んでいる人たちにも、苦労を強いることになる。

暮らしぶりが悪くなると、伯爵家への風当たりも強くなるだろう。


「3人で力を合わせて頑張ります!」

コントレは、今まで蓄えてきた知識を生かせる機会が、やっと巡ってきたので生き生きとしている。

「おいおい、またクリスターのことを忘れてるぞ」

伯爵は今度は長男のことを忘れていなかったようだ。


国王との交渉が済んだので、プランも本当のことを話し出す。

「実はその彼なんだけど、リュードへの暴力暴言、嫌がらせが酷かったから、罰をうけてもらってるんだ」

伯爵はそれらの行為に心当たりがあるようで、ぺこぺこと謝っている。

「その〜、木に埋めちゃったんだよね・・・」

だが、その言葉で動きが止まった。


「勘違いしないでね、ちゃんと生きてるから!」

それを現場で見ていたエヴィとボルヴィーも一緒に説明をしてくれた。


「チャーコブに帰ったら、ちゃんと元に戻しておくから、そのうち帰ってくると思うよ」

「いえ、あいつは昔から傲慢で高圧的なところがありまして、みんなが手を焼いていたんですよ。モチロン、木に埋められて当然です!」

伯爵は昨日のプランの話(大きな木にたくさんの人を埋めた)を思い出すと、()()()()()()()()()()()()()と言わんばかりに、長男の悪いところを羅列してみせたのだった。



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