31 それぞれの思惑
ヒカリはリュードとコントレに挟まれて座っていた。
そして前では、エヴィが座っており、一挙手一投足を監視されているような状態だ。
ヒカリが同行するのを知って、ちゃっかりついて来たのだ。
コントレは緊張からか、始終、体のどこかに触れたりしていて落ち着きがない。
何だかこっちまでそわそわしてくる。
「大丈夫?」
この大丈夫は『それ止めてもらっていいですか?』の意訳だ。
「大丈夫とは言えないかな。もし王様との交渉が上手くいかなかったらどうなるんだろうと思うと、じっとしていられないんだ」
そりゃ高校生ぐらいの子が国の一番偉い人と話すんだもん。緊張しないほうがおかしいよね。
天皇陛下に謁見するとか、総理大臣に物申しに行くような感覚なのだろうか?
そりゃー私でもテンパるわな。
「ヒカリ、そのー、この間みたいに手を繋いでもらってもいいかな・・・」
なにー、この子!!!
普段はスーンとしてるくせに、妙なところでとっても素直なのよね。
目鼻立ちがハッキリしているのでパッと見は大人っぽく見えたけど、体まだ成長途中で線が細く頼りない感じだから、ついつい守ってあげたくなっちゃうじゃないの!
手を出したら、リュードがその手を掴んだのだった。
「それはできない!」
こちらの意見も聞かずに、強く否定するではないか。
「どうして君がそんなことを言うんだ!」
「ヒカリが嫌がっている」
えっ、別に嫌がってないんだけど・・・
「彼女は手を出していただろう」
「そ、それは・・・本当は繋ぎたくないけど、お前に気を遣っているんだ!!」
リュードのことを長年無視し続けてきたコントレ。
二人はようやく言葉を交わしたのであった。
残念ながら言い争いになってしまったが。
「ゴメンねー、リュードとヒカリは恋人同士なんだよ」
プランがそんなことを勝手に言い出した。
これにはリュードもびっくりして「違いますよ!!」と強く否定する。
「では、コントレと手を繋いでも何も問題ないじゃないのか?」
伯爵まで参加してきた。
素質のあるヒカリとコントレが、結ばれるなら万が一があるかもと気色ばんでいるようだ。
「それは〜、リュードが嫌がっているんだからダメなんだよ」
「そんな言い方をしたら、まるで俺がヒカリのことを好きみたいに聞こえるじゃないですか!!」
「片思いのくせに嫉妬かよっ!」
コントレがからかうと、リュードは掴みかからん勢いでこっちにぎゅうぎゅうと幅寄せをしてきた。
私は両手を出して、片方はリュード、もう片方はコントレと繋いだ。
「はい、これでいいんでしょ。狭い車内でケンカはやめようよ。
みんなの目的はひとつなんだから、心をひとつにしないと成功しないよ」
そう言った瞬間、殺ビームを放っているエヴィと目があったのだった!!
「手汗すごいなー、緊張してるのか?」
リュードが人の気も知らないで、そんなデリカシーのない発言をしてくる。
めちゃくちゃ腹が立ったが、これに乗じて手を離せそうだ。
「だよねー・・・ごめんごめん」と手を引こうとした。
リュードは手を離してくれたのだが、コントレは離してくれない。
「俺は気にしないよ・・・」
「ええっ!」
『そんなこと言ってくれるの〜』きゅんとしていたら、「もう着くようですよ」とエヴィの冷ややかな声で我に返ったのであった。




