表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/90

21 気になる人と気にならない人


ここ数日、ヒカリの様子がおかしい。


ヒカリだけではなく、エヴィの様子もおかしい。

再会してから、急に俺に話しかけてくるようになったからだ!


俺が引き取られた当時は、まだ汚物の最初の奥さんがいたらしい。

逃亡を警戒されていた俺は、ほぼほぼ部屋に閉じ込められていた。

だから似たような年の子供がいることを長い間知らなかったのだった。


奥さんは、何の相談もなしに俺を引き取ったことに腹を立てて、出て行ったそうだ。

クリスターに「お前のせいだ!!」とよく文句を言われたものだった。


まだ母親に甘えたい年頃だったであろう一番年下のエヴィには、可哀想なことをしたと責任を感じていた。

彼のことは屋敷を歩けるようになってから、時々見かけることはあった。

物陰からこちらをジーッと見ていて、目が合うと逃げて行った。

きっと憎まれているのだろうと思っていた。


そんなある日、廊下の曲がり角で偶然に出会ったのだ!

「俺のせいで母親がいなくなって、すまなかった」

ずっと気になっていたことを、その日やっと彼に伝えることができたのであった。


それ以来、遠くから見るのは相変わらずであったが、彼から謎のメモが届くようになりだしたのであった。


『食事中にあくびをするのはよくないと思います』

『袖のところから糸が出ています』

『髪が立っていますよ』

『今日の服装はよくお似合いでした!』


などなど、ダメ出しなのか嫌味なのかよく分からないものが、頻繁にくるようになった。

これはどういうことなのだろう?とずっと悩んでいたのだが、何ら実害があるわけでもないから、放ったらかしにしていたのだ。


だが家出する前ぐらいからは、それが手渡しになっていたのだ。

走り寄って来てそのメモをくれるのだが、相変わらずの無言で、手を握りながら渡してくるようになったりして少し怖かったのだった。


なのに今はどうだろう・・・

俺の横に座り「あの時、話しかけてきてくれたことがどれほど嬉しかったことか!分かっていただけますか?!」と面と向かって話しているのである。

「ああ」

何だか気まずいし、居心地が悪い。

「あの家でリュードさんがいてくれたことが、僕の救いだったんです!」

そう言いながら、手を取ると大事そうに包みこむではないか!


向かいではプランが微笑ましそうに見ているが、両脇にいるヒカリとボルヴィーは『見てはいけないものを見てしまった・・・』とばかりに、サッと窓の外に視線を逸らしたのであった。



「ヒカリ、どうして俺の横に座ってくれないんだよ!」

「あぁ〜、その色々あるんですよ」

ため息混じりで言われてしまった。

「エヴィが急に話しかけてくるようになって、どうしたらいいのか困ってるんだよ!」

「普通に仲良くしたらいいんじゃない」


「彼にとってリュ・・・君は救いだったと話していたじゃないか。

彼にとっても伯爵家は居心地のいいところではなかったのは一緒じゃないのか!」

同室のプランがそんなことを言った。


同室のプラン・・・そう俺達は当たり前のように、ふたり部屋にされたのだった。

2人きりは気まずいのでヒカリに代わってもらおうとしたのだ。

そうしたらヒカリに「それは嫌だ!」と拒否られたのであった。

昨日まで同室だったのに、急にそんなことを言い出すので何かやってしまったのかと焦っていたのだ。


「もしかして、寝言のせいか?」

夜中に急に大声を出すことがあると、母に注意されたことがあった。

「ううん」

それじゃないのか。では一体、何なんだろう?!

ヒカリは続けて言った。

「違う、そういうんじゃないよ。プランさんと3人なら別にいいよ」


おややや、これはもしかすると・・・

この間から密かに行なっていた『俺は本当は女性が好きなんですよアピール』の効果がやっと出て来たのではないだろうか。


ヒカリはどうやら伯爵家の誰かに、()()()()()()()()()()()()()()を聞いていたようなのだ。

日々の言動から、どうやら俺のことは男として見ていないことが多々あったので、何だか癪だったのだ。

その誤解を解くべく、日々女性の話をしていたのだ。


町で年頃の女性を見かけたら「今の子、可愛かったなー」と見惚れるようにし、女性に興味があるのだという言動を繰り返していたのだ。


どうやら、やっとその効果が出てきたのではないだろうか。

これは俺のことを男性として見るようになってきた証なのだろう!


「そうか!3人ならいいのか!」

俺はやっと誤解が解けたことに安堵していたのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ