表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/90

18 人の話はちゃんと聞く


男たちが水圧で押し出されてくるのを、店の外から見ていたのは三男のエヴィとお付きのボルヴィ、そして長男のクリスターだった。


「あいつ、くだらないことに能力を使いやがって!!」

クリスターは真っ先に店に向かった。


坊っちゃんに頼まれたので、クリスターに伝言を送ったのだ。

『リュードさんに繋がるかも知れない情報を手に入れました。何か分かり次第、また連絡します。』

どこにも見つかりましたとは書いていない。

なのにあのバカはここにやって来たのだ。


「リュードはどこだ?」

「に、兄さん・・・・ど、どうしてここに!!」


真っ青になって、返答に窮している坊ちゃんに代わって答えた。

「リュードさんなら、まだ見つかっていませんよ」

「だったらどうして、宿屋でのんびり過ごしてんだ!!時間を惜しんで捜しに行けよ!」


『だったらお前もそうしろよ!』と言いたい。

どうせ捜索は人に頼んで、お前は鼻くそでもほじって待っていただけだろう、と心の中で悪態をつく。


「今は情報を待っているんです」

「情報だと?」

「どうやらリュードさんは、伯爵に追い出された少女と一緒にいるようなのです」

「ああ、あの話せないバカ女か」


「この近くの商会に時々くるようなので、彼女が来たら連絡をもらえることになっているんです」

「だったら、今からその商会に行って話を聞いて来い!」


コイツ、今、俺の話聞いてたのか・・・こんな理解力のないバカには説明するだけ時間の無駄だな。


()()()()、店を訪ねてきたら、ここに連絡がくることになっています!!」

俺があまりにも横柄な口調になったので、坊ちゃんが言い足してくれた。

「お店の人も、彼女のことを何も知らないそうなんです」


「そちらこそ何かリュードさんに繋がる情報は見つかったんですか?」

バカが何か言い返す前に、質問をぶつけた。


「ああ、モチロンだ! あいつ、町で服を売ってやがった!」

次の言葉を待ったが、続きは無さそうだった。

「・・・・・・・・・・・・ん、それだけですか?」

よくもまあ、その程度のことを偉そうに言えるもんだ。


そのときに丁度、セイロン商会から「例の少女が来た!」と連絡が来たのだった。



店内は水浸しで大変なことになっていた。


「リュード!どこだーー!」

クリスターは大声で捜していた。

逃げた者が、追いかけてきた人の呼びかけに答えるわけないだろーが。


坊ちゃんと俺は商談室を目指した。


そこには店の支配人に向けて、放水しているリュードさんがいた。


「リュードさん!捜しましたよ!」


坊ちゃんの登場により、支配人が情報を漏らしたことを察知したリュードは、さらに水圧を強くした。

「よくも話してくれたな!」

容赦ない水攻撃に支配人は言い訳もできないようだ。


面白いので付け足してやった。

「張り紙を見せてもらったんです。そしたらシーラさんという女性を捜していると書いてあったので、リュードさんがその少女が一緒なのだと気がつきました。

あとは、少女が来たら『連絡してくれ!』と()()()()()()んです」


「この守銭奴め!」

真実を知ったリュードさんは更に勢いよく支配人に水を噴射している。



そこに登場したのはクリスターであった。

「おい、リュード!! テメー、こんなところにいやがったのか!手間かけさせるんじゃねーよ!」


支配人への放水はそのままクリスターに移って行った。

「がはっ、テメ・・・・ぐぶぶ・・・」


ヤツが無様に水を浴びせられている姿は、最高にスカッとした。

伯爵家に仕える立場上、腹を抱えて笑うわけにはいかないが、知らず知らずうちに顔がニヤけてしまう。

表情を必死に押し殺していると、あの少女と目があった。


「いい加減にしなさい、溺死するよ!」


その場にいた第三の男がそう嗜めると、リュードさんも危険だと思ったのか放水を止めた。

クリスターは苦しそうにゲホゲホ咳き込んでいる。


「君が殺人なんてしてしまったら、シーラに顔向けできないだろう!」

そんなお説教をしている間に、クリスターの呼吸は戻ったようだ。


「よくも、やりやがったな!!」

リュードに掴みかかろうと、勢いよく向かって行った。


その時、大きな音と共に窓際に置いてあった鉢植えが一斉に割れたのだ!

植えてあった花はすぐに規格外の大きさになると、クリスター目掛けて根っこを伸ばした。


「うわーーーー!!! 何だこれは!!」

彼は、その根に足を絡め取られ、無様に床に倒れ込んだ。


リュードに説教をしていた男が問いかけた。

「君が伯爵のところの長男か?」

「それがどうした!それより何だこれは!早く助けろよ!!」


「僕の息子が、君に世話になったと話していてね」

「は?お前、そいつの父親なのか? 貧乏人がっ!!

伯爵家に拾ってもらってくせに、能力を持ち逃げしやがってよー!!

どう・・あがが・・・」


大きくなった植物の花の部分が、クリスターの口の中にズボッと放り込まれた。

彼は最後まで言い終わらないうちに、みっともなく大口をあけたまま話せなくなってしまった。


「聞いていた通りの人だね」

彼は笑いながら、リュードの方を見た。

「こんなにも地位をひけらかすような愚か者は、少々痛い目を見た方がいいだろうね」

異論はないかな?と笑顔でみんなを見渡したのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ