表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/90

15 ストレスを溜めるのは良くない


それから1週間後にその花は咲いた。

だが()()()は現れない。


「やっぱり、母の作り話だったんだよ」

リュードは何だかホッとしたように言ったのだった。

お母さんと一緒にあの花を見られたことに、彼は満足しているようだった。


だけど私は納得できない。

二人がそれでいいなら、口を挟むべきことではないことは分かっている。

だけど、シーラさんの苦労や、リュードのことを想うと、一言・・・

では済まないか、有りったけの文句を言ってやりたい。


それというのも、誰かに八つ当たりしたいほど、私のストレスが溜まっているからだ!


やっと一人で部屋を使えると楽しみにしていたのに、リュードがついた嘘のせいで、私たちは同室なのだ。

シーラさん、あなたどういうつもりで私たちを同じ部屋にしているの?と聞いてやりたい。

年頃の男女の同室を、親が勧めてどーすんだ。


しかも、顔を合わせる()()「リュードのどこが好きなの?」「どうやって恋人になったの?」そんな質問を、乙女の様に瞳をキラキラさせながら訊いてくるのだ。

それを誤魔化すのも一苦労だ。


それに使用人という名目でここに置いてもらっているので、意外にもたくさんの仕事を頼まれる。

それは別に構わないのだが、リュードの恋人という設定でいる限り、みんなの目(主にシーラさん)もあるので、()()()()()()()()と気が張る。

「あー、疲れた」と部屋に戻っても、そこにリュードがいるという悪循環だ。


「イライラするな〜」

私は雑草をブチッブチッと手荒に抜いた。


「植物が痛がっていますよ」

どこからともなくそんな声が聞こえてきた。

条件反射のように「あ、すいません」と謝り、そちらを見た。


そこには緑の光に包まれた男が立っていたのであった!!


「リュ、リュ、リュードーー! ちょっと、ちょっとーーー!!こっち来てー!」

「ど、どうかした?」

リュードが慌てて近くに来た。


「みどりよ!緑が現れた!」

リュードも目を見開いて、その緑の人を見ていた。


「ガシャーーーン」

何かが割れるような音がしたので、振り返るとそこにシーラさんが立っていたのだった。


「・・・・・()()()()()来てくれたのね・・・」


「「えええーーーーーっ!!!!!」」

シーラさんの言葉に、二人は大きな声で驚いたのであった。



移動して室内に入ったはいいが、妙な沈黙が流れていた。


シーラさんは久しぶりに出会う恋人?に何も言えず、モジモジしている。

どうやら彼のことを、まともに見ることすら出来ないようなのだ。

この人、本当に私と同年代なのだろうか・・・擦れていないというかピュア過ぎる。


リュードは不貞腐れていた。

ついこの前、事情を知ったばかりなのだ。

父親だと言われてもピンときていないようだ。

でも、シーラさんへの仕打ちは許せないものがあるようで、それが表情に出ている。


一番無関係な私が口出しすることでもないし、緑の光をボーッと眺めていた。

この緑の人、一体いくつなのだろう??

リュードの父親になんて到底見えない。


「昔、この離宮に住んでいた若い女性を知りませんか?

あなたよりも、もう少し年上の方です」

どうして、私に聞いてくるのよ。


「それは、彼女ですよ」

私はシーラさんの方を指した。


「シーラ? 君、シーラなのかい?」

男は立ち上がり、シーラさんに歩み寄った。

名前を呼ばれたシーラさんも立ち上がった。


「君、そのー、随分と変わったね・・・」


ちょっと何、その歯切れの悪い言葉!

老けたとでも言いたいのか、ゴルァー


「あなたは何も変わっていないのね。私はこんなになってしまって恥ずかしいわ」

彼女は顔を手で隠し、俯いてしまった。


「君のことをずっと捜していたんだよ」

緑の人は彼女の手を掴み、顔から外した。

「やっと会えたね!」

シーラさんをぎゅーっと抱きしめた。


二人のラブシーンにリュードは黙っていられなくなってしまった。

「ちょっと、待てよ!!今まで放って置いて今更、どういうつもりなんだよ!!」


緑の人は彼の剣幕に驚いたようだ。

「こちらの彼は?」

「息子のリュードよ」

シーラさんは誇らしげにそう答えた。


緑の人は「息子、息子」と呟きながら、シーラさんから離れた。

「やっぱり、結婚していたんだね・・・すまなかった。

もうここには来ないから」

そんなことを言いながらここを出て行こうとしていた。


「ちょっと待てよ!どうして母さんのことを捨てたのかちゃんと説明しろよ!!」


緑の人は振り返ると「捨てたってどういうこと?」と、逆に聞き返してきたのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ